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プラモデルの製作

P-51H ムスタング (RSモデル 1/72)

  by 加藤 寛之




ムスタングのH型は、72サイズのプラモデルの大穴だと思う。ただし簡易金型キットでない場合の話なのだが、出来が良ければ簡易金型でも良いかとも思う。では、「良い」とは何か? このキットは良いのかどうなのか、評価に悩むところだ。

ご覧のとおり、簡易金型とは思えないスッキリ感だ。外観のもたつきがない。表面仕上げもきれいだ。胴体内部も過不足ない部品数でまとめている。デカールは見栄えがする5種が用意され、質も良い。要するに、完成した姿が見事なのだ。それでも、私は悩む。




まず、個々の部品は簡易金型らしい余分な膨らみや型の合わせ目のはみ出しがある。これはきれいに整形する必要がある。その結果で整形されたパーツは精度が高い。つまり、きちっと整形すればバッチリ・ピッタリということ。原型は相当によく出来ているが、型の精度はやはり簡易、ということだ。尾輪の取り付けは、組みやすさ、それに用意した材質、強度への配慮のいずれもがプラモデルとして疑問。キットとして観賞するならばこれで良いが、組み上げるのは困難だ。私は簡単に後付けできるように尾輪を加工した。

胴体下の冷却器は、機内に導風板や機器を組み込むが、部品の干渉はない。これで完成後によく見えれば良いのだが、下面側の内部なので見えない。脚収納庫は深く作れるように別パーツになっており、中央にも構造桁のパーツがあって、すばらしい出来だ。ただし胴体側のカバーは閉めるようにとの指定があるので大部分は見えないし、そのカバーは翼下面とうまく合わない。こんなことが続くと、プラモデルとしての設計方針がどこかおかしいと思ってしまう。でも、完成後の姿は十二分に合格で、とても簡易金型とは思えないほど見事だ。だから困るのだ。




気持ちを切り替えて、工作についてちょっと書く。個々のパーツを整形するのは簡易金型ゆえに当然。翼機銃は前縁の整形に不便なので削り落とし、伸ばしたランナーで後から付け直した。主翼の後縁はさすがに厚く、これは下面からの削り上げでごまかした。風防は胴体と少々干渉するが、そこを削り落とすと胴体と見事に合う。

主脚はほんの僅かではあるが長いので、読者の皆さんは付け根をツメておくと良いだろう。アンテナ類は簡易金型らしいモッタリ成形なので、風防後方のものはプラバンで作り、下面の1本は伸ばしランナーに置き換えた。ピトー管は国籍マーク部分だったので省略した。


 

塗装はどれも見栄えがする5種のなかで一番簡単なものにした。私は塗装もデカール貼りもイヤなので、自分では当然の選択だと思う。デカールは薄手で質が良く、貼った感じが残らない。ただ薄すぎて、濡らしてずらすと紙の裏面にまわってしまうこともしばしば。すぐにクチャッとなってしまうから要注意。

この完成品も垂直尾翼右面の機番でやってしまい、左右で違う番号でもOKにした。結果、「作例」ならぬ「錯例」になったというわけだが、言わなきゃ分からないから、これでいい。フラップ付け根の赤ワクはデカールの寸法がちょっと足らず、一部を描きなおした。もちろん許容範囲。




完成品は72クラスとしては、本当に良くできたH型だ。でもプラモデルとしては? となると、簡易金型であることが問題なのではなく、箱に入った商品であることの見栄えを大切にした感じが気になるのだ。ん~、どう評価したものだろうか・・・。悩みますねェ。

 読者の皆様も買って作ってみてください。どのようにお感じになるのでしょうか。簡易金型の特性を知っていれば大丈夫、出来上がりの感じの良さは間違いありません。魅惑のH型を手に入れるのは今です(“今でしょ”と書かないところがいいでしょ)。


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