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         Kawasaki Ki-100-1 type 5 Bubble top (Aoshima 1/72)


五式戦乙型涙滴風防
(アオシマ 1/72 真・大戦機シリーズ №8)
Kawasaki Ki-100-1 type 5 Bubble top (Aoshima 1/72)

by 田口 博通 Hiromichi Taguchi




 昨年12月に待望の再開が果たされたアオシマ1/72「真・大戦機シリーズ」のニューフェース 五式戦。 甲型角型風防は  本誌2014年1月号のニューキットレビューに 加藤氏による製作記事が掲載されているので、今回は乙型涙滴風防を紹介しよう。   このアオシマの五式戦 新キット 合いもいいので、簡単に作ることができた。パテが必要だったのは、別部品になっている主翼機銃部のみ。 気軽に作ってみることがお奨めだ。 


キットについて

 アオシマの新五式戦キットについては1月号の加藤氏の記事に詳しく述べられているので、乙型涙滴風防に関する部分だけ書くと、まず 箱絵を見て、懐かしい気分になったプラモファンが筆者の周囲にも多いようだ。
 実は 旧版五式戦の上田画伯による素晴らしい箱絵から流用されているのだ。今回のデザインは画が箱いっぱいに広がるもので、迫力、実感満点である。
 乙型の部品ランナーは当然のことながら、胴体部品と透明風防が別部品になっている。他は甲型と同一である。
 説明書に塗装マーキング図はあるが、説明が全く無いので補足しておこう。箱絵になっているデカールのマーキングV39は、愛知県清洲飛行場に展開した飛行第5戦隊39号機(第5戦隊長馬場保英大尉機)のもので、Vはローマ数字5を図案化したものだ。デカールは他に33号機、88号機、48号機が付属している。 コーエーから発行されている「AERO No.6 日本陸軍戦闘機」に第5戦隊長機として塗装図が掲載されていて、それによると 上面茶系色、スピナーは赤と白の派手なものとなっている。 


「真・大戦機シリーズ」五式戦乙型涙滴風防箱絵


旧版の箱絵

  胴体部品


乙型のデカール

製作

 
コクピット
 コクピット部品は 1/72としては精密なものとなっている。そのために部品点数が多いが、幸い合わせがよい。左右の壁部品で座席支柱とブレーキ部品を挟み箱型に組み立て、計器板で補強すれば強度が確保できるようだ。  キットの説明書では組み立て順序と接着位置がわかりづらいのが難点だが、立体パズルが好きな方はパズルを解くように楽しみながら組み立てることができる。

 内部は個人的な好みで緑系(Mrカラー特色303)とした。もしくは川崎系内部色(サンド系)、青竹色などで塗装すればいいだろう。コクピットをキャノピー外から覗きこんで楽しみたい方は、パイロットを乗せない場合、シートベルトを板鉛などを切って追加しよう。

エンジン
エンジンは 複列シリンダーが簡単な構成で再現されている。よく観察すると、前列エンジンには ポリキャップが仕込めるように設計されているので、自前でプロペラ軸径に合うポリキャップを調達し使うとよい。(タミヤやハセガワのキットのものが流用可能)  エンジン部品と自前調達したポリキャップ。


胴体の組み立て
胴体内部を内部色で塗装し 完成したエンジンとコクピット、胴体機銃、D2排気管を組み込む。
 エンジンは説明書とは違い、完成した状態で組み込む必要がある。 
C28胴体機銃は 説明書に指定がないが、写真の位置に接着する。
 D2排気管もスリットから排気管が見える位置で、カウルフラップに寄り過ぎないように注意して接着する。
尾輪は最終段階で組み込むことができるので、尾輪収納部のみ塗装しておこう。





