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特集 温故知新
  温故知新シリーズ第20弾

震電(三和模型 1/96, UPC:マルサン 1/100)

by ヒサマロ
飛行機プラモデル製作




 どうもヒサマロです。今回の特集は温故知新ということで連載20回目は1960年代前半に小学生だった方にはおなじみの三和模型とマルサンの震電を取り上げさせていただきます。小学生が試作機1機だけのマニアックな機体をなぜ知っているかといえばひとえにこれらのキットとタミヤの1/72のキットが身近に存在したからに違いないと私は思っています。 ランナーから手で部品をむしり取って、べたべたと接着剤をはみ出させながらも30分くらいで完成させてしまったあの頃の情熱をちょっぴり思い出してみませんか?


三和模型の震電

 ではまず三和模型の方から見てゆきましょう。たぶん震電のプラモデルとしては最初のキットではないかと思われます。グリーンで成形されており、部品総数はスタンドを入れて24個とこのスケールでは多い方だと思います。 胴体左右のエアインティークは側面のスクープも含めてかなり幅広くガバッと開いております。コクピットも穴が開いているだけですのでインティーク部分も含めて胴体内側を黒く塗っておきます。






 左右の胴体を接着する前にプロペラを装着するのですがこのプロペラはまるでグローブのようでピッチなど全くありません。しかも装着方法は自分で虫ピンを用意し、画用紙を丸く切って止めろと組立図には記述されております。 そうあの頃の小学生の夏休みの定番と言えば昆虫採集ですね。その時期には必ず注射器、防腐剤、虫ピンなどが入った昆虫採集セットが売られていたものです。ですから当時の小学生には虫ピンは割と身近にあったものでした。今回は真鍮パイプで代用しました。




 胴体接着すると後半部分に大きな段が出来ますのでパテを盛って乾燥したらごしごしと削ります。前翼と主翼を取り付けますがこれらも隙間とガタがしっかりと出来ますので削り合わせをしたうえでパテ処理をしておきます。 キャノピーは左側に大きな隙間が出来ます。最後に脚の組み立てをするのですが前脚のタイヤは1/72より大きいのではないでしょうか?




 主脚カバーは長すぎてタイヤが隠れてしまうので上側を切断して調整しながら接着します。塗装は定番の上面濃緑色、下面灰白色で塗りました。デカールはもちろん使用できませんので適当な大きさの日の丸をみつくろって貼りました。スタンド用の穴が胴体下面になかったのでドリルと丸やすりで穴あけして取り付けました。 さあこれで完成です。全体のフォルムは実機が特徴的な形をしているので誰が見ても一応震電には見えますが全体にぼってりとした感じですかね。でも当時の小学生にはこれでも十分恰好良く見えたのではないでしょうか。



UPC:マルサンの震電

 続いてはUPCのキットですがUPCは当時日本のマルサン、ニットー、フジミなどの日本製のキットを輸入販売していた米国企業のようです。ボックスアートもそのままマルサンのものを使用しております。 このキットは三和のキットより後で発売されたのでやはり一日の長があります。シルバーの成形色で部品総数は20個ですが脚関係は部品の一体化が行われており、年少者には組み立て易くなっております。






 コクピットは座席だけが用意されていますのでこれを適当なグリーンで塗って後は黒く塗っておしまい。プロペラはピッチもちゃんと付いておりそれらしい形にはなっています。取り付けも虫ピンなどでなく普通のものとなっております。 胴体左右を接着します。合いはまあまあ良い方です。エアインティークを取り付けた後に主翼を接着するのですが、ここがこの1/100シリーズの泣きどころですね。




 片方の主翼のそれぞれに胴体下面も一緒に成形されているのですがこれが胴体本体と全然合わないんですよ。削り合わせて胴体下面でなんとか接着しますが主翼と胴体との間にすごい隙間が開いていますので思い切りパテをつめて乾燥後がりがりと削り倒します。 キャノピーは後端部分の胴体側を少し削れば割となじんでくれます。三和のキットでは省略されていた胴体下面のアンテナ柱もちゃんとパーツ化されています。三和のキットと同じく塗装してデカールを貼って完成です。




 三和と比較してこちらの方がシャープに成形されており、リベットなども大分細くなっております。また、機首は機銃もモールドされた状態になっています。 全体のフォルムとしては胴体前半部分の上面が少しフラットな感じがするのとキャノピー前半部分が丸くなりすぎかなと思いますがこの時代のキットとしては上出来と言えるのではないでしょうか。




 どうでしたか?少しはああそうだったなと思えたでしょうか、ご同輩のみなさん?たまには何も考えずにプラモデル本来のインスタントに形になることを楽しむのも精神衛生上いいと思いますよ。では、また。




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