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飛行機プラモデルの製作

 飛燕 一型 (アリイ 1/48)

  by 加藤 寛之




 何十年も前にオオタキから発売された古いキット。日本的スケールの1/50から国際的スケールの1/48に転換していった時代に現れたキットで、凹の表面モールドは大胆だった。タミヤやハセガワに比べればブランド力が低くかったうえに、シリーズに共通した脚周りの貧弱さや単調なモールドに不満も寄せられたが、それは贅沢というもの。 オオタキの廃業後に金型はアリイ(マイクロエース)に引き継がれ、いまでも入手できる。価格があがったとはいえ、1/72キットと同等か、それよりも安い。




 箱を開けると、部品点数の少なさに驚く。現代の眼で見ればコックピットは簡素だが、胴体パーツの内面にはモールドがあり、床板の立体感も悪くない。操縦悍は指定位置でなく、その後方にある四角形部分に穴をあけて移植するのが正しそうだ。床板は胴体下面に開く冷却器の取り付け台を兼ねている。この組み物は驚くほどしっかりと胴体へ組み込まれ、胴体左右を併せるときにグラつかない。
機首にはエンジンを内蔵しており、胴体銃の銃身はちゃんとそこに付けるようになっている。実機の銃身はむき出しでなく、つけ根ではパイプの中を通っているので、気になる人は追加工作すればよい。ただし私はエンジンを内蔵せず、機銃取り付けの枠を機首上面パーツの内側に接着して、あとから銃身を差し込めるようにしておいた。機首上面パーツはエッジが荒れていて、胴体との合いに少々難がある。これは長年に亘って愛され製造されてきた証だから、欠点ではない。固定して、ほんのちょっとだけパテで整形すれば解消できる。このキットは機首下面が直線的すぎるので、ここにもついでに軽くパテを盛って見栄えをよくした。




 主翼は下面が左右一体、これに左右の上面を接着するだけ。後縁の上面側に丸みがあって鈍いから、そこを削る。モールドは凹だし、エルロンはツルっとしているので、モールド再生の心配は少ない(私は削っただけで、再生もしていないが)。この作業に邪魔なエルロンの修正タブは切り落とし、あとからプラ板を付けておいた。落下タンクを付けるパイロンは翼下面と全然合わない。
削りあわせは面倒なので、装備しないことにした。脚庫の浅さが物足りなく見えるが、キット発売当時は穴があるだけでも普通だったから、これはリッパなもの。どうせ下面で見えないから気にしない。主翼前縁の気銃口は埋めて、開け直した。キットを設計して木型を作った方がこのことを知らなかったはずはなく、キット化のために許容した場所だと思う。それを理解したうえで改善するのがモデラーの仕事だ。




 組んだ胴体へ主翼をはめ込む。まず前後を固定、その後にフィレット部分で接着できるように主翼を軽く持ち上げて