Home  >オーロラ・グラフィティ・番外編 No.5:複葉機キット(3)

オーロラ・グラフィティ・番外編 
No.5:複葉機キット(3)

解説:R.P.K.

  2回にわたってオーロラ社の第一次大戦を中心とした1/48複葉機を1956年版の初期キット、ブリスターのチャチな飾りベースが入った1972年版とデカールが一新されてフィギュアが付かなくなった1976年版を紹介して来ましたが、最終回はオーロラのパクリや搭載機銃の1/6キットなどを紹介します。
 イタリアのアルティプラスト社は自国が使用した機体などを1/50と表して発売しましたが、金型成型技術が追いつかずにディテールも荒い大雑把なキットが多いですね。オーロラのニューポールNi.11ベベとSE-5Aスカウトの翼下面リブ線を足して簡易スタンドが付いています。自社オリジナルのアンサルドSVA-5は主翼リブが線だけの表現でパーツの精度も悪いのが残念です。 
グレンコウから1/48スケールのアルバトロスD.IIIと、オーストリアのエファーグ製D.IIIが発売されましたがデカールはキレイだけど肝心の主翼がのっぺりしてリブ表現もなく、パーツのモールドも良くないので昔のオーロラより見劣りしてしまいますね。
 日本のマルサンもオーロラの複葉機やモノグラムのキティホークをパクって、自社製品として堂々と発売していました。それでも日本海軍の3葉機十式艦上攻撃機なんかは珍しいオリジナルでした。
 ウィリアムスから第一次大戦で装備された機銃が1/6キットで4種発売され、細部の出来も良くソフトプラの弾帯が付いていましたが経年劣化して弾がバラバラに分解してしまいました。


1) 1915年夏からフランス軍に配備された軽快なニューポールNi.11は、まだプロペラ同調装置がなかったので主翼の上にプロペラ回転圏を避けてルイス機銃を搭載していた。キットはイタリア空軍のマークと翼間支柱に装備するロケット弾が付いている。




2) イギリスのSE-5は1917年3月から配備され、200hpの強力な水冷エンジンを搭載して7.7mm機銃を主翼と機首に装備して各型合計5200機も生産された。オーロラのキットに主翼リブ線のモールドを追加したが、元のマークが浮き彫りで残ってしまった。




3) イタリアのアンサルド・ズバ5は1918年2月に登場した薄翼に合板胴体のスマートな複葉機で、230km/hと高速だが操縦性が悪く戦闘機として使えずに偵察や爆撃に従事し、戦後は4時間の航続力を生かして長距離飛行の記録を立てた。自社製品だがモールドが良くないのが惜しい。




4) 1917年4月に連合軍戦闘機を圧倒したドイツのアルバトロスD.IIIは、角ばった胴体と方向舵が特徴だが後続のD.V胴体は楕円形断面だった。グレンコウから箱絵も素晴らしいD.IIIが出たので喜んだら、キレイなデカールだが翼や胴体のモールドもないのでがっかりさせられた。




5) 200hpのオーストロ・ダイムラー・エンジンを搭載して、オーストリア飛行機製作所エファングで生産されたD.IIIは機首が変更されている。グレンコウのオーストロ・ハンガリーD.IIIは主翼リブのモールドがなくパーツのディテールも乏しいが、輸入品だけに値は張っていた。




6) マルサンからオーロラのD.Vをコピーして、楕円断面の胴体はそのままで方向舵だけ角ばらせたD.IIIのキットが発売されていたが、主翼下面のモールドもなくマーク位置浮き彫りも変わらない。




7) 1908年にドイツ陸軍はマキシムが開発した機関銃を採用してスパンドウ造兵廠で生産し、第一次大戦において銃身の放熱カバーを着けて航空機用にベルト給弾式の機首固定武装として装備した。




8) ドイツのカール・ハイネマンは、マキシム機関銃の機構を使い7.92mmモーゼル弾を発射する軽量なパラベラム機関銃を開発し、1分で700発の威力を生かして航空機用にドラム弾倉を装備した旋回機銃として多用された。




9) イギリスのヴィッカース社は1888年にマキシム機関銃の生産を開始し、プロペラ回転と同調して発射できる機首の固定武装として連合国ほとんどの機体に採用されている。




10) アメリカ陸軍大佐アイザック・ニュートン・ルイスが開発して1912年に採用され、ドラム弾倉式のルイス機関銃はプロペラ回転同調装置がない時の主翼の固定武装や旋回機銃として汎用された。



  Home>オーロラ・グラフィティ・番外編 No.5:複葉機キット(3)

Vol 56 2013 June.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
  無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」

製作記事


TOTAL PAGE