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飛行機プラモデルの製作

Ar196 (エアフィックス 1/72)

by  田口博通 Hiromichi Taguchi 




 去る2016年12月29日、所属クラブの忘年会が大和でありまして、その宴もたけなわの最中、幹事さんから段ボール箱一杯に相当するキット処分がありました。私に配られたのはイタレリの 1/72 B-25J。持って帰らななければ捨てるのみなどと脅かされ、「それでは これまでなんとか生き延びてきたキットが余りに可哀そうだ」と渋々受け取って帰りました。
 家に帰って、箱を開けてみると、あら、マトリョーシカのようにもう一つ処分キットが入っているではありませんか。
  その可哀そうなキットが今回 登場する エアフィックスの古いキット 1/72 Ar-196だったのであります。
 Ar-196は、我が家では既に2個が積みプラリストの中に鎮座しております。箱も無く、ビニール袋詰めされたその新参者は置き場所も無く、今後、継子扱いされるのが判りきっております。ならば いっそ作ってしまおうと「終活リスト」を書き換えて、正月休み明けから ぼちぼちと作り始めました。



キットについて

 エアフィックスのAr196は1960年代の航空情報プラモガイドに早くも登場することから、間違いなく相当昔リリースの古いキットだと思います。下は初期版の箱絵です。
 このキット、1/72の世界では箱絵だけを新しくし、A02019と製品番号を振られ、A帯でまだ立派に現役です。というのは、取って代わる新キットがどのメーカーからも出現しなかったというのが、単純な理由。そうです、典型的なマイナー機キットなのであります。 
 モールドは古い時代のエアフィックスの典型で、凸リベット、凸ライン。翼後縁が厚いのは当時のエアフィックスキットのお約束です。
 なおかつカウリングはビヤダルの如しで、キャノピー肉厚が厚く、がっちりとしています。2本のフロートはきゃしゃで立てつけを含め、見るには切ないというレベルです。
 それでいて、機銃カバーだけはスジ彫り。エルロンとエレベーターが可動で別部品というちょっと変わったキットとなっています。また、胴体後部もファブリック貼りの実感を出そうと努力した痕跡がありますが、出来は今一つというところでしょうか。
 キット設計者のこだわった気持ちは理解できますが、気持ちが先走りすぎて、設計技術と1960年代の金型技術が全然追いつかなかったという感じのキットです。

初期版箱絵


現役版箱絵

製作

 こういうキットは、四の五のと言わず とにかく手を動かすのみ。それしかありません。 
 製作方針としては、ひたすら「完成」の2字を目指すのみです。
(1)翼後縁だけはやすりで表面上下から薄く削って飛行機らしくしてやる。
(2)フォルムをいじると まず完成しなくなるので手を加えない。
(3)フロートの張り線も完成しなくなる要因になるので、省略。
(4)一見の精密感は機銃やアンテナ柱を金属で置きかえることで視線をごまかす。
(5)とにかく完成すればよいので、簡単に筆塗する。
 合いも悪いので、左右胴体を貼り合わせたら、継ぎ目の修正前に、サフェーサー500を塗りたくり、乾いてからざっくりと400番の耐水紙やすりで整形にかかります。 
 胴体と主翼、フロート部を別に組んで、組み合わせるととりあえず 水上機の形になりました。
 なおフロートは平らな板の上で、2本のフロートの間にスペーサーを入れ、平行を出しながら支柱を接着すると、歪まないで形になります。
カウリングは、シリンダーヘッドの部分が膨らんだタイプですので、グリーン色のスコッチブライトでザックザックと磨いてやりました。


 胴体と主翼を上半角に注意しながら接着し、フラップ部とラダー翼後縁は薄く削ります。
フロート部を組み立てます。

見事 形になりました。この段階ではコクピットの中すら塗装していません。
エルロンとエレベーターには可動のための溝があるので、プラ棒で埋めています。

塗装

 フロートがあるので、エアブラシを使おうとするとマスキングが難しすぎて、頓挫するのが目に見えています。それで、面相筆で筆塗しています。 塗料はMrカラーを使って、下面 ライトブルー、上面 ブラックグリーンとダークグリーンの典型的な折れ線迷彩です。  塗り分けには細切りにしたマスキングテープを使うとすっきりと仕上がります。最後にコクピットをコクピット色で塗ってつじつまを合わせています。
カウリングのカウルフラップは完成前にそういえばそんなものがあったなと気づき、カッターナイフで彫刻だけ入れました。




 フロートの細いV字補助支柱は、塗装の邪魔になるので、最後に取り付けることにします。1mm真鍮線で取り替えました。長さは現物合わせで簡単にできます。Mrメタルプライマーを下塗りして、ライトブルーの下面色で塗っておきます。 各部を面相筆で丁寧にタッチアップして塗装は完了です。


完成

 デカールを貼り、機銃をシンチュウパイプで置きかえ、アンテナ柱も1mmシンチュウ線で置きかえてあります。キャノピーが可動のため、シートがばっちりと見えてしまうので、シートベルトを後で追加しました。  エルロンとエレベーターは後縁を薄く削り、三菱 キ-67 飛竜 (LS 1/72)の製作と同様に コトブキヤのスプリング線1mm径を使って、後付けしています。スプリング線を使うと中立位置を保った可動が実現できます。




 フォルムの修正は最初から行わないつもりで進行しましたので、これがエアフィックスキットのオリジナルの姿です。
もちろん古いエアフィックスキットのお約束、翼後縁だけは薄く削ってありますが。
 こうやって完成すると、全体のバランスも良くて、なかなかにかっこいいではありませんか。 
 完成まで 接着剤と塗装乾燥の時間も含めて、なんやかんやで1週間。ひととき製作を楽しめました。






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