キットについて
1996年にタミヤから発売された1/20 ホンダの記念すべきビンテージ・レーシングカー RA-272である。典型的な葉巻型のレーシングカーで、懐かしさが全体に醸し出される。現在のレーシングカーとは構造も全く違うのだ。同時期にハセガワからも 1/24で RA-272が発売され、バッティングしていた記憶がある。
タミヤのキットは 完成後もメカニックなエンジンが見られるように、後部カウルが透明部品で構成されている遊び心のあるキットだったので、キットの設計者のその意図を汲み、ありがたく 透明部を生かして 製作してみた。
説明書は画もわかりやすいのだが、残念なのは簡潔すぎて部品の名称がないこと。こういったビンテージカーは 実車の部品名称も添えてもらうと、組み立ての楽しさも倍加するのだが。日本のプラモデルキットは生真面目にはできているのだが、そういった 組み立ての楽しさの演出が実に少ない気がする。 |
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実車について
RA-272は ホンダがRA-271でF1に参入した1964年の翌年、1965年から参戦し、最終戦のメキシコGPでリッチギンサーにより優勝を勝ち取った。1965年は1.5リッターエンジンの最終年であり、1966年からは3リッターエンジンに移行している。
RA-272の構造は、それまでのF1レーシングカーの主流だった鋼管スペースフレームではなく、モノコック構造を採用し、エンジンをリヤサスペンション支持構造を兼ねて軽量化するロータス49と同様なコンセプトで設計されている。 これは当時 ロータスとパートナーを組みエンジンのみ供給するつもりで話を進めていたものが、直前でキャンセルとなり、車体もホンダで急遽用意することになったため、ロータスに模をとったものと思われる。 |