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ダグラス D-588-1 スカイロケット
(スペシャルホビー 1/72)
by 加藤 寛之
ジェット機が「音の壁」突破に苦悶していたときに、破壊されない丈夫な機体で高速研究をしようとした純粋な実験機。自力で離着陸できることを条件に、小さな機体に入手できる最大パワーのエンジンを搭載、既存技術で早急にとりまとめたのが、これ。
そのためか、筒型の胴体とプロペラがないので地上高が低いこと以外は、どうってことない小さな直線翼と、そのころのダグラス機にソックリの尾翼周りだといえる。緊急脱出は機首ごと離脱するのだというが、これはプラモデルでは分らない。
スペシャルホビーの製品は、見た目が上質な簡易キット。大きなパーツはプラスチック、小さな部品はレジンやエッチングの金属部品で造られている。表面モールドは淡白だが、高速実験機らしいともいえる。簡易キットとしては、部品の合いは良好。難点は、原型製作者が飛行機とはどういう形かを知らなかったが原因だろう。実機の主翼断面形はムスタングのような断面形の層流翼っぽいのだけれども、キットはなんとも表現しにくい形をしている。
主翼と胴体との融合の雰囲気も、これはありえない、という形をしている。飛行機とはどういう形かを知っていれば数枚の写真で分るところが、まったく無視されている。「この飛行機が作れるんだから、まあ、いいか」と「これは、飛行機じゃぁないな」が同居してしまう。「ま、いいか」ともう一度言って、作っちゃえばいいのだ。
このキット、4種類の形と、それに応じた6種の塗装で作れる。形の変化を大雑把に言えば、翼端に板付きタンクがあるもの、板のないタンクを付けたもの、ピトー管が機首にもあるもの、それがないもの、の4種。
私は塗装が嫌いなので、もっとも塗りが単純な形式とした。
コックピットはそれなりに部品がある。だがこの窓から、中が見えるようには思えない。大幅に簡略にして組む。色も黒っぽければよいので、ぺぺぺっと塗って終了。それよりも前に錘を十分に入れることが大切。これを挟み込んで接着すれば、筒のような胴体はオワリ。垂直尾翼と、そこから前に伸びるフィンの断面形がひどい。実機のフィンもちょっと厚めだけれども、それとは違って、印象が悪い。ここはプラモデルとして見栄えするように整形する。垂直尾翼もダルいが断面形状をいじりにくいから無視する。
主翼は、下面が左右一体の上下分割。実機は小さな薄翼なんだから、一発整形にするべきだった。実機と全然違う断面形は、前縁と後縁をそれなりに整形するだけでOKとする。水平尾翼は、部品をそのまま使う。
風防パーツは意外なほど良い。脚周りは、丈夫に胴体へ接着することに重点をおいた。主脚カバーはエッチングで、周りのパーツと違和感がある。表面にプラペーパーを貼って、プラパーツっぽくする。ピトー管はキットパーツの使用をあきらめ、丈夫な真ちゅう線を挿しておいた。
塗装は、白はツヤを消したグランプリホワイトを塗った。ツヤを消すと、塗りやすくなるため。もう一つの理由は、グランプリホワイトで塗れば、白を塗ってエッジを引き立てることができるから。実機は磨いていただろうから、汚し塗装はしない。デカールは良質。右翼に貼る線は、気楽に貼った。
幅や向きが揃っていないけれども、だれに自慢することもないので、全然、気にならない。それよりも、この線があることで翼断面形のヒドさがバレてしまったのがキビシイ。「どうでもいいか」とする。天気がよくなったら、半光沢の上塗りを吹こうと思う。
ちょっと気になって、『航空ファン』1983年10月号を開いた。「シリーズ 名門マクダネル・ダグラス社を支えた航空機」として、D-588-1 スカイロケットが紹介されている。
この記事を作る前に見なくてよかった。
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