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誌上個展

彗星12型(エルエス1/75)
Suisei 12 (LS )

by ヒサマロ




 今月の第2特集はエルエスということで我が家のお宝ボックス捜索すると彗星と零戦21型が出てきたので今回は彗星を製作してみました。このキットはエルエスの最初期の一つで私も小学生以来50年ぶりに作ることとなりました。
 当時は色も塗らず30分くらいで組立て、脚を引き込ませ胴体の爆弾倉を開けて爆弾を落として遊んでいたことが想いだされます。今回は塗装はきれいにしますがそれ以外は外形などのフォルムは全くいじらずキットのまま製作してみました。



 まずはお約束のコクピットからですが50年代のレベルのキットによくあったパイロットとシートが一体になったものが2組あるのみです。そのパイロットも頭部が異常に大きくなっておりますが気にせず丁寧に塗り分けます。胴体内は全部フラットブラックを塗っておしまいです。個人的にはこのスケールではこれもありだなと思っています。必要以上に細かくすることが出来の良いキットだとは思えません。むしろ全体のフォルムこそイメージどおりという方が最優先されるべきではないでしょうか。 説明書に前席計器盤が印刷されており、これを切り取って貼れとの指示があります。当時としては進んだ考え方がされていたと思います。胴体を接着すると機首付近に隙間が開くのでパテ埋めします。主翼を組み立てる前に脚を組み立ててしっかりと可動出来るように上部を削って調整をします。削らないと引き込ませる時に上翼と干渉してしまいます。主翼と胴体の結合部にも隙間が開くのでプラ板と溶きパテで処理しておきます。



 キャノピーと胴体部分も結構大きな隙間がでますので接着剤でしっかりとつけた後で隙間に木工用ボンドを楊枝で流し込みます。乾燥すると透明になるのではみ出して汚くなった部分は水を含ませた綿棒でふき取ればきれいになります。さてこれで外形は出来上がりましたので塗装にかかります。上面グリーンに下面グレーで、塗りわけ線は彗星の場合は波形になっているのでそのように塗り分けます。 問題はデカールで当然使用出来なくなっていますので日の丸は零戦52型のものが大きさがちょうど合っているようですのでそちらから転用させてもらいました。垂直尾翼の記号は適当なものがありませんでしたので下書きなしのぶっつけ本番で手書きしました。多少のよれは地色のグリーンで修正すれば何とか見れるようにはなります。これにて完成です。



 今回50年ぶりに製作してみて気づいたことが三つあります。このキットは垂直尾翼が小さいタイプなので増加試作機か彗星12型の初期の機体をモデルにしていること。脚を引き込み可動にするために主脚カバーの胴体側につくカバーを省略していること。最後に全面凹みの筋彫りがなされていることです。60年代中ごろでこれはすごいですよ。エルエスという会社の見識と技術力が垣間見れます。無論当時のキットですから各翼の後縁が厚いとかはめ合わせに難があるとかイチャモンはいくらでもつけられますがこの時代の日本のキットとしては最先端を行っていたと思いますね。 なにしろ可動部を取り入れながらも全体のフォルムを崩さずに仕上げていることが立派です。当時の日本のプラモデルはあくまでもその機体に見えるという「~もどき」が多かったのですから。どっから見ても立派な彗星で子供のおもちゃとスケールモデルを両立させています。この姿勢はエルエスのその後のキット零戦21型や52型でピークを迎えます。オール可動のおもちゃなのに当時最も零戦のフォルムを捉えたキットとしてわずか100円で購入できたのですから。




 エルエスはとにかくマニアックな機体選択で次々と日本機だけを発売してくれましたし、それ以外でもレーサースポーツ機とか車では昭和30年代のレトロなものとか1/144のジェット機や大戦機も出来が良く、すてきな発想や企画が出来る会社だったと思います。 残念ながらなくなってしまいましたがその金型は残って今も入手可能なキットがたくさんあります。そうそう会社の場所が東京や静岡でなくて岐阜というところもかわっていましたね。今回も50年ぶりにこのキットを作る機会を与えてくれた編集部に感謝感謝です。




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Vol.64 2014 February.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /             editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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