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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第42回)

 F-104C「スターファイター」 (エッシー1/72)

by 鳥巣 Torisu           /    


 

<実機解説>

当初は小型軽量の制空戦闘機として開発され実戦配備に付いたF-104Aであったが実戦配備が進む頃空軍は制空戦闘機としての興味を無くしF-100と同じような戦術戦闘機(戦闘爆撃機)としての能力を求め戦術戦闘機としてF-104Cの開発を指示した。ロッキード社はこれに応じ主翼下に2箇所胴体下部に1箇所合わせて2260kgの搭載量を持つハードポイントを追加し更に主脚後部の胴体下面にサイドワインダーの搭載ランチャーを搭載し航続距離の不足を指摘された為に胴体左側給油ブローブを取り付けた機体を開発した。
元々軽量小型の制空戦闘機として作られたF-104は搭載量と航続距離が短くTACの要望に合わないため戦術戦闘機仕様のF-104Cの生産機数は77機で打ち切られた。
実選部隊として唯一配備されたジョージAFBの479TFWでテスト運用を兼ねて1965年にベトナムに派遣され合計2年間防空や護衛そして不得意とする中高度からの爆撃支援任務を全うした後アメリカ本土に戻りプエルトリコANGに移管され1975年まで運営された。
ベトナムでの戦闘損失や事故損失以外で残った機体は程度の良い状態で保管されていたのでプエルトルコANGでは運営に支障が無かったと伝えられている。

F-104C諸元
全長     16.7m
全幅     6.99m
全高     4.11m
離陸最大重量:12.490kg
最大速度   M2.2
航続距離   3040km
エンジン   J79-GE-7
固定武装   M61バルカン砲1
パイロット  1名



<キット解説>

エッシー社が恐らく1980年代初頭(?)製品化したキットです。
G型のキットにC型特有の給油ブローブを追加して「C型です」と言い張る強引なキットですがベトナム戦に参加した機体のマーキングを選んでいるので細かい点は見逃しましょう(笑)
全体に施された細めのラインで表現されてパネルラインと少なめのパーツ数は好感が持てます。
キャノピーの形状と透明度も良好です。しかしサイドワインダーの形がらしくないので他社の物と交換した方が良いかもしれません。
デカールはベトナムに参加したシルバー塗装機とSEAカラーの機体そしてプエルトルコANGの3種類が入っています。滲み等はありませんでした。
箱絵

製作

<コクピットから>

コクピットフロア・メインパネル・座席・ステックの4つの部品で構成されています。座席はちょっとデテールが寝ぼけた感じを受けますが80年代エッシー社の製品の標準レベルの出来です。シートベルトがモールドされている点は評価できます。
胴体内部・コクピットフロアーをエアークラフトグレーで塗装します次ぎにメインパネルとサイドコンソールのデカールを貼ります。
デカールの糊が弱いのでマークセッタを塗り補強しました。
最後にジャーマングレーで塗ったステックを取り付け、先に塗り分けを済ませた座席を取り付けてコクピットの組みたて作業は終わりです。


<胴体の組み立てと翼の取り付け>

胴体は左右とエンジンの後部で分割されています。
先にエンジンンノズルを胴体後部に組みつけて下さい
胴体後部を貼り合わせた後では組めないのでご注意ください。
ノズルの先端部は形状がイマイチだったのでハセガワのF-4の物と交換しました。
先に組んだコクピットに前脚収納部を着けて胴体に取り付けます。レードーム内に尻もち防止の錘としてM5サイズのナットを入れて左右胴体を貼り合わせ胴体後部をはめれば胴体の組み立ては終了です。
次にエアーインテーク部と翼を取り付けます。
インテークと胴体との間に隙間が生じるのですり合わせをしたのちラッカーパテを盛り整形しました。
翼は仮組を行いツバの部分をデザインナイフで削ればぴたりと取り付けられます。
胴体に対して取り付け角度は下半角になるのが正しいです。インストや実機の写真等を参考にして着けて下さい。



<隙間の修正とサフ吹き>

貼り合わせた左右胴体と取り付けた胴体後部に隙間と段ズレが生じたのでタミヤのラッカーパテを盛り付けて乾燥後に紙ヤスリ#400・1000・1500で削り仕上げにクレオスの#1200のグレーサーフェンサーを吹き付けました。 サフが乾いたらペパー掛けえ消えたモールドをモデラーズのマスキングテープとP-カッタを用いて彫り直しました。
これで基本工作と修正は終わりです。


<塗装>

先ず主翼をクレオスGX-1「クールホワイト」で塗装します。主翼の塗装が乾いたらマスキングを施し胴体と水平尾翼が銀塗装なので下地にMrカラーNo2「ブラック」を吹き付けます。
ブラックが乾いたらNo8「銀」で全体を塗装します。
銀塗装の上にガイアカラー「スーパージュラルミン」を重ねて塗装しナチュラルメタリックを表現しました。
全体が「銀」一色で単調にならないように動翼とエンンジン排機口付近にはブレンドして作ったトーンの異なる銀を吹き付けました。
仕上げにエナメルの黒で澄みいれを施し塗装作業は終わりです。




<デカール貼り>

デカールは経年劣化が有るのでデカール保護材を塗った後ぬるま湯にひたしてはりました。国籍マークや胴体に貼るユーエス・エアーフォースのデカールは綺麗に貼れたのですが翼に貼る「USAF」の文字が台紙の色が溶けてしまい茶色い汚れが付いてしまいました。ここは手元のジャンクデカールから流用すればよかったです。 72サイズの作例なので大きなコーション類と国籍マークと尾翼のTACマークだけ貼り一晩以上置き半光沢クリアーを吹き付けてデカール貼り作業は終了です。



<脚の取り付けと細部部品の取り付け>

主脚と前脚を取り付けます。
主脚フレームの中心部が脚収納庫のフレームにあたり奥まで入らないので収納庫側のフレームを削り奥まで入るよう調整しました。
タイヤと脚カバーを取り付けて足回りの組み立ては終わりです。
次に主翼パイロンとドロップタンク・ミサイルランンチャーを着けます。
パイロンは向かって内側に傾向けて取り付けるのが正しいです。けっして垂直にして着けないように。
最後に塗装したキャノピーとピトー管を取り付けて製作は終了です。

今回もエッシー社のF-104Cと言う貴重なキットを製作する機会を与え下さった編集部に感謝です。





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Vol58 2013 August   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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