航空自衛隊浜松基地広報館に展示されているバンパイアT55練習機を拝観していると、 ついつい自衛隊が米軍ではなく、英軍の兵器体系を導入していたら、どうなっていたろうか、
とIFの世界を妄想していました。ホーカーハンターやキャンベラは日の丸がよく似あいそうで すし、ビートルズの侵略も史実より早まったろうし、ワールドカップでは優勝! と、なかなか
悪くないパラレル・ワールドを描けました。アメリカの方が日本に近いから、そんな事はあり 得ないと思っても、イギリス軍は香港に駐留していましたし、ジェット戦闘機/戦闘爆撃機の
バンパイアはカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ビルマ(当時の名称)、インドネシア でも配備していたので、夢話とは言い切れない気がします。
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さてバンパイアは、双ブーム型式かつコクピット周囲が木製であることで、ジェット戦闘機 黎明の時代を象徴する機体になっています。イギリス空軍が仕様書を出したのは1941年、
原型機の初飛行が1943年、部隊配備が1946年、そしてスイス空軍のバンパイアが引退 したのは1990年と、実に長寿の機体でもあります。
物持ちの良いスイスはバンパイアがお好みのようで、チューリッヒ郊外のデューべンドルフ にあるスイス空軍博物館では、ゲートガードを務めさせる上に、コクピット周囲の木製合板が
誰にでも分かるように展示していました。
北欧諸国の航空博物館にも展示は多く、バンパイアは最初のワールドワイドなジェット戦闘機であったことを物語っていると思います。言わば世界中から愛されたジェット機が我が国にも
あって、気軽に拝観できるのは、実に喜ばしい事です。 |