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特集 ザ リジェンド the legend

オーロラ・グラフィティ・追補 
No.7:Uボートと仮装巡洋艦アトランティス

解説と製作:R.P.K.

  9月号でオーロラのフィギュア・キットと1/8南軍騎兵の作例を紹介しましたが、2013年3月号の艦船キットで紹介した50年前に買いそびれて死ぬほど後悔したドイツ仮装巡洋艦「アトランティス」は、超レア物となり海外オークションでも6万円以上の高額となり諦めていました。転居するので溜め込んだキットを相当処分しましたがアンティークキットなど3部屋に満杯となり、まだ梱包も開けていないから新キットの購入は控えてましたが久しぶりに覗いたオークションに「アトランティス」が出品され、すぐには高騰していないのでダメもとで入札して締め切り寸前に増額したら幸運にも落札できました。 送料がバカ高かったけど艦橋のパーツが1個無くなっていただけで変色したデカールもそろっています。船腹に隠した15㎝SKC/25砲や偽装煙突、Ar196水上偵察機(実際はHe114)もパーツになり、カバーをかけた甲板上の砲も選べて貨物室カバーも開けられて中のAr196も見られます。1959年発売のスケール1/456キットなのでミスも多くディテールなど細部は物足りませんが、船腹の15㎝砲は前後に離れているから姉妹艦の「ピングイン」とするか、砲の位置を修正して「アトランティス」にするか迷うところです。せっかくの貴重品ですが、物足りない武装パーツなどは同スケールの流用パーツがないから全てスクラッチしかないですね。


 前回の1961年版カタログに掲載されていなかった1961年発売のドイツUボートはスケール1/209の出来が良いキットで、航続力を延長して54隻建造されたタイプIX CのU-505としているが、1979年に箱絵と成形色が変わってモノグラムから再版されています。U-505は1941年2月から第2潜水隊群に配属されて12回の哨戒で8隻合計44962トンを撃沈したが、 1944年6月に中部大西洋においてアメリカ護衛空母と駆逐艦に捕獲、曳航されて貴重な暗号表を押収、暗号解読に貢献して1954年からシカゴ産業科学博物館に寄贈、展示されています。実戦のUボートは所属部隊やパーソナル・マークだけを艦橋に描き、船体No.は記入していないのでホタテ貝マークだけ使いU-505のデカールは使用しないようにしましょう。

 第二次大戦が始まりイギリスの海軍力に劣るドイツは、巡洋戦艦や民間の貨物船を改造した仮装巡洋艦を単独で長距離航海させて連合軍輸送船を捕獲、撃沈する通商破壊作戦を繰り広げて戦果を挙げた。その中でも「アトランティス」は、1940年3月から出撃して1941年11月イギリス巡洋艦「ドーセットシャー」に撃沈されるまでの601日間にわたる長期航海で22隻146000トンを捕獲、撃沈したが、 艦長のベルンハルト・ローゲ大佐は撃沈船の乗員を救助、収容して回送する捕獲船に乗せて送り出している。姉妹艦の「ピングイン」は同様の武装と性能を持ち、1940年6月からイギリス巡洋艦「コンウォール」に攻撃されて搭載弾薬と機雷に引火爆沈する1941年5月まで、320日間の航海で32隻154700トン撃沈のトップスコアだった。11隻建造された仮装巡洋艦は9隻が実戦において129隻以上を撃沈する戦果を挙げている。


1) 1961年に発売されたドイツのUボートはタイプIX Cの1/209キットだが、フォルムや細部も良く出来ていて連合軍輸送船団を集団で攻撃するウルフパックのオーロラらしい印象的な箱絵になっている。 



2) 少ない部品点数ながら船体などは、従来のオーロラ製品とは違って良く出来ているので手すりを伸ばしランナーなどに替えてやればシャープになる。 



3) オーロラ製キットの多くはデカールと箱絵を変えてモノグラムから再版されているが、箱絵の遠景で炎上する輸送船団が夜間航行するシーンに変わり説明書も一新されて1979年に発売された。



4) モノグラム版は成形色が黒からグレーに変更され、白色が鮮明な上質デカールになっている。



5) 1959年に発売された「アトランティス」初版の箱絵は、初期のオーロラ艦船シリーズのように明るい色調で左右に砲撃と雷撃して艦載機まで上空を飛ぶ全部見せのサービス満点シーンが楽しい。



6) 何年からか不明だが連合軍商船を攻撃する「アトランティス」を船体後方からリアルに描いた箱絵に変わったが、絶版になってどこからも再販されずにオークションでは落札価格が高騰し続けた。



7) 発売当時と同様にパーツがバラバラと入って、箱も経年劣化していたが奇跡的にほとんど揃っている。



8) オーロラ・スタンダードの組み立て説明書と変色してしまったデカールが入り、時計などノベルティー商品の通販パンフレットまで付いていた。



9) 一体成型の船体は船腹前後に隠された15㎝ SK C/25砲、前甲板に搭載機格納庫があり、前方に取り付ける偽装用の煙突もパーツになっている。



10) 1959年発売のキットは考証不足もありパーツのディテールは物足りないが、甲板上のカバーをかけた15㎝砲パーツが選べる。



11) キットの素組完成画像だが前部偽装煙突が高過ぎて船幅が広すぎるけど貴重なアイテムを楽しもう。



12) 「アトランティス」が前方の偽装煙突を装着してドイツ海軍旗を掲げている実写。



13) ハンザラインの「カンデンフェルス」の実写だが、その後武装して仮装巡洋艦「ピングイン」となり1940年6月に出撃して通商破壊に活躍した。




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