Home> 連載 世界の名作発掘(第45回) RF-101B (マッチBOX 1/72)

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第45回)

RF-101B (マッチBOX 1/72)

by 鳥巣 Torisu


 

<実機解説>

 ベトナム戦争が始まって以来米空軍が使用していたRF―101は消耗が続き偵察部隊の運営が困難になり在欧米空軍から米本土に帰還してきたF-101をそれぞれRF-101G/Hへ改修して偵察機兵力の増強に努めていたが時に実戦参加を要求されるANG(州空軍)の偵察機部隊は旧式のRF-84を使用しているというお寒い状態であった。このような状況の中で空軍当局は運用コスト高でANGから退役が進められていたF-101B複座防空タイプに目を着けこれを偵察機型に改修してANGの偵察機部隊の補強に使おうとしたが何故か1機だけの改修にとどまりカナダから返却されたCF-101B22機を改修する事に変更した。
 機首部にレドームを持つCF-101ではカメラを機首部に搭載することが出来ず空力的に弄れなかったので機首部下部にカメラを搭載するフェアリングを設けた為従来の偵察機型ブードゥーとは外見上大きく異なった。
複座機からの改修なので後席はRF-4Cと同じ偵察システム士官席となり、ファルコン空体空ミサイルを搭載したミサイルベイ内部はドップラーレーダーと電波高度計収容の為に活用された。
22機と改修機数が少なかった為ミズリー州の192RSに配備されたが4年間使用された後RF-4Cが配備されたので費用効果の悪い短命な機体運用であった。

諸元

全幅:12.09m
全長:21.16m
全高:5.49m
エンジン:J57-P-55×2
最大速度:M1.5
最大航続距離:3.315km
乗員:2名



<キット解説>

 イギリスのマッチBOX社が運河彫りのモールドに移行する前の1970年代末から1980年代初頭に発売されたキットです。
大雑把なパーツ割と温いフォルムそして何故か3バリエーション(F-101F・CF-101・RF-101B)も選んで作れる一粒で3度美味しい(悩ましい)と言うマッチBOX社ならではのキットです。
デカールも3機種分入っていてサービス満点ですが色が滲んでいたりコーション類の文字が読めなかったり当時の技術レベルを知る事が出来ます。
キャノピイーは肉厚ですが透明度は良いです。
特筆する点は72で唯一のRF-101Bも作れる所です(実機は機数が少なく僅か数年で退役)実はマッチBOXのキットを見てその存在を知りました(笑)

箱絵

箱絵裏の塗装図

製作

<コクピット>

 バスタブ式のコクピットフロアーに座席とパイロットの3点で構成されています。計器パネル類とステックは有りません。
コクピット内部をエアークラフトグレーで塗装した後プラ板でデッチ上げたメインパネルとキットのフロアーパーツ左右にハセガワ製F-4のコクピットパネルのデカールを貼りコクピットがスカスカにならないように表現しました。座席に塗装したパイロットを座らせてコクピットの製作は終わりです。


<翼と胴体の組み立て>

 コクピットの製作の次は翼と胴体の組み立てに入ります。
主翼の上下の合わせは良い方ですが付属しているエアーインテーク上下に大きめの隙間が生じたのでプラ板とラッカパテを盛り付けて埋めまし。
胴体側の合わせも比較的良好です。コクピットを胴体に組み込みM6のナットを錘として入れたあと胴体左右を貼り合わせます。
次にレドームとカメラベイを取り付けます。胴体との接合部に少々隙間が生じたので此処もプラパテで埋めて整形しました。
翼と胴体を接着する前にインテーク弁を左右胴体に取り付けますがキットのダボが着いたままだとエアーインテークに上手く合わないのでダボを切り飛ばし主翼側にインテーク弁を取り付けてから胴体と主翼を結合させます。
胴体と主翼付け根部分に隙間が生じたのでパテ盛り修正をしました。


<サフ吹きとスジ彫り>

 各所の隙間に盛ったパテを#400・1000・1500と紙ヤスリの番数を上げてペパー掛けをし#1200グレーサフを吹き付けて基本整形作業は終了です。

ヤスリ掛けで消えたパネルラインを彫り直します。
トライツールのP―カッタとモデラーズのマスキングテープそしてテンプレートを用いて大まかな直線部分のみを彫り直しました。


<塗装>

 ベトナム戦争当時から1980年代まで塗られていたアジアンスキームを塗装します。
機体下面Mrカラー311
機体上面Mrカラー310・303・309
のベトナム迷彩4色で塗りました。
先ず機体下面に311を塗装します。
塗装後一晩乾燥後マスキングをして機体上面の基本色310を塗ります。次にジャーマングレーでパネルラインに沿ってシャドー吹きを施します。
その上に再び310を塗り濃淡を表現しました。
緑の迷彩は筆塗りでガイドラインを描いてから中から外へ向けてハンドピースで吹き付けます。
ベトナム迷彩の塗装が終わったらタミヤ製スミ入れエナメル塗料の茶色と黒を機体全体に流し込みウオッシングを施してメリハリを着けました。



<デカール貼り>

 マーキングはネバタANG所属の192RS仕様機としました。
キットのデカールは経年劣化とデカール保護紙が綺麗に剥がれ無かったので国籍マークとティルコードそしてカメラ窓の黒丸のみキットの物を使用しそれ以外のデカールはコクピットで使用したジャンクデカールのハセガワF-4の残り物を流用しました。
デカールの貼り着けた次にマークセッターを塗り1週間放置した後デカール保護の半光沢クリアーを吹き付けました。



<キャノピー・脚周り細部部品の取り付け>

 組み立て作業の最後として筆塗りで塗り分けたキャノピーを取り付けます。
ちょっとチープなデテールな脚柱を着けたらマッチ社の売りなのか分厚い脚カバーとイモ着けのピトー管を取り付けます。
一番最後に単なる太い筒にしか見えないエンジンノズルを着けて完成です。



今回も模型史上から忘れられているマッチBOX社のF-101ブードゥーを作る機会を与えて下さった編集部に感謝です。 参考資料
文林堂 世界の傑作機No101「F-101ブードゥー」




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Vol.64 2014 February   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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