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飛行機プラモデルの製作

 疾風 (ハセガワ 1/72)

  by 加藤 寛之




 1月の19日夜だと思う、模型店の「ワールドホビーショップはせがわ」店主から私と友人にメールが入り、「RSモデルのキ106を作ったので、並べたいので疾風を作ってくれますか」と。ちょうどフジミの隼が完成したところで、さらに偶然にも机の脇にハセガワ1/72疾風があったので、作ることにした。22日夜に完成したので、出勤2日間を含め、3日間の作業ということ。その程度の出来で作ってある。  ハセガワの72キットはパネルラインが凸線表現の時代の製品だが、実機再現にのみこだわらず、プラモデルとしての作りやすさで完成度を高めていることが特徴。つまり、組みやすさと飛行機キットとしての要素を、バランスよくブレンドしている。個々の部品を指で持てる大きさにしてあることや、部品をしっかりと組み込めるように工夫がしてあることも、その設計思想の現れであるといえよう。




 主翼は下面が一体で左右上面を接着する、ごく普通の部品分割。翼端と後縁を上面部品に付けることで、スッキリとした造形にしている。脚収納庫は下面側に底が造ってあるので、事前に塗装する必要がない。主翼全体をみれば断面形や捻り下げもそれらしく造形してある。機銃とピトー管が主翼に造りこまれていることには賛否があるだろうけれども、部品点数を削減し小さな部品をなくす努力だといえる。つまり、プラモデルとしてなかなか良いのだ。現代風でないところは、パネルラインが凸線表現のパネルラインと着陸灯が透明パーツでないことくらいだろう。どちらも、どうでも良いことである。
 胴体へ事前に組み込むコックピット関係は、床板と計器盤くらい。操縦悍と椅子は上の開口部から入れられるし、エンジンも同様で前から入れられる。実に手軽で作りやすい。椅子は実感に乏しいが、これは不満な人だけが加工すれば良い。私は肉厚を塗装でごまかした。照準器は透明な計器盤パーツに造りこまれていて、あらかじめ右寄りになるように接着位置を設けている。右寄りがちょっと極端かとも思うが、そこは模型的強調と組みやすさを併せた配慮なので、合格だ。エンジンもいい。前半分だけの造形にして、誉エンジンのギッシリ感の表現に成功している。これを前後列のパーツ構成にしていたら、このギッシリ詰まった感じの再現は困難だったろう。しかもこの単純さによって、正確に正面を向けられるし、前後位置もブレない。プラモデルとしての設計がうまい。




 主脚はちょっと太めで、これが大地にグッととらえているように見え、カッコいい。タイヤもホイールの造形が適切な位置になるように、2か所で位置決めする構造になっている。主翼と主脚の取り付け部分を四角い形にしてあるのも適切な方法。位置決めの突起もあるので、だれでも簡単にしっかりとした位置に落ち着く。尾輪も平らな台座があるので、簡単にしっかりと接着できる。その部分は見えるところではないのだから、これでいい。
 細かいことまで書けないが、なにしろプラモデルとしての組みやすさへの配慮がいたるところにある。パーツごとの精度も的確で、パテは僅かに使った程度。




 塗装はキットの解説に現代の知識を組み込んでみた。上面色は、GSIクレオスMr.カラー38番「オリーブドラブ(2)」に131番「赤褐色」を大量に混ぜて作った。下面は適当な明るい灰色に上面色を混ぜておいた。白帯は69番「グランプリホワイト」。黄色線やフタの赤はデカールにあるのだが、塗装した。というのも、デカールの劣化が予想されたため。やはり、ちぎれやすかった。何か所も補修塗装をしている。着陸灯は塗装で表現した・・・などと書くとリッパそうだが、全体に、相当に気軽&テキトウに塗っている。
最終段階で全体に汚れを薄く塗り、塗装がちょっと剥がれたみたいに銀も塗った。これも実機写真を見て塗ればよいのだが、想像なので出来が・・・まあ、いいや。考えて塗ったところは、椅子。花柄の座布団を描いておいたこと。女学生の慰問という想定。兵隊さんも銃後も、夢いっぱいの年代だったのだ。それを表現しておいた。




 とりあえず完成したので、これでキ106と並べられる。冒頭の「キ106と並べる」という件だが、友人も応えて疾風を作るという。こちらはタミヤ製とのこと。声をかけられた二人が共に新規購入の必要がなく疾風のキットを持っていたとは、なんということだろうか。 これだから模型店の商売が難しいはずだ。在庫こそ敵と思って皆でどんどん作り、お店と業界を支えて趣味を楽しくつづけねばならぬ。皆様方、ご理解とご協力を。これらは、5月の連休に所沢航空発祥記念館で開催のSLB展示会に並ぶと思います。


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