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プラモデル製作記事

ホーカー ハリケーン Mk..ⅡB
(エアフィックス 1/72)

  by 加藤 寛之




 当Web誌の先月号に投稿したレベルのコルセアに続いて作った。 キットの新発売は1970年代初頭で、型式表記はその後に何回か変わったはずだ。




 実に単純明快なキットだけれども、それなりにハリケーンに見える。モールドは金型が造られた時代を感じさせる。表面はボツボツとリベットが突出し、後胴の羽布表現などは手彫り感がある。パーツ精度は「だいたい、こんな感じだね」程度である。コックピットは床板と背部、イスで終り。計器盤も操縦悍もないので、自動操縦機って印象だ。 それでもだ、作るときに型式選択ができるので、武装は翼下砲や爆弾、ロケット弾、落下タンクから選べる。デカールは2種しかないので厳密にはマズいのだけれども、子供にはそんなことは関係ない(私は充分に大人だが、こども同様に関係ない)から、いっぱいあった方が楽しい。プラモデルが面白かった時代のプラモデル、そういう製品だ。




 まず、合わせが必要なパーツの接着面を軽く均す。ここのキズは老人の額に刻まれたシワのようなもので、欠点ではない。さっと削り、若々しく蘇らせる。胴体に床板と背部板を組み込み、すぐに左右胴体を接着する。塗装は上の穴から筆を入れて塗ればよく、イスは後から接着できる。この床板は脚庫の底抜け防止を兼ねているので、主翼取り付け前に胴体内部と一緒に裏面を塗るとよいが、私はここも組んだ後で筆を突っ込んだ。そう割り切れば、機内塗装をせずに胴体と主翼が接着できて、あっという間に飛行機の形が出来上がる。小さな窓を覗き込んでもなにも見えないし、ましてや下面まで透視できる人類はいないのだ。  主翼は下面武装用の小穴を開ける程度で上下接着できるが、前縁にあるライトの透明部品には多少の工作を要する。まず透明部品の底部に銀色の丸を描き、その上から黒を塗る。側面も黒く塗る。主翼側凹部も黒塗り。その後に瞬間接着剤でライト部品を固定する。「機内色は黒じゃないだろう!」とのご意見もあろうが、その方が目立つので私の好み。こういう部分は各自で判断すれば良いのだ。固定できたら、その隙間へ瞬間接着剤を数回流し込んで埋める。完全硬化後に主翼に合わせて削ると、隙間が透明材で充填されている。銃口は開口せず、赤いテープを貼ってカバーしていることにする。




 この時代のエアフィックスのキットは、左右胴体の合わせ目がちょっと凹んでいたり、下面側で胴体と主翼の各パーツの接合がグチャッとしていたり、そんな状態になる。ここは整形後にパテを少量使って均した。「整形→不足分だけパテ」が大切で、パテの量が少なければ、擦りこんですぐに乾燥するから工作しやすい。削り落とすパテは盛らない、これである。  そんなこんなしているうちに形は出来上がり、塗装である。その辺りにある似たような色を塗ってOKとした。緑と下面の灰色が日本機っぽいのは、それが原因だ。まあ、いいや。塗り終わってから、多少の斑になるように、全面にごくうすい黄土色を塗布してボヤけた感じにしてみた。これで日本機っぽさがちょっと薄れたように思うが、それは私だけかも。デカールは凹凸に馴染む良質なもので、気分が良かった。これで完成である。




 作って思うことは、「このパーツ構成で、外観を今風にしてくれればイイのに」「この肉厚があれば歪まず、組んでいて心地よいのに」「大雑把に組んでも、ちょっと押さえれば上反角バッチリだ」。そう、先月号のレベルのコルセアと正反対なのだ。 今の水準で見れば外観に難があるけれども、プラモデルであるべきことはしっかりと押さえてある。高い再現度で、少ないパーツで、簡単にだれでも確実に組める、子供にも組める、それこそがプラモデルで競う技術ではないのか。そんなことを思うのである。


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Vol.81 2015 May.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
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