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「Henri Farman HF-20」(OMEGA MODELS 1/72)

by yoshiyuki

 

Yoshiyukiです、こんにちは。季節の変わり目で暑くなったり寒くなったりと。
体調管理が必要なときです。ご覧の皆様もくれぐれも体調にご注意ください。
私のような、年寄りにゃ厳しい季節で……ま、いいいか。
今回はプッシャー式第二弾ということで、アンリ・ファルマンのHF-ⅩⅩです。

(2キット01)



キットはあやふやなレジンパーツと金属製のロッドが2本、デカールのみという、実にストレートでシンプルな構成。しかもレジンパーツは結構誤りもあり、完成に導くにはかなりの覚悟と忍耐と努力が必要かと……(笑)
しかし、ま、そこはアレですので、そんなに小難しく考えず、当時の大空を偲びつつ大らかに製作いたしました(笑)

(3キット02) 



実機の初飛行は1913年で、第1次大戦の始まる前です。
ガブリエルとシャルルのボアザン兄弟が、アンリ・ファルマンの注文で、優れたパイロットでもあったファルマンの意見を取り入れつつ製作したボアザン・ファルマンは、ボアザン兄弟がいままで作った飛行機のどれよりも実用性の高い優れたものでした。
しかしボアザン兄弟は、ファルマンのノウハウが詰まったボアザン・ファルマンⅡをイギリスの大富豪ブラバゾンに勝手に売却。ファルマンは激怒しました(笑)
ボアザン兄弟と決別したファルマンは、自ら設計と製作を決意して1909年4月にアンリ・ファルマンⅢを完成させました。国際的にも大好評の二層型飛行機(複葉機)で、日本陸軍も1910年に1機購入しています。ちなみに「ちょんまげ飛行機」と呼ばれ、1910年12月17日、代々木連兵場で日本初の飛行と呼ばれています。
その流れを汲むHF20は、着陸時の横すべり処理したHF16からさらに洗練されたバージョンで、ファルマンのデザインが遺憾なく発揮された飛行機です。
1914年の大戦が勃発当時すでに、フランス、ベルギー、イングランドにおいて運行していたHF20は、そのまま軍用機として運用されます。しかし軍の設備の重さが、HF20のパフォーマンスに酷い影響を及ぼすことになり、深刻なパワー不足が露呈してパイロット達からも不評でした。その後一線を退き、1915年中頃までトレーナーとして活躍しました。
ちなみにアンリ・ファルマンの弟、モーリス・ファルマンの1912年型水上機は「モ式小型水上機(イ号乙型水上機)」として日本でも活躍しています。
翼幅14000mm、長さ8300mm、最高速度110㎞/h、重量660㎏、乗員名2名。

さて、いよいよ製作です。
まずはパーツ作りからです。ストラットの製作。
キットのストラットのパーツは形・長さもまちまちで弓形になっているので、ストレートで細いものを作らなければなりません。別売りの金属ストラットは現在手に入りにくく、丁度私のストックも品切れ状態なので、昔からの方法ですが(友人からご教授いただきました)思い切って作ってみました。
0. 3ミリの真鍮線を2本合わせてハンダ付けで結合し、ヤスリで形を整えます。
本数がなかなか多くて大変でしたが、工作自体はそれほど難しいものでもなく、考えている以上に容易く出来ました。戦闘機クラスの複葉機なら十分な出来で簡単な作業だと感じられたほどです。

(4ストラット01) 


(5ストラット02) 


(6ストラット03) 


(7ストラット04)



ほどよくハンダで埋まった中心部を使用します。
ある程度形作ったら、ラッカーパテで仕上げ。

(8ストラット05)


 (9ストラット06) 


(10ストラット07) 



次にコクピット。エンジンを含めて8点のパーツ構成です。バスタブ式なので内側のディティールアップは少々苦労しました。燃料タンクの形状も少し違っていたので修正。
バスタブの内側はプラロッドでフレームを作り、×状のワイヤーは伸ばしランナーで再現しました。

(11コクピット01) 


(12コクピット02) 


(13コクピット03)



エンジンはシリンダーヘッドにジャンクパーツを接着してそれらしく、プッシュロッドを付け足しただけです。裏側は銅線のコードを付けました。

(14エンジン01) 


(15エンジン02) 


(16エンジン03) 


(17エンジン04)



エンジンをコクピット部分に付けます。前の出っ張りは昇降舵を可動させるためのロッドで、後ろの出っ張りは排気管です。排気管は真鍮管を使用しました。

(18エンジン05) 


(19エンジン06) 



アイボルトは少々多目で100個。最終的にはこれでも何本か足りないという(笑)

(20アイボルト)



翼は全てマットリネンです。塗装する前にアイボルトを所定の位置に埋め込みます。

(21主翼01)


 (22主翼02)



ストラットです。上翼の外側からゼリー状瞬着で接着。下翼を接着。中心部に向かってすり合わせながらストラットをはめ込んで瞬着で固定していきます。

(23主翼03)


 (24主翼04) 


(25主翼05) 



胴体のフレームは、付属の金属製ロッドが太すぎる気がしたので0.5の真鍮ロッドを使用しました。ストラットをハンダ付け。

(26胴体フレーム01) 


(27胴体フレーム02)



翼間は先に糸張りをしちゃいます。進行方向で縦のストラット間から×状に。
横のストラット間を張る前にフラットブラックで糸を塗装。
今回も鮎釣り用のテグスです。

(28リギング01)


 (29リギング02) 


(30リギング03) 


(31リギング04)



コクピット部分を接着。

(32リギング05) 



胴体フレームも瞬着で接着。もうこの辺は力技です(笑)

(33胴体フレーム03) 



方向舵は上下に真鍮線を差込んで、胴体フレームに接着。尾脚はプラロッドで木製部分を形取り、太目の真鍮管をかぶせて潰しました。伸ばしランナーを接着。

(34尾翼01)


 (35尾翼02)


 (36尾翼03)



フレーム間の糸は前々回(DH2)と同じく伸ばしランナーです。テグスと径が同じくらいのものをチョイスし、塗装の皮膜で太さを微調整しました。

(37リギング06)


 (38リギング07)



主脚もキットのパーツは、形のあやふやさとバリが凄い。修正しながら使用するより、一から作るほうがすっきりとするので、真鍮ロッドとプラで作りました。

(39主脚01)


 (40主脚02)


 
車輪はなぜかスポークのモールドが入ってます。くり抜いてスポーク仕様に作り直しです。
片側を接着したら、筆が入りにくい内側を塗装。そしてもう一方のスポークパーツを接着。
中心に真鍮管を埋め込みます。

(41車輪01)


 (42車輪02)


 (43車輪03)



主脚に接着し、主脚周りのリギング。尾翼の裏側と同時進行で。
これで、裏側のリギングは全て終了です。
主翼上面もリギングがあるので、これ以降裏側に向けることはかなり難しくなり、これが裏面の最終工程です。

(44主脚03) 


(45尾翼周り01) 


(46主脚リギング)



お豆腐パックを取り外し(笑) 自力でやっと立つことができたので翼上面のリギングです。
エルロン可動用のワイヤーは、全て伸ばしランナーで瞬着の点付けです。

(47尾翼周り02)


 (48上翼リギング)



ということで、どうにか完成しました。華奢な雰囲気で複雑怪奇な凧みたいです(笑)

(49完成01) 


(50完成02) 


(51完成03) 


(52完成04)



只今、ディオラマ用にヴィンテージバイクを製作中。

(53バイク)


SHSにて御笑覧いただければ幸いです。


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