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デハビランド モスキート NF-30
(マッチボックス 1/72)

by 加藤 寛之



 3色キットの持ち味をいかして組んでみた。私の好きなマッチの作り方だ。初めてマッチのキットを見たのは40年ほど前だったと思うが、その頃の雑誌記事では3色成形は否定的評価だった。そのころの飛行機プラモデルは精密再現の方向へと邁進していたから、多色成形と大雑把な造形、運河のような筋彫りはとても受け入れられなかったということだろう。ところが今の私は、部品数が少なくて個性的造形センスのマッチボックスが大好きだ。お気軽に作って「まあ、こんなものかな」でオシマイにできる、実にのんびりとした製品だからだ。これは子供のころには理解できなかった持ち味なのだが、今では「こういうのってイインだよな」とホントに思うのだ。 さて、この完成品だが、塗装した面積は約半分といったところ。もっと塗り面積は少なくてもよかったのだが、<どこが塗ってあって・どこが塗っていないのか>を分かりにくくするためにわざわざ塗った部分があるので、その分だけ塗り面積が広くなっている。塗装には灰色も緑色も使っているので使った色数が少ないわけではないし、ちゃんと塗った以上に手間もかかっている。私としては「これこそがマッチの目指した理想の色分割表現」と言いたいのだが、多くの方は「手間ひまかけて半分だけ塗るという、全く無意味な模型作りだ」と思うだろう。その通りである。




コックピットは床板1つと椅子2つ、操縦桿1本の構成。とりあえず、胴体左右の接着時には、床板のみを入れればよい。尾輪は、取付け用軸受けの上半分を切除しておけば、後から組み込んで接着できる。このキットは機種選択が可能なので、機首が選択可能な別パーツになっている。これは胴体側と丁寧に、と言うよりは思いきって大胆に合いを調整しておく必要がある(ハッキリ書けば、全然合っていない)。 胴体下面には筋彫りが少ないので、目立つところだけ彫っておいた。主翼は上面の表面のほぼ全てを平らに削る。キットのままでは凹モールドの周辺が歪んでいて、何となくふにゃふにゃしていてダルい。その解消のためである。下面は見えないので気にしない。同時に後縁も薄くする。水平尾翼、垂直尾翼も、同様に上面の表面を均しておく。




主脚はエンジンナセルと一緒に組むようになっているが、脚の台座をプラバンなどで新設しておけば、ややキツいけれども後から組み入れる方式にできる。このナセルだが、主翼との間にちょっと(?)隙間が生じる。削りカスが詰まった状態で瞬間接着剤を流して固める工程を2回くらいすると埋まる。プロペラは形が良くないけれども、薄く削り、先端に丸みをつけるだけで良いことにする。 排気管や翼下燃料タンクなどは型式選択にそってパーツ選択をするべきなのだが、今回はカッコイイ方を接着してみた(そんな作り方でも違反で逮捕されることはない)。風防パーツは、なんとなく後端のまとまりが冴えないが“まあ、こんなのもさ”と思ってOKとする。自国の名機をこれほどお手軽に造ってしまうマッチの感性は理解できないものの、組みやすいキットなので、この程度で形になる。




塗装は3色モールドをさらにパワーアップさせた。その後はデカール貼りで、これが製造から年数がたっているにも関わらず貼りやすかった。でも、多少は色ズレしている。 まあ、愛嬌のウチだと思えばよい。最後にトップコートの半光沢を噴けば塗装とプラ素材がみごとに融合、完成である。




 さて、ここで問題です。塗装していないところはどこでしょうか。
よく分からない方は、マッチの3色モールドのモスキートを探して、組んで、塗って、検証しましょう。・・・
そしてそれが完成するころ、貴方もマッチの不思議な世界の囚われ人になるのです。



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