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テンペスト Mk.Ⅴ (ハセガワ・モノグラム 1/72)

by 加藤 寛之



 ご存知のようにモノグラム製ではなくて、レベルからファイターシリーズで発売されていたキットである。正確には、その金型をフレームランナー形式に改修、さらに「新金型追加」で翼下タンクを付け、ロケット弾用の取り付け穴を隠す方式にしたもの。 だからパーツそのものは同じなのだが、以前よりも金型が劣化したことが相違点であるともいえる。このハセ・モノ版のキットが最近、我が家の倉庫から発見された。週に3日くらい出張していたころに、どこかで手土産に買ったのだろうが記憶がない。 




では製作記事にしよう。コックピットは、床と一体の椅子が1コあってオシマイ。手軽である。これと水平尾翼を挟んで左右胴体を接着する。尾輪はちょっと工夫すれば後から差し込めるので、ここでは付けない。機首のラジエター後面には穴を開けず、そのままとした。開けたらそれらしく加工するのが面倒だからだ。上から見えるわけではないので“黒く塗ればいいや”でOKとする。スピナーの下の胴体前端部分は、横をちょっと削ってへこませる。実機は、スピットファイアのように尖った機首の下に大きなアゴが付いた形だと思えばよい。そういう曲面にすると良いのだが、適当に削って“まあ、いいや”にする。その過程でスピナーを機首に合わせてみたら、なん胴体側が1ミリくらい細いではないか! 以前に作ったときにはどう処理したのか、まったく覚えていない。“ウ~ン”・・・と1秒くらい考えてから、機首上部の接着面をノコで開き(接着が強力で剥がせなかったのだ)、プラバンを挟んでみた。“ピッタリ”解決した。  垂直尾翼は、ちょっと形が良すぎる。実機はタイフーンのような丸い垂直尾翼の前に三角形のヒレ状に板を付けた感じだから、前縁は不連続だし、面も不連続になっている。書くと面倒そうだが、プラモデルとしてはちょっとだけ削ればよい。風防は金型劣化で周りがボロボロ。とりあえず削ってみたが、当然ながらやや小さくなる。気になって胴体に乗せてみると、“こりゃマズイな”というほど合わなくなってしまった。こういう時は、開けた状態にしてゴマカせば良いので、ノコで切断して2つに分け、OKとする。「椅子しかないのに開けるの!?」と言いたい方もおいでだろうが、「椅子があるから充分にOKです」というのが私の感覚だ。




主翼は動翼部分を上面側に付けて後縁をスッキリさせる金型分割なので、上下面を接着するときに下面側が動翼面よりも落ち込まないようにプラバンで接着面を調整する。主翼は平面形が特にマズい。実機は先端を落とした楕円翼なのに、キットはJu88みたいに前縁がキコキコしている。ここは適当に削って、とりあえず“そんな感じ”にする。後縁はかなり厚い。前述の構造が全然役にたっていない。ここは動翼の裏面側をゴシゴシ削って薄く見せる。 左翼上面のフラップがある辺りには、広い面積でヒケがある。最小範囲で削って目立たなくする。右にもヒケはあるが、こっちはガマンできる。主翼と胴体の接着には、大きな隙間が生じたので、プラバンを挟んでごまかす。水平尾翼の平面形は実機とだいぶ違うので修正・・・しないで、ダルい曲線だけをちょっと調整しておく。プラモデルとしてちゃんと出来ていれば、少々の形の違いなど、だれも気付かないものである。ナイショにしておけば良い。
 




主脚周りでは、脚柱と一体の脚カバーに大きなヒケがある。さすがに少量のパテを使う。主脚はカバーで主翼と接着する構造なので、付け根にある分割されているはずのカバーまで一体になっている。ここは、その小さなカバーをプラバンで作っておく。複雑なナナメ支柱は完全に省略されているので、伸ばしランナーで1本だけ付けておく。 タイヤ側のカバーは形が不自然だから、その不自然な凸部分を切断して主翼下面に移植しておく。
 このくらいでほぼテンペストの形になる。私的には素組みの範囲だ。




次に塗装だが、その前に全面にサンドペーパーをかけ、大きな凸リベットを低くしておいた。そうしないと、デカールを貼るときに穴を開けてしまう。そのデカールだが、このキットの最大の特徴はエアロマスター製のりっぱなデカールが付いていることだろう。もっとハッキリ言えば、デカールにキットが付属しているような製品なのだ。贅沢なデカールなので塗装図を信頼したのが大間違いだった。 いつもの筆塗りでペタペタ塗り始めたら、主翼と胴体の迷彩塗装位置が合わない。胴体左右も合わない。“ウゥ~”と思ったが、それ以上考えずにアレンジして塗り進める。こういうことも、言わなければ他人に分からないものだ。だからナイショなのである(いいですね、ナイショですよ!)。まあ、それなりに塗って完成とした。




子供のときに作った古いキットを作るときは、時間の経過のなかで美化されているので、ある程度改修して作らないとガッカリしてしまう。そうかといって良くしすぎると、ヨソヨソしい。 今回はエアロマスター製デカールが魅力的なので、カッコよくなりすぎたかも知れない。


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