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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第40回)

 AV-8A「ハリアー」 (フジミ1/72)

by 鳥巣 Torisu           /    


 

<実機解説>

世界初の実用VSTOL攻撃機としてイギリスで開発されたハリアーは開発当初からアメリカ軍から注目されており特にベトナム戦争で戦っていた米国海兵隊から従来の支援攻撃機に代わる画期的な攻撃機として採用を渇望していた。そして1968年7月にイギリスファンボロウのエアーショウに2人の海兵隊パイロットが試乗を求めた事を契機に海兵隊のハリアー取得が加速し1969年12月23日正式にAV-8Aの名前で12機を発注した。その後発注数は110(複座型含む)機と増え当初は米国国内でのライセンス生産を考えたが採用数が少ないということもあって全て完成機輸入の形を取った。
こうしてAV-8Aは1970~1976年にかけて部隊配備され1987年に改良型のAV-8BハリアーⅡが配備される間海兵隊の頼れる相棒としてその任務を全うした。
要目
全長:13.90m
全幅:7.67m
全高:3.63m
自重:5.580kg
最大STO重量:
11.430kg
エンジン:ペガサMk102
推力:9750kg
最大速度:M0.98
固定武装:アデン30mm機関砲×2
最大搭載量:STO時3.630kg
      VTO時2,270kg



<キット解説>

恐らく1980年代初頭にフジミから発売されたキットです。全体に線の細いスジ彫りが施されています。
機首部が細かく分割されていたり米軍では使用していないマテール空対地ミサイルの部品が入っていたり後のGR-3やシーハリアーへの展開が読めるキットです
キャノピーの透明度は良くデカールは堅そうですが発色は良い方です。
箱絵
機体部品
武装部品

製作

<コクピットから>

コクピットフロアー・主パネル・座席・スティックの4点から構成されています。パネルのモールドは無くデカールも入っていないのでジャンクデカールからハセガワのジャギャーの物を流用しました。機首部品の内側とコクピットフロアーをMrカラーNo72「エアークラフトグレー」で塗り主パネルとサイドコンソール部には流用デカールを貼りました。座席はアッサリ気味なのでマスキングを細切りにして作ったシートベルトらしき物を追加しました。
パネル盤とジャーマングレーで塗ったステックと追加工した座席をコクピットフロアーに取り付けて左右の機首部品を貼り合わせたらコクピットの製作は終わりです。


<胴体の組み立て>

左右の胴体をランナーから切り出して仮組をして隙間や段ズレの有無を確認します。次に脚収納庫を胴体に仮合わせをしました。収納庫の角が胴体に当たるのでエッジの部分をナイフで削り調整しました。調整が済み取りつけたらエンジンのファンブレードがモールドされている隔壁を胴体に付けます。意外と隔壁部品はスンナリと取り付けられました。
次に先に組んだ機首部品を胴体に取り付けます。
胴体との接合部上下に隙間が生じたのでラッカーパテで隙間を埋めました。
最後にこのキット最大の難関であるエアーインテークを取り付けます。
エアーインテークは片側2つの半円の形状をした部品で構成されています。胴体接合部とインテーク部品接合部で大きな隙間が生じたのでカットした0.5mmプラ板を隙間に差し込み上からラッカーパテを盛り付けた後整形し胴体と綺麗に繋がるように修正しました。


<胴体と主翼の取り付け>

胴体の組み立てと修正が済んだら主翼を組み立てます
胴体上部と主翼上面が一体成型された部品に主翼下面を取り付けます。下面翼のエッジが干渉して主翼側の窪みに入れにくいので平らヤスリで軽くエッジを削り調整してはめました。
主翼の組み立てが済んだら胴体に取り付けます。
ここも胴体との接合部に隙間が生じたのでラッカーパテを盛り整形しました。



<尾翼の取り付け>

主翼の取り付けが済んだら垂直尾翼と水平尾翼を取り付けます。
垂直尾翼は前後2つの部品から構成されていていますが接合部に隙間が生じたのでここもラッカーパテを盛り整形しました。
水平尾翼は左右の取り付け角度が同じようになるように注意して取り付けます。

<サフ吹きと消えたパネルラインの彫り直し>

アチコチにパテを盛り付けて整形した機体の傷を埋めるために#1000のグレーの缶サフを吹き付けます。
#1000のグレーサフは濃い目なので垂れないように初め遠吹きをしながら徐々に近づけてパッパッと軽く吹きます。
吹いた後一晩乾燥させます。
乾燥後ヤスリ掛けで消えたパネルラインを彫り直し初めからモールドされていない補助エアーインテークのモールドを再現します。
パネルラインはインストを参考に大きく目立つ機体パネルラインのみモデラーズのマスキングテープをガイドに彫り直しました。
補助インテークのモールドは資料本を参考にトライツールのテンプレートの四角い穴をガイドにしてポンチで彫り再現しました。


<塗装>

フジミのインストでは色が判りにくかったのでハセガワのAV-8Aのインストを参考に
機体上面MrカラーNo305 グレーFS36118
機体下面MrカラーNo338 ライトグレーFS36495
迷彩  MrカラーNo309 グリーンFS4079

の3色を基本色として塗装しました。
先ず機体下面にNo338をハンドピースで吹き付けます。
塗料が換装したら下面をマスクして機体上面にNo305グレーを吹き付けます。
機体上下の塗装が終わったら迷彩のNo309を塗ります。
迷彩の境界がはっきりしているのでハンドピース用に希釈した塗料を細筆に含ませて迷彩の外側のガイドラインを筆で書いてその中をハンドピースで中心から外側へ塗りつぶすように吹き付けました。
基本塗装が終わったらエアーインテーク内部をNo69グランプリホワイトで塗りました。
全体の塗装が終わったらタミヤのエナメルのセミグロスブラックでウオッシングを施し全体の色のトーンを落ち着かせました。




<デカール貼り>

キット指定のVMA-231「エアース・オブ・スペース」のマーキングをチョイスしました。
デカールの発色は良いのですが糊がちょっと固めで台紙から剥れるのに時間が掛かりますがそれ以外は問題ありません。
剥離防止にMrマークセッタを塗ってあります。



<脚と細部部品の取り付け>

主脚と補助輪を取り付けます。主脚は銀で塗タイヤはジャーマングレーで塗り分けました。補助輪の取り付け穴がちょっとキツイ感じがしたのでナイフを差し込んで広くしました。
塗装の乾燥待ちの間に作って置いたエンジンノズルとドロップタンクそしてロケット弾を取り付けます。最後に機首のピトー管と背中のアンテナ類を取り付けて半光沢クリアーを全体に吹き付けて完成です。
今回もフジミのAV-8Aハリアーを製作する機会を与えて下さった編集部に感謝です。




<参考資料>

キットのインスト
文林堂
新世界の傑作機No111「ハリアー/シーハリアー」
より参照


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