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誌上個展

タミヤ透明彩雲 (タミヤ 1/50)

by 田口博通 Hiromichi Taguchi




 「タミヤ透明彩雲」この響きには特別のものを感じるのは私だけでしょうか。「タミヤ透明彩雲」の愛称で親しまれている1/50の傑作キットをこの特集の機会にと 作ってみました。いつかは作ってみたいと思っていたキットで約45年のリベンジを果たしました。
 初出は1960年代初頭、モデルアート第一集(1966年)に掲載されているという伝説のキットです。胴体内部、エンジンまで精密に再現されていて、当時の国産プラモデルのレベルを大きく引き上げたものと評価されました。
 現在は 残念ながら 絶版とはされていますが、タミヤのイベントなどで 時折 登場します。これだけの伝説の傑作キットですから、時折 再生産して我々プラモファンを楽しませていただきたいものです。

 下の箱絵は2代目のもの?で、素晴らしいタッチで描かれています。




 透明ギミックだけでなく、全体のスタイルはタミヤらしく 胴体のスマートさがより誇張されているのかもしれませんが、偵察機である彩雲の本質がよく表現されています。
これだけのキットが日本のプラモデル黎明期の1960年代に設計されたとは、すごいことだと感じます。
 それでは製作にかかりましょう。押入れに在庫してあるがもったいなくて作れないというプラモファンも多いのではないでしょうか。墓場まで持って行っても ただのプラゴミ。ぜひ ご一緒に作ってみませんか。50年前のタミヤの設計者がこれだけのものをせっかく残してくれているので、透明胴体と、各部の可動をそのまま生かして、現代の製作技術で作ってみることがもっともお奨めです。




製作

 主翼は 当時の当たり前の流行、オール可動で、主脚、フラップ、エルロンが可動となっています。
尾翼もエレベーターが可動です。
 主脚は実機はサンコロビと言われる機構で、脚下げ時に前に張りだします。実機は主脚軸と回転軸が垂直ではなく角度がついていて複雑な動きをするのですが、タミヤのキットはそれを少し簡略化して それらしく可動を表現しています。
 エルロンとエレベーターは だらっと下がるのがみっともないので、中立位置保持用にガンダム用の1mm径スプリングを埋め込んでおくと良いでしょう。
フラップは金属板が可動レールに使われて、ファウラー隙間フラップの動きを表現しています。レールの引出長さが足りず、もう少し金属レールが長いといいのですが、主脚可動メカにぶつかるので、この長さに設定したものと思われます。


 
主翼の組み立て
水平尾翼  
やはりガンダム用スプリングを埋め込んでいる。


 胴体は半身が透明となっていますので、エンジン、コクピット内部を丁寧に塗り分け、作っていけば、思ったよりも簡単です。
透明胴体を通して、見えるのですから コクピットとエンジンの工作は最も 楽しめる部分です。
楽しみつくしてしまいましょう。
また、尾輪と着艦フックは可動になっていますので、しっかり生かしましょう。
 資料は「丸メカ彩雲」をお持ちならば 引っ張りだしてみてください。参考になります。

コクピット内部とエンジンを丁寧に塗り分ける。


左右の胴体を仮組し、エンジン中心が機軸と通るようにエンジン架を調整する。
透明胴体側の計器部品は接着で透明部品を汚してしまうので、省略してある。

  

主翼と胴体を結合し、カウリングも仮組してみる。


下面

塗装

 透明モデルは 透明に残す所をマスキングテープでマスキングするだけで、他は一般の航空機プラモデルと同じです。


左右接着部はまわりこんで外面塗装してしまう方が綺麗に仕上がります。 その際に、外面を塗装する部分を内部色で先に下地塗装するといいでしょう。
その上にサーフェーサーで下塗りします。



下面塗装はサーフェーサーの上に、パネルラインを先にニュートラルグレーで吹いています。

この後海軍下面色No35を吹き、陰影をつけます。可動部はしっかりとマスキングをします。

上面塗装          カウリング色の塗装 
 


デカールが年月で劣化しているのは避けられないので、日の丸もしっかりマスキングして塗装しています。
下面色で下塗りしてから赤を塗ると発色が良い。
キャノピーは厚めですがよく金型が磨かれていて透明度は非常によいものです。日本機のキャノピーは枠が多いので、マスキングゾルでマスキングして 艶消し黒か内部色で下地塗装してから、上面色で塗装すると透けません。

完成へ

 ピトー管をシンチュウパイプと洋白線で自作し、機銃架もプラ板で自作するといいでしょう。

完成までの過程は本当に楽しいものでした。現代のプラモデルが失ってしまったプラモデルを作る楽しさがそこにありました。それを十二分に堪能しました。
 中学生の時から遠く夢見ていたタミヤ透明彩雲が完成です。おそらく当時の製作技能ではうまく完成できなかったかも知れませんが、経験を積んだ?現在では意外と軽いものでした。約45年のリベンジが果たせ特別な感慨があります。この一週間というもの完成した機体を毎日ながめつつ、プラモデルの楽しさに悦に入っています。
 皆様も押入れから取り出して 作ってみませんか。久しく遠ざかっていたプラモデルを作る楽しさを実感することが 必ずやできると思います。






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Vol.62  2013 December.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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