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プラモデルの製作

ミコヤン・グラビッチ I-270
(Aモデル 1/72)

  by 加藤 寛之




 「こんな飛行機、知りません」という方が圧倒的多数だと思う。ミコヤン・グレビッチがWWⅡ終戦直後に試作したロケット戦闘機の試作機がこれ。後退角翼を直線翼にしてはいるが、どうひいき目にみてもMe263のパクリだ。同時期にスホーイはMe262の類似機Su-9を造っているがこちらも直線翼だった。この時のソ連では後退翼の研究が進んでいなかったのだろう。その後スホーイはというと、この類似機が憎っくきドイツのまねだということでスターリンの逆鱗にふれ追放される。 それが本当だったらミコヤン・グラビッチのI-270はどうなのか、B29のコピー機を造ったツポレフはどうしたものか、となってしまう。どう考えても追放理由は別にあるね。話をもとに戻すと、ロケット機そのものはソ連が以前から研究をしていたけれども、この機体の装備エンジンはドイツのワルターのコピーらしい。チョイと手を加えて、とりあえず飛ばしてみようか、みたいな戦勝国の余裕ということか。




 今月はいろいろあって、自分の好きなプラモデルを作る時間がなかった。でもそれも無事に終わったということで、気晴らしにこれを開封した。簡単に出来そうだったから、というと初期のAモデルを知っている人にはウソにしか聞こえないだろう。でも実質6時間で完成したから、Aモデルとしては非常に出来が良いキットだということだ。 つまり、胴体の周囲はバリで覆われ、主翼は表面ヘロヘロで前後縁はクタクタ、モゴモゴした小物パーツとヒビが入ったバリだらけのキャノピー程度で済んだということ。なんと言っても空中にパーツを接着するような事態はなく、主翼から突き出た胴体取付けのベロが障害物でしかなかったくらいで、あとはパーツの接着面を削りだすだけで組み立てられた。


 

 資料は航空情報別冊『世界のジェット戦闘機 仏。・英・独・ソ連』編(昭和43年)で念のため確認したくらいで、あとは「キットを組む」方針で進めた。上述の状態だから「キットが組めれば」上出来なわけで、まあ、6時間にしては結構よくできたのではないかと思っている。
 コックピットは6点構成で、床板裏面が前脚の取り付けを兼ねている。そのため錘を前に載せられず、大きな鉛の棒をコックピット背後に仕込んだ。胴体にコックピットを入れ、胴体を接着する。接着面を均すことは当然のこと。
それでも生じる隙間や凹みは、ガリガリ削ったカスが詰まったところに瞬間接着剤を流し込んで固めればパテの代用品になる。主翼は1枚物で左右別々。翼上面の全体を削って均し(裏面は手抜き)、胴体への取付けベロは切り落として、接着部分を直線的に削る。上反角が分からないのだけれども、中翼だし上反角をあまりつけないソ連機だから、やや弱めにしてみた。あとは全部がこの調子だから、書くのも面倒、要するに削りながら組立てました、ということだ。極力削りだけで済ませることが、組立てを早く順調に進めるコツだ。



 機体塗装は銀色。簡単でいい。GSIクレオスMr.カラーの銀に灰色を加えた色で全面を塗り、その後にシャインシルバーで調子を付けた。1号機ならば機首両側にデザイン化された鳥の翼のような赤い図柄のデカールを貼るのだが、今回は色味がない2号機とした。 このほうが手軽だし、いかにも機械ですといった感じのそっけなさがソ連らしい。この時期になると主翼上面に赤星が描かれるようになったのだろうか、やはりここに国籍マークがあると模型としての見栄えがよい。



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