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誌上個展

<日本航空史> 二式大艇のキットを塗るならば

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 先月号で、次はプラモデルに関係ある飛行機と宣言しました。そこで今回は二式大型飛行艇をとりあげて、すごくプラモデルっぽい内容にしました。
  二式大艇は、実機が鹿屋にある・・・はずです。行ったことはありません。写真はその機体が「船の科学館」にあったときのもの。紙ヤキ写真なので変色が始まっていますが、撮っておいてよかった。「船の科学館」では「船の科学館 資料ガイド」という冊子を製作していて、その第2巻は『二式大型飛行艇』です。40ページの冊子ですが、米国から返還されたときの塗装ボロボロ状態の写真や室内写真がたくさん掲載された、本当に資料性が高い内容です。ここで表紙でも掲載すれば分りやすいのですが、これは版権の心配があるので断念です。
 キットでは、ハセガワとアリイ(旧LS)が代表でしょう。前者は、長谷川製作所が飛行機の72シリーズを展開し始めた初期にキット化したもの。当然ながら、全面に凸リベットが打たれています。今ならばリベット表現がないツルッとした表面処理だったのでしょうが、そうなればなったで、リベットを打ちたい人も出てくると思います。そうでなくても、日本機ならは塗装剥離表現がしたくなるというものです。




 さて本題の塗装です。実物の飛行艇は海に浮かぶものだし、離着水の際に強い衝撃があるので、放っておくとリベットが緩み浸水してしまいます。そこで鋲列ごとに1mくらいポリビニール系の柔らかい塗料で布を貼り、その上に防食性金属塗料を塗るという方法を昭和16年に中野和雄氏が開発したそうです。氏によれば、「終戦まで私の塗装法は全機に採用されていた」とのこと(『航空ファン』1975年5月号)。その布ですが、それは綿製のバイヤスに織ったもの(『航空ファン』1984年7月号)だそうです。 そういわれてみると、昭和55年に日本へ返還された二式大艇の再塗装前の状態を見ると、リベット部分が帯状に剥げていたり、逆に帯状に色が残っていたりするように見えます。でも、「鋲列ごとに1mくらい」がどの範囲なのか私は知りません。読者の皆様、よろしければ写真等で検証してください。その範囲では、塗装剥離表現やリベットの再現で配慮をする必要があるからです。分ったら報告してください。皆で知って、皆で模型作りを味わいましょう。




 ちなみに上側面の緑色は、紫電改と同じで川西の緑色で良いと思います。でもそれは実機の色のことなので、模型には模型での配慮や工夫があってよいと思います。大きさや光の種類でも、色は違って感じられるのですから。
 


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