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飛行機プラモデルの製作

Fw190 (バンダイ/モノグラム 1/48)

  by 加藤 寛之

 今年の1月、「飛行機模型スペシャル」(モデルアート社)08号をめくっていたときだ。あと何ページかで終わるころ、突然、衝撃がはしった。そこに“あの時の”モノグラムのフォッケがあったのだ。 青い胴体、小さなインクスポット、真っ赤な“23”は、記憶の奥底にあったモノグラムのフォッケだ。為則通洋氏が新たに作ったものだった。
“ぼくも作ろ”。




 キットの内面に「1965」とある。もう50年前のキットなのだ。全面に繊細な凸リベットとパネルラインが引いてある。実機と違うことは充分にわかるが、これこそ私が育った時代のプラモデルである。部分的に濃厚な表現でパネルやカバー類を造り込んでおり、いかにもモノグラム。 羽布張り表現はヌメとした弛みで、金属部分とは明確な質感差を作り出している。細部にこだわれば、それは今日の水準ではないが、実「感」、模型的な迫力は、圧倒的である。





 最初は、なんとプロペラ辺りから始まる。冷却ファンが奥にありすぎるというので、ちょっと加工する。ついでに、プロペラを最後に付けられるようにもした。キットはこれを最初に付けるという不思議な手順だ。スピンナーが小ぶりなのは、ちょっと前方に付けることで目立つようにしたのだが、これも最終段階のこと。 コックピットは四角く凹んだバスタブ型に椅子と操縦悍を付けるのみ。これを、胴体を合せたあとで上からポコッと落とし込む。まあ、便利なこと。計器盤はデカールを紙ごと切り出して貼る方式だが、どうせ見えないので省略した。尾輪も組み込み式だったので、後から差し込めるようにした。


 モノグラムのフォッケは、ほっぺたが膨らんだようになって、どうもマズい。為則氏はちゃんと修正加工しているが、私はそのままでイイのだ。それはさておき、胴体パーツの肉が薄いので、これでは上反角が甘くなる危険性がある。胴体内側をランナーで補強しておく。ついでに(じゃ、ないが)、垂直尾翼右側にもある三角形のハッチを削り落としておく。意外なほど簡単に済んだ。  主脚は主翼に組み込んでおく方式で、これはとても不便。翼内面の主脚柱部分に輪切りにしたプラパイプを付けておき、後から接着できるようにした。接着時に角度とか差込みの深さに気をつける必要はあるが、作業中にニョキッと出ているよりはマシである。



 そんなこんなをしていると、もう塗装になる。塗装指示やデカールは、今日の目でみれば多々の難があって、“ホントにこれでいいの?”と思うのだが、そのまま作ることにする。古いキットなのだから、その時代にあった衣装で良いのだ、という理屈にしておく。そんなこともあり、胴体と主翼下面は水色にする。この色でないと、モノグラム・フォッケの時代感にならない。
“お~、イイ色だ、ドイツ機はこれだよ”
と再確認する。
上面色はいま風に考慮した。1色はグレーバイオレットにした。もう1色は私の好きな「日本○○色」。昔は「何々な緑」とかでなく、なんでも「濃い緑」は濃い緑だった。塗り終わったら、表面を2000番の紙やすりで擦る。そうすると凸のリベットやパネルラインが地色になって浮き出す。これは凹表現のキットでは不可能で、凸表現ならではの見せ場になる。これは均一に擦らないことで、イイ感じになる。




 さすがにデカールはボロボロでヒビが入っていた。デカールの白い部分も黄変してしまっている。このデカールを使うつもりでいろいろやってはみたが、胴体側面の「赤いH」はバラバラになり、どこかの余りデカールの「赤い10」で代替、 大きなスワスチカもお洒落なものに、主翼下面の+マークは完璧に分解してしまったので他のもので済ませた。小さな注意書きのデカールなど貼れるはずもなく、筆でチョボチョボ描いて代替する。あとは適当に省略した。そう、テキトウにやるのだ。


 そして完成。「いまさらモノグラムのフォッケでもないでしょう」と言われれば、その通りなのだが、出来てみれば堂々たる「モノのフォッケ」だ。 似ているとか精度だとかとは全く違う重量感がある。難アリとは言われてきたけれども、そんなの全然気にならない。


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