欧州上空で複葉戦闘機が騎士道を重んじた華麗な空中戦を演じている頃、地上では未曾有の大殺戮戦が行われていました。日露戦争に学ばなかった欧州諸国の将軍たちは、鉄条網で巡らせ機関銃を具えた塹壕に生身の兵士を突撃させて、戦死者の山を築くだけでした。
戦車は塹壕を突破し、歩兵を支援する新兵器として開発されましたが、現代にも通じる戦車の基本型を確立したのは、1917年に製作されたルノーFT-17
(ルノーFTモデル1917年式)軽戦車です。全周旋回式砲塔を持ち、戦闘室と後方に置いたエンジン室を隔壁で分離した構造は、同時代の戦車から見ると先進的なものでした。それ故、世界中で使用され、後続の戦車開発に影響を与え、第二次世界大戦でも使用されるという、寿命の長い戦車になりました。
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砲塔に、37mmSA18砲搭載型の砲戦車と、オチキス8mm機関銃搭載型の機銃戦車があり、合計で3,800輌以上が生産されています。初期の100輌はリベット接合の八角形の砲塔(ベルリエ砲塔)で、主要量産型は丸い鋳造砲塔(ジロ砲塔)になっています。 |