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誌上個展

震電 (造形村 1/32) 「ハ四三発動機」

by 田口博通 Hiromichi Taguchi

 今回の特集に合わせて、造形村の1/32震電を2月に製作を開始しましたが、結局 完成したのは ハ43発動機部分だけとなりました。
 震電はプロペラが後部にあるエンテ型と呼ばれる形式のため、重心位置にできるだけ近い位置に発動機本体を積むべく、後部プロペラまでは延長軸で結合されています。
ハ43エンジン自体は 定評の高い金星を18気筒にアップし、離昇2100馬力を狙ったものです。2段の過給機を機体前方側に装備しています。




 2年ほど前のことですが、当時赴任していた中国青島から一時帰国した折りに、久しぶりに秋葉原に行き、プラモ店めぐり三昧の楽しい半日を過ごしました。 その時に駅前のボークスで 初めて見たのが 造形村の 1/32「震電」です。
 機体内部から設計され、外板をかぶせたようなプラモデルと聞いていて、どこまでこだわって再現されている精密模型なのだろうかと興味しんしんでした。
 箱を開けてみると、まず組み立て説明書が凄い。40ページになるもので、国産プラモデルでは 最も詳しい組み立て説明書ではないでしょうか。
 エンジン、排気系統、コクピット、から、機銃まで、内部の部品もかなりのパーツ数です。 
これだけでも相当なこだわりを感じさせられます。

 7,800円というのは高価に感じましたが、日本では 中国製のガタイだけでかいプラモデルが1万円前後の価格で幅を利かせているようですので、それに比べれば、相当 良心的なのかもしれません。清水の舞台から飛び降りるつもりで、購入して帰りました。

 エンジンは部品点数が多いですが、説明書に従い、根気よく、組んでいけば 形になります。プッシュロッド、ロックカバー(シリンダーヘッドカバー)、インテークパイプも別体ですので、精密に仕上がりますが、塗装のタイミングには頭を使います。
 
 プラグコードをつけるともっと精密感が増すのでしょうが、筆者の腕ではちょっと無理なので、いさぎよくあきらめました。それでも完成するとなかなかの精密感になります。
 本来は、ギアボックス下の配線環(環状配線管(B-11)から、プラグコードが各シリンダーに配線されます。剣豪の方は 配線環を自作し、シリンダーにピンバイスで穴を開けて、エナメル線か、糸鉛でプラグコードを配線するといいでしょう。





 スーパーチャージャー(過給機)は 、フルカン継手、渦巻き管、昇圧管が別体で構成され、組み立てることで、機構も理解できるという教育的なものです。
 プラモデルは組み立てることで、実機の部品名称や、機構などを理解できるというのは、本来のプラモデルのあり方で、大変嬉しく感じました。



 延長軸ユニットは減速機と延長軸覆い筒から構成されていますが、延長軸覆いの筒で隠れてしまう部分に 律儀に減速機の延長軸が再現されているのです。考えてみれば当然のこととはいえ、楽しいものがあります。
 エンジン排気管ですが、左右の4本は、オイルクーラーに直結しますので、オイルクーラーを作っておいて、それに仮組してスムーズに結合できるように位置決めする必要があります。
 発動機は複雑な立体形状にかかわらず、合いはばっちり、詳細説明書のおかげで組み立てはスムーズでした。というより、このキットは 詳細説明書が無ければ、組み立てるのは無理でしょう。
 

 
 これでハ43エンジン部分は完成ですが、ここまででもかなり楽しめました。発動機搭載架と強制冷却ファンをつけて、記念撮影。機体は完成していませんが、もう満足しました。
 
造形村を取り上げた記事を模型雑誌で読んだことがありますが、3DCADをおもちゃのように使いこなせる若い人達が、こだわりぬいて、設計したようです。この情熱とこだわりの姿勢に敬服。日本のプラモデルの未来も希望がありそうです。





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