ホーカー・ハートはシドニー・カムの設計した複葉複座昼間爆撃機で、1928年に初飛行した大戦間機です。水冷式ロールス・ロイス ケストレルⅠBエンジン(525hp)を搭載し、最高速度296km/hを出しました。ホーカー社の特徴である「薄鋼板と薄肉鋼管の胴体構造に羽布張り」工法を最初に取り入れた機体で、かつ空力的な洗練をされて、ブルドッグ戦闘機よりも早い爆撃機でした。
1934年スウェーデンは、空冷星形式のブリストル・ペガサスⅠM.2エンジン(580hp)搭載のハート4機を偵察機として購入しました。さらに急降下爆撃機としても使用し、偵察機型をS7、爆撃機型をB4と呼称しました。そしてペガサスエンジン装着のB4ハートを42機ライセンス生産しています。
|
|
1939年11月にソビエトーフィンランド戦争が勃発すると、スウェーデンは義勇兵部隊を派遣、その航空部隊F19に5機のB4ハートが含まれていました。
F19のハートは、極寒地用にエンジンにヒーターを取り付け、クルーの緊急避難用にスキー板とストックを機体側面に吊しています。フィンランド北部に配置されましたが、機体は既に時代遅れで損害も多く、後年スウェーデンが空軍戦力の近代化に狂奔する切っ掛けになりました。
(F19の派遣機数はスウェーデン空軍博物館資料に依ります) |