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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー

Yak-38「フォージャー」 (ツクダモデル1/72)

by 鳥巣 Torisu



 

<実機解説>

 1960年代後半に入り当時のソ連も西側の流行りに乗っかり「VTOL(垂直離着陸機)」機の開発をやり始めてYak-36「フリーハンド(西側コード名)」を開発しVTOL機の初飛行に成功した。但しこれはあくまで実証機であり引き続きヤコブレフ設計局は実戦で使える実用機の開発を目指していたが空軍はVTOL機の武器搭載量の少なさすぎに興味を無くし開発は危ぶまれた。
 そこに海軍から当時構想していた大型対潜巡洋艦での防空及び攻撃任務で使用できないかと話を持ちかけられてヤコブレフは海軍用のVTOL機として専用艦載機Yak-38の開発を行った。ソ連流の「今ある技術で手っ取り早く作る」をモットーに既に開発の済んでいる新型エンジン(リフト用エンジン×2・推進用エンジン×1)3基搭載するレイアウトが決まると1967年に試作開始し1970年には初飛行するという短期間での開発に成功した。

 ソ連含めて東側由一のVTOL戦闘機として採用されたフォージャーであるが艦載機と言うサイズの制限の為比較的小さな機体になってしまい更に機体内部に水平飛行中には使わないリフトエンジンを積んだので燃料搭載量が極端に少なく飛行時間はわずか2~30分ほどでしかなく実戦機としては使い物になるのかと疑念が持たれた。

 そして搭載母艦である「キエフ」級空母(航空巡洋艦)が不活発で有った為目立った活躍は無く唯一アフガン紛争で地上支援で実戦を経験したが高温高地での運用であったためエンジン推力の低下が著しく悪くなり250キロ爆弾2発しか積めず全く使い物にならなかったと言う。

<機体概要>
 全長:16.7m
 全幅:7.02m
 全高:4.25m
 主エンジン:R27V-300(推力6,700kg)×1
 リフトエンジン:RD-38D(推力3,250kg)×2
最大速度:1210km(高空)
航続距離:500km
搭載量:1000kg(VTOL時)



<キット解説>

 ツクダモデルが飛行機のプラモデル事業を辞めるときに発売された一連のソ連機キットの一つです。
 当時Yak38はタカラのA-88シリーズの1/100しかまともなインジエクションキットが無く72では当時唯一の物だったと思います。
 実機に近い繊細なモールドで少なめな部品数と豊富なアクセサリーそして何故か他のソ連機まで流用(ミグ31・Su-25)出来るサービス満点なデカール(笑)が同封されているキットでした。
  ソ連崩壊後実機の公式写真や細かいデテール等が明らかにされると実機とは違う所(エアーインテイクの形状やキャノピー等)が散見されますが情報量の少ない冷戦末期に発売された物としては機体全体のプロポーションも大変良く表彰物です。


製作

<コクピット>

 コクピットはフロアー操縦かん・座席・計器盤の4点構成です。アッサリとしていますがキャノピーが肉厚で中が余り見えないので中をMrカラー312番(イスラエルグリーン)で塗装した後計器盤にデカールを貼り座席を塗って放り込んでコクピットの組み立ては終わりです。



<胴体と翼の組み立て>

 胴体下側に先に組み立てたコクピットを取り付けます。
次に忘れないうちに主エンジンを取り付けます。このエンジンは胴体を貼り合わせてしまうと全く見ないので外に出して機体と一緒に飾るのも良いでしょう(笑)
完成後は全く見えないリフト用エンジンを2個組み立てておきます。リフトエンジンを組んだら焼鉄色に塗り胴体上部のリフトエンジン取り付けの開口部に斜め前方向に取り付けます。取り付け角度が分かりにくいので資料写真を見ながら角度を決めました。
 機首先端部は狭いのでリフトエンジンと主エンジンの間にM4サイズのナットを錘として入れ胴体上下を貼り合わせて胴体部の組み立ては終わりです。

 主翼の取り付けは若干キツメですがそのまま着ければ翼の下反角は一発で決まりました。水平尾翼は逆にゆるめなので古くなったドロドロの接着剤でガッチリと取り付けました。
追加工として胴体後部に取り付けてある補助インティクの先端を軽くピンバイスで開口しました。



<パテ盛りとサフ吹き>

 パテを盛り付けたのは胴体上下の部接合部と装備品の燃料落下タンクのみです。タミヤのラッカーパテを盛り付け乾燥後#400・1000・1500と削り上げ#2000で全体を軽く整えて仕上げに#1200クレオスの缶サフ「グレー」で基本整形を済ませました。



<塗装>

 実機写真等ではくすんだ薄い青色の様に見えたので72スケールと言うことを考慮して機体上面は青色が濃く見える色で塗り(使用した色は失念)機体下面はMSザクの「薄い緑」を塗りました。 脚収納部やリフトエンジン内部にはグランプリホワイトで塗り分けました。機体全体にタミヤエナメル「スミ入れダークブラウン」をパネルラインに流し込み汚しを軽く施しました。




<デカール貼りと仕上げ>

 デカールは心配した経年劣化も無く使えました。
国籍マーク・機体番号・ソビエト海軍記とコーションマーク類を貼ってお終いです。
デカールの糊が弱かったのでMrマークセッターを塗り補強しました。
デカールの乾燥を確認したらブレンドで作った半光沢クリアーを吹き付けたのち脚と脚カバー燃タン・空対空ミサイル等を取り付けて完成です。



 ツクダがプラモデル事業から撤退する時期に最後に製品化したソ連機シリーズの一つであるYak-38を作る機会を下さった編集部に感謝です。

参考資料
文林堂・世界の傑作機No162「Yak-38フォージャー」
ネット収集の実機写真


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