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飛行機プラモデルの製作

 P-51B (モノグラム 1/72)

  by 加藤 寛之




 72スケールのムスタングを語るとき、1960年台後半に登場したこのキットは外せないと思う。圧倒的な品質で君臨していたモノグラムが作った72サイズで、これこそムスタングだという形と上品な表面仕上げは、そのころの国産品とは大違いだった・・・と言いたいけれども、実はそのころの私はこの目でキットを見たことがなかった。なにしろ値段が高かった。 72サイズが100円だったとき、このキットは私の町で400円くらい。お値段4倍では、買うなんてとても考えられない。
 大人になってから買ったはずのキットを探したのだが、倉庫のどこにあるのかわからない。仕方がないので持っていた人から譲ってもらい、今回の製作となった。




 パネルラインは整然とした凸線表現である。今日の目でみると、見えないところは大胆に簡略化と一体化を図ったキットである。ただし当時はどのキットも簡単で、むしろこのキットは造り込んである方だといえる。コックピットは横棒に椅子を載せるだけだが、シートベルトと椅子周辺も彫りこんである。 照準器と背後の無線器は胴体と一体成型。計器盤は左右胴体から扇形に出た板であり、これにデカールを貼る。床は胴体の続きで、底抜けではない。ここにある窪みに操縦悍を立てる。この底抜けでない構造により胴体は堅牢になり、胴体幅がガチッと決まる。しかもこの板は裏面で脚庫の目隠しを兼ねる。良い工夫だ。




 主翼は軽い事後変形があったので、矯正した。断面形状が層流翼を表現していないのは惜しいが、後縁は充分に薄い。水平尾翼、垂直尾翼のシャープさも、今日のキットを凌ぐほどだ。  風防は標準タイプの一体成型。ゲート部分が折れて白くギクギクしているし、金型劣化なのか表面に曇りも見られたが、まあ私にはそれでも許容範囲。マルコム風防を使うときは、標準タイプを切り出すことになるが、道具がなかった当時では難しい作業だったろう。当然のことながら、私は標準タイプで作る。主輪はなんと焼き止め方式。これは軸を切って普通に接着した。




 デカールは1種のみ。その辺りにあった似た色で指定塗装をする。説明するようなことは、垂直尾翼の黄色い機番の印刷が薄くて見えなかったので、適当な余りデカールで代替したくらい。最後に半光沢にする缶スプレーをプ~~っと吹いて、完成。 さすがに現代のキットではないが、角ばった機首上面や、後胴のスッキリとした形状、飛行機らしい造形への気配りは憎いほどである。なんと言っても、パーツ数が少ないので簡単にできる。プラモデルとして、これは嬉しかった。




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