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温故知新シリーズ第30弾

ローンレンジャー(オーロラ1/12)

by ヒサマロ

 どうもヒサマロです。今回の温故知新シリーズは前回予告しましたように30回記念としていつもの飛行キットではなくオーロラの1/12ローンレンジャーを取り上げさせていただきます。ローンレンジャーは数年前にジョニー・デップが相棒のインディアン“トント”役で出演したリニューアル版映画が公開されたので若い人も良くご存じの西部劇の仮面ヒーローものです。 日本では1960年代前半、テレビドラマは国産のものが不足しており、ありとあらゆるジャンルのアメリカのテレビドラマが輸入され放映されていました。




当時小学生だった私はアメリカ文化をシャワーのように浴びていたのです。その中の一つにヒーローものとしてスーパーマン、怪傑ゾロと並んでローンレンジャーが夕方放映されていました。 三つ子の魂百までもとはよく言ったもので私などはオープニングテーマとして流されていたウィリアムテル序曲を耳にすると今でも反射的に「ハイヨ―・シルバー!」と叫んでしまいます。




 オーロラという会社はとても興味深い会社でプラモデルの世界に入ってきたのは1952年にF9Fパンサー、F90の飛行キットを発売したのがデビューのようです。その後はレベル社と同じようにありとあらゆるジャンルのキットを発売していきます。しかし当時からスケールキットのマニアには評価の低い事は皆さんご存じのとおりです。私も同意見でした。今考えるとそれはあくまでも大人の目から見た視点であり、子供の視点で見るとシンプルで部品数が少なく組立簡単、ちょっとやそっとでは壊れない頑丈さなどは子供の玩具としてはもっと評価されていいのかもしれません。 そんなオーロラですが、ことフィギュアの世界では評価は一変します。現在でも大変高い評価がされており、ポーラライツやメビウスがオーロラのキットの再発やオーロラテイストのキットを開発している事でもわかります。それもこれもスケール物のスタッフたちとは別にこのフィギュア製作にはウィリアム・レモンを始めとしたすばらしい原型師たちの頑張りがあったからこそです。そんなオーロラも時代の波には勝てずに1977年に倒産してしまいました。このニュースを聞いた私は親兄弟に借金して都内の模型店に在庫のあるモンスターシリーズ、コミックシーンズ、恐竜物などを買いあさりました。しかし製作したのは恐竜とヴァンピレラだけでした。絶版物がもったいなくて作れずただのコレクションになってしまいました。




 ずいぶんと前置きが長くなってしまいましたね。それではキットを見てゆきましょう。今回私が製作したのは1974年にコミックシーンとしてカラー刷りの8ページのコミックと組立説明書が付属したもので再販されたキットです。 ボックスはアメコミ風でキャラメルタイプの裏表同じ絵柄になっていますがオリジナルは1967年に貼箱でボックスアートも写実的なものとなっております。モールド色は馬とベースが白、その他はライトブルーです。部品総数は57個とこのクラスのフィギュアとしては多い方だと思います。では説明書に従って組み立てて行きます。




 まずは愛馬シルバーの製作から入ります。これだけで11個のパーツで構成されています。全身のデッサンの正確さ、筋肉の動き、顔の表情どれをとっても素晴らしいの一言です。実はこの馬は1965年にスタリオンとして野生動物シリーズの一つとして先に発売されていた物の転用だったのですね。怪傑ゾロのキットにも転用されております。とにかく50年以上前のものとは思えないモールドですが、いかんせん成形技術が追い付いていないので組み立てるとあちこちに隙間や段差ができてしまいます。これをモールドを消さないよう整形することがオーロラフィギュアの一番難儀なところです。パテ盛りとヤスリがけの繰り返しでなんとかできあがったなら、この時点で塗装に入ります。全身白ですが純白に塗装するとオモチャぽく見える気がしたので私はミスターカラーの311番ベトナム迷彩下面色を筆塗りしました。白モールドなので2度塗りで十分です。 蹄は318番レドームタン、口はこれに少量赤を加えたピンクに、目玉はグロスブラック、鼻先、口の周辺は先ほどのピンクに白を入れてかなり薄めのピンクでかすかに色付けしました。最後にタミヤのスミ入れ用グレーをモールド周辺にどぎつくならないよう注意しながら流し込んで終了。次にベースの製作に入ります。草を8本接着したら、地面全体をミドルストーンで塗装します。岩をニュートラルグレーで塗ったら、ライトグレーとデザートイエローでドライブラシして黒でスミ入れします。草を濃淡のグリーンで塗ったらベース全体をタミヤスミ入れ用ブラウンでウォッシングして完成。これに先ほどの馬を所定の位置に乗せるともうこれだけで立派な作品ができあがります。




 いよいよローンレンジャー本体の組み立てに入ります。まず顔と後頭部を接着します。ここの合いはまあまあですのでペーパー掛けだけでOKです。前後に分かれた下半身接着しますが思い切り段差が生じますのでパテ盛りして削り倒します。次に上半身、両腕とも同様に隙間・段差できるのでここも同様の処理をして下さい。
上半身に頭部を接着したら、この段階で各部の塗装を始めます。顔と腕の一部にタミヤのフレッシュを塗り、それに明度を上げたものと下げたもので陰影を付けて行きますがあまりうまくいきませんでした。目は白を塗ったらクリアーブルーで瞳に色付けしました。
髪は艦底色にブラックのスミ入れ、テンガロンハットはデッキタン、マフラーはインシグニアレッド、拳銃は白と銀色、アイマスク、手袋、ガンベルト、ブーツはジャーマングレー、上下のスーツは117番ライトブルーで塗ってみました。ベルトやブーツの金具類にシルバーで色付けしたらガンベルトを上半身にかぶせて下半身を接着します。最後に拳銃ホルスター、アイマスク、テンガロンハットを接着してローンレンジャー本体の完成です。




 後は馬具を黒で塗装し銀色で飾りの部分を色付け、サドルは白とダークグレー、ブルー、ブラックなどでそれらしく塗り、布製のキャンパス地のものはオリーブドラブにカーキでドライブラシして黒でスミ入れ処理。これらの合いは良い方なので仮組さえしっかりしておけばOKです。全てを馬に接着したらローンレンジャーをまたがらせてブーツを足掛けに入れたら左手に手綱を接着してはい一丁上がり! 最後に艶消しのトップコートを吹き付けて完成です。どうです、実に堂々としたローンレンジャーが出来上がりました。何度も言いますがこれが50年前の製品ですよ!40年前に作ったヴァンピレラと記念撮影を1枚パチリ。今度は相棒のトントも製作してあげないと寂しいですよね。




 ついでに私の持っているオーロラに関する書籍も紹介させてください。まずはGREENBERG'S GUIDE TO AURORA MODEL KITSという1997年に出版されたものは 文字通りオーロラの歴史と発売されたキットのリストとプライスガイド、他社で発売されたオーロラキットなど盛り沢山な内容です。カラー印刷でボックスアートも含んだ眺めているだけで大変楽しい本です。




 それからAURORA HISTORY AND PRICE GUIDEは1992年に出版されたものでフィギュア関係、SF物、TV物を中心とした ボックスアート、完成品、プライスガイドが各キットごとに掲載されています。




 最後はこれも1992年に出版された A COLLECTION OF CLASSIC INSTRUCTION SHEETS Vol.1 FIGURE  これは初版の組立説明書だけを集めたもので見た事もないキットがどんな構成になっているのわかって大変楽しい物です。

次回はまた飛行機に戻ります。ではまた。




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