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メッサーシュミットBf109G-6
(アリイ Arii 1/48)

by 加藤 寛之




 ご存知、旧オオタキのベテランキット。細部再現にこだわらず大づかみに形をとらえているので部品点数は少なく、それでいて各翼の断面形やプロペラの捻り、上反角などの基本的な飛行機らしさに手抜きはない。 エルロンの羽布表現といったら、実感と模型らしさは絶妙な仕上がりで、現行新製品も遠く及ばない。ぜひ、一度見てもらいたい。“最高級品ですか”と聞かれれば“違います”と答えるけれども、現行標準価格800円のキットだと考えれば充分すぎる価値を持っている。




 キット指定ではコックピットから組むようになっているが、最初に主翼を組んで乾燥時間をかせぐ。ついでに翼下面の冷却器空気取入口や爆弾ラックも接着しておく。ここで戻って、コックピットは床板、計器盤、椅子、背板、操縦悍、照準器の6点構成。シートベルトは椅子にモールドしてある合理的処理で助かる。“計器盤にデカールを貼れ”とか、“シートベルトを調達しろ”とか、面倒なことは要求されない。これらの部品をどのように組むかを別図に示してあるのも親切だ。排気管は胴体内側から取り付ける。その前に排気管上部を覆うカバーの縁を薄く削っておく。さらに2・3の部品を挟み込めば、胴体左右を接着できる。胴体の乾燥を待って合わせ目を整形し、機首上部にある胴体機銃の膨らみパーツを接着する。これが意外なほどよく合って嬉しかった。  胴体が出来たら、主翼と組み合わせる。まず、胴体と主翼下面の前後を瞬間接着剤で固定する。主翼下面後方では胴体との削り合わせが必要だったが、パテはほんの少ししか要らなかった。主翼を組み込んだだけでは上反角が足りないので、翼端間にマスキングテープ渡して引っ張りながらフィレット部分と固着させる。この引っ張り上げをするので、先に胴体と主翼下面の前後を固めたのだ。固めておかないと、主翼下面が飛び出してしまう。胴体と主翼をピッタリと接着すれば上反角がちゃんと付くし、フィレット部分に隙間は生じない。胴体と主翼を接着したところの乾燥を待つ間に、ガンパックや燃料タンク、脚などの接着や整形をすませておく。




 塗装は水性塗料を使った。冬は寒いので窓を開けたくないし、関東は湿度が低いので部屋を温かくすると意外なほど早く乾く。やっかいなのは、塗料をいったん小皿などに出すと時間がたっての再使用は使い心地が極端に悪く、使うごとに色を出す必要があることだろう。だから水性塗料の場合、私はビンの色そのままで使っている。各部分の色は、だいたいはキット指定のように塗った。考証派の方には気になる部分もあるだろうが、私は「アリイのキットを作った」のだから、これでかまわない。今回は胴体側面にあるインクスポットのぼかしに新工夫を思いつき、その試作品としてこのキットを選んだのだけれども、これが見事に不成功で、これまでと何も変わらない結果になった。こんなこと、書かなければ分からないのだが、本人としてはガッカリしている。
デカールは、800円のキットだと思うと悪くない。“ちょっと寸法が大きいかな”と感じるが、ハデで見栄えがすると思えばよい。スピンナーの渦巻きデカールは無かったので筆で描いたが、ちょいと我の力量に落胆でスッキリしない。まあ、実機だってテキトウに塗っているので「実感がある」と思っておこう。垂直尾翼の鍵十字もなかったので、手持ちのデカールから探して貼った。




 何か月ぶりかの水性塗料にまごつきながらも、苦労もなく完成した。実は私、旧オオタキのこのシリーズは数種類しか作っていない。72モデラーだからなのだが、そろそろ作っておかないと金型劣化が進みそうだと思い、前述の塗装実験も兼ねて今回の製作となった。 精密さや形の正確さでは今日のキットと比較できないが、気楽に作れる楽しさやプラモデルらしさ、飛行機らしさへのこだわりでは優っているのではないか、そう思うキットだった。
追記:外箱を撮影前に折ってしまった。申し訳ありません。本物はちゃんとしています。




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Vol.63  2014 January.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /             editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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