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(Photo)1947年のヒコーキ史
by コルディッツ
飛行機実機写真
1947年はヒコーキ史上で最も変化の激しい年ではないかと思います。WWⅡが終焉して2年、戦前はヒコーキ大国のドイツ、大日本帝国、フランスは没落、大英帝国も経済破綻。その中でドイツの最新技術-ジェットエンジンと後退翼を積極的に消化したのはアメリカとソ連でした。
特にアメリカは、これは独自の技術でしたが、XS-1で人類初の有人音速飛行を成し遂げ、イギリスを抜き、 ヒコーキ大国になりました。しかし年末にソ連はミグ15の原型I-310の初飛行に 成功し、アメリカへの挑戦が始まります。
アヴィアS-199 UF-25 (再掲)
チェコ空軍博物館(プラハ)にて 2008年8月撮影
1947年3月初飛行。チェコスロバキア(当時)は、ドイツ軍機の製造ライン
は戦禍に遭わなかったので、戦中のドイツ機生産を継続しました。
Bf109GはアヴィアS-99として生産されましたが、火災でDB605エンジンを
喪失したので、ユンカース・ユモ211に換装し、以後アヴィアS-199として生産
を続行します。軍用機を欲していたイスラエルに輸出されて活躍しました。
サーブ21R たぶん21463./N
スウェーデン航空博物館(リンシェーピン)にて 2014年6月撮影
1947年3月10日初飛行。スウェーデンは戦中のドイツのTa-183を参考に、
本格的なジェット戦闘機サーブ29を開発中でした。サーブ29戦力化までの
繋ぎとして、スウェーデンが独自開発したレシプロ機サーブ21のエンジンを、
ゴブリン・ジェットエンジンに換装したサーブ21Rを開発し、実戦配備しました。
Yak-17(S-100?) 30
チェコ空軍博物館(プラハ)にて 2008年8月撮影
1947年6月初飛行。ソ連はドイツのユモ004ターボジェット・エンジンをコピー
したRD-10を、1946年にYak-3の改造機体(鋼管溶接構造の胴体と木金混合
構造の主翼はそのまま)に搭載して、ソ連最初のジェット戦闘機Yak-15を
仕立てました。Yak-17はエンジンをパワーアップし、着陸装置を三輪式に
改め、主翼と垂直尾翼を改造した機体です。
チェコスロバキアでライセンス生産された機体はS-100と呼称されました。
Yak-23 16
ポーランド空軍博物館(クラコウ)にて 2011年5月撮影
1947年7月8日初飛行。Yak-23は胴体をセミ・モノコック構造に改め、
エンジンをより強力なRD-500にし、ソ連で初の射出座席を装備しました。
しかし同時期のミグ15が高性能だったため、少数生産で終わりました。
サンダース・ロー SR.1A TG-263
ソレント・スカイ博物館(サウザンプトン)にて 2006年7月撮影
1947年7月16日初飛行。世界最初のジェット戦闘飛行艇として製造され
ましたが、戦闘飛行艇は時代錯誤だったので、試作機3機で終了しました。
ブリストル・シカモアHR.14 XJ918
王室空軍博物館(コスフォード)にて 2016年4月撮影
1947年7月27日初飛行。イギリスで最初に設計され、最初に軍に採用され
たヘリコプター。HR.14は捜索救難型として英空軍と英陸軍に採用されて、
マレーシア動乱に従軍しています。
デ・ハビランド・カナダ DHC-2 ビーバー OH-MVL
フィンランド航空博物館(バンター空港そば)にて 2013年12月撮影
1947年8月16日初飛行。デ・ハビランド・カナダ社がブッシュ・プレーンとして
開発した僻地利用向きのSTOL機。頑丈で各種貨物の積み込みが考慮され、
スキーやフロートの装着可能で、軍用機としても使用されました。
日本でも第2次~第5次の南極観測船「宗谷」で使用しています。
ホーカー・シーホークFGA.6 WV-826
マルタ航空博物館(タ・アーリー)にて 2012年1月撮影
1947年9月2日初飛行。ホーカー・シ-フュアリ艦上戦闘機の後継を狙って
設計されました。ロールス・ロイス・ニーン・エンジンを単発装備し、西ドイツ
海軍、オランダ海軍、インド海軍でも使用されました。写真のFGA.6型は機体
構造を強化してエンジンもパワーアップした戦闘爆撃型です。
ノースアメリカンF-86F 55-5014
サンディエゴ航空宇宙博物館(バルボアパーク)にて 2000年3月撮影
1947年10月1日初飛行。ドイツの後退翼技術を活用して成功しました。
初飛行時のXP-86で、急降下で音速を突破したという説がありますが、
真相は如何に? パイロットのウェルチはパールハーバーのエースです。
なお写真のF-86Fは現在博物館内には展示されていないようです。
XS-1(X-1) 1号機 6062 グラマラス・グレニス (再掲)
航空宇宙博物館(ワシントンDC)にて 2007年4月撮影
1947年10月14日チャック・イェーガー大尉の操縦により音速突破。
初飛行は1946年1月19日です。
グラマンHU-16B アルバトロス 1024/11024
航空科学館(桃園国際空港そば)にて 2007年12月撮影
1947年10月24日初飛行。グラマン社が同社製造のグース飛行艇を更新
する機体として自己資金で開発しました。水陸両用の救難機として米空軍と
米海軍、米沿岸警備隊に採用、1962年の三軍軍用機呼称統一でHU-16
となりました。朝鮮戦争、ベトナム戦争で活躍し、日本をはじめ西側諸国で
広く使われていました。
ボーイングB47E-75-BW 51-7066
航空博物館(シアトル)にて 2009年10月撮影
1947年12月17日初飛行。アメリカ空軍初のジェット戦略爆撃機。ドイツの
後退翼技術を活用して成功しました。冷戦の追い風を受けて2,032機の
大量生産が行われました。ハセ72のキットを作って、着陸装置は自転車式
だったのを知り、たまげたものです。
写真の機はレストア中のようで、博物館に展示はされていないようです。
ミグ15bis 32
中国空軍博物館(北京郊外)にて 2004年6月撮影
1947年12月30日初飛行。ドイツのTa-183の技術資料と、イギリスがら購入
したロールス・ロイス・二ーン・エンジンを、ロシア的思考で統合に成功した
迎撃戦闘機。朝鮮戦争では同時代の西側のジェット戦闘機よりも優れて
いることを実証しました。チェコスロバキア、ポーランド、中国でも生産され、
総生産数は15,560機に上ります。
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