Home  >アメリカ空軍 ステルスファイター (ハセガワ 1/72)

アメリカ空軍 ステルスファイター
(ハセガワ 1/72)

by 加藤 寛之



 珍キットである。しかも「ハセガワ」製である。店頭に並んだのは、ごく短期間であった。普通ならば「お宝キット」と言われそうだが、ちょっとムリ。やはり「珍キット」が似合っている。
 
 アメリカの砂漠基地で秘密の飛行機が飛んでいる、そんなウワサがあった。テスターが想像プラモを発売すると、「よく出来ている」と言われたとかで爆発的評判となり、早いもの好きのイタレリをはじめレベル、モノグラムといった一流どころも、国内ではアリイも独自見解の製品を発売した。
 そしてついに、レーダーに映らないナゾの飛行機の写真が発表されたとき、飛行機の既成概念では理解できない、ガキガキした寸詰まりの黒いお面のような形に世界も私も驚愕した。想像で発売された曲面仕上げのナゾの機体とは、正反対な形だったのだ。ところがこの写真は全長がつまって見える角度を選んだものであることを伏せており、実機はむしろ前後に長い機体だった。そうとは知らずにいろいろな推定図が現れ、ハセガワも寸詰まりに見える実機写真に基づいたプラモデル化を試みた。それがこれである。商品名はステルスファイターであって、飛行機の名前ではない。お値段1200円也。




 このキットの組み立て図をみると、1989年9月印刷とある。同年12月には『航空ファン』誌で飛行中を下面からとらえた写真や全長を補正した推定図が掲載されているから、短い全長のキットは短命の商品だったことだろう。キット評としては「この短い胴体ではエンジンが入らない」との意見もあったことを付け加えておこう。  キットは機体関係で部品数14点、それにスタンドが3点の計17点で出来ている。脚ナシだとはいえ、こんな複雑な形の飛行機が14点で出来るとは驚きだ。




  成形色は黒。なかなかイイ感じの色なので、そのまま使うことにした。そうはいっても接着面のすり合わせとか、金型の合わせ目のめくれ上がりとかを、ちゃんと処理しないといけない。塗装しないというのは、隙間なく・傷つけず・確実に組むことなのだから、いつもより注意して組んでいく。それでも2時間くらいで形になった。 すぐに出来ちゃうって、気持ちがいい。それにしても、脚ナシなのにスタンド用の穴は自分で開けるようになっていて、ハセガワの気持ちがよく分からない。もしかしたら下面パーツを改修して、脚付きキットを発売するつもりだったのかもしれないな。




 塗装指定を見ると、排気口やピトー管に色指示がある。これらは塗らない方が怪しさを強調できるので、塗らない。キット発売から25年が経過しているのでデカールは少々傷んでいたが、なんとか使えた。最後にトップコート「光沢」の缶スプレーをプ~っと噴いて、完成とした。




 ウン、なかなかいい。本気で作ったらタマゴ飛行機みたいになっちゃっただけで、これはこれで「限定再生産」したら買う人がいるんじゃないかと思うほどの存在感だ。
 私が所属するSLBの来年5月の展示会テーマは「三角」で、これで1品完成である。マニア注目の黒い三角形になるだろうと、今からワクワクする。
PS:この珍キットは「1/72」なのだが、何の「1/72」なのだろうか? これはナゾである。


  Home>アメリカ空軍 ステルスファイター (ハセガワ 1/72)

Vol 60 2013 October.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
  無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」

製作記事

TOTAL PAGE