話を子供のころの航空祭に戻すと、YS-11はスマートに見えたが弱々しかった。大きくて堂々としているのは、こっちだった。機首を大きく上に向けている様はいかにも旧式だけれども、威圧的な迫力があった。太い胴体やモッチリしたカウリングは「デカい」と感じた。エンジンは2000馬力級ダブルワスプの双発、排気管も不細工にボコ~ンと出ていて、見た目が強力だ。私の家は米軍横田基地の離着陸ルートに近いから、グローブマスターやカーゴマスターのようなプロレラ式大型輸送機を子供のころに毎日のように見ていたけれども、それとは違う大きさ感だ。 |
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飛行機好きの子供だった私はコマンドが第二次大戦当時の飛行機と知っており、「大戦中の輸送機なのに、こんなに大きいのを造っていたのか」「外板がツルッとしているじゃないか」「こんなにデカいエンジンだぞ」と思い、「これは技術の時代が違う」「日本が勝てるはずはない」と実感する飛行機だった。子供なりにカーチスっぽくないな、と思っていたが、製造はカーチスといってもカーチス・ライト社だそうで、そういえば後退角のある主翼や垂直尾翼の形は、いかにもこの会社らしいと、今になれば感じる。 |