胴体と主翼の組み合わせ 
 機首上面パネルは胴体左右接着後に機銃銃身と銃口を合わせながら組み込むといいだろう。
 カウリング前面もこの時点で接着すると、機首の接着継ぎ目の成形が容易になる。
 主翼はタミヤの流し込み接着剤を使い、翼端まで丁寧に接着して ピンと張り、翼端までネジリ下げを自然につける。動翼のリブは強調されたモールドになっているので、好みで、少しサンドペーパーでやすってもいいだろう。主翼機銃部は合いが若干悪いので残った隙間をパテで埋める。主翼の上半角は 5度40分だが、接着時にちょっと油断すると小さめになってしまうので、しっかりと左右主翼の角度を同じになるように慎重に瞬間接着剤を併用して固めてしまおう。
 
 この胴体だが、実機は飛燕の液冷エンジンを太い空冷エンジンに換装したので、細い胴体径との違いをなだらかにするために、胴体側面から主翼付け根フィレットの部分にかけて ぶ厚いエアロパーツが付加されている。アオシマのキットは操縦席からカウリングまでの胴体幅がやや細く見えるので、エアロパーツの部分にアルミテープを2枚重ねて貼り、イメージを強調してみた。 


MA誌1995年11月号(日本陸軍単座戦闘機特集)をお持ちの方は、45ページに拙稿による図があるので、ご参照下さい。
   


塗装
 五式戦の塗装は、濃緑色系か 土草色系となっている。今回のV39号機は 先述のAERO本から
 上面 Mrカラー特色No.132 土草色
 下面 同No.128 灰緑色
で筆塗りした。
その他の号機は、
 上面色 緑系No.130 川崎系濃緑色
 下面 銀 No.8
の組み合わせでよいようだ。 
V39は第5戦隊長のため、胴体に白帯がある。スピナーは赤と白の派手なものだ。
フラップ上面の警戒表示赤線もテープでマスキングして塗装した。
油絵具のローアンバーでスミイレを行い、デカールを貼り、艶消しクリアをデカール保護を兼ねて スプレーした。



脚など
 主脚は差し込み部がもう少し長いと 角度もきちっと決まり、気持ちがよいのだが。
 脚カバーは薄く、シャープに仕上がる。
プロペラは先端が後に若干曲がった感じに整形されているので、耐水ペーパーで丁寧にやすって先端までピンと伸ばしておこう。
 中央風防は説明書の表記がわかりずらいが、部品がサービスで2個付属しており、 開閉2状態から選択できるようになっている。


完成


 アオシマの真五式戦キット、総括すると 大変良く出来ている。実質3日で さらっと作って こんな感じに仕上がる。迷うことなく、ぜひ 一作をお勧めしたい。 ユーザーの支持が得られれば、アオシマ1/72「真・大戦機シリーズ」がこれから益々発展して、店頭にたくさん並ぶようになるだろう。我々プラモファンの楽しみも一つ増える。



改善を望む点
 残念だったのは キットそのものが大変良く出来ているのに、説明書がわかりづらいことだ。言葉を排除し 図だけでの理解をめざしたのだろうが、成功していない。 おそらく、図だけにしたのは、輸出も考慮した説明書なのでとのことだろうが、どの国の顧客にも理解しづらいものになっては 本末転倒だろう。
 顧客が組み立てに必要とする最低限の言葉による説明は必要ではないだろうか。
 アオシマのキットはサービス精神旺盛で せっかくサービスでつけた多くの部品まで 説明書がわかりづらいばっかりに、無駄になってしまっている。 
 塗装説明図も、細かいデカールの貼りつけ位置と細部塗装の指示はあるが、上面色と下面色の塗装指示が全く無い不思議なものだ。
 また、マーキングも説明書には一切言及がないが、デカールに使用した飛行第5戦隊の名称くらいは記載した方がユーザーの興味も呼び込み、親切だっただろう。それが本当に惜しい。 

 アオシマ1/72「真・大戦機シリーズ」がこれから発展して、好循環を生むには、もう少し 顧客目線での説明書作りが望まれる。




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Vol.68 2014 April.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
           editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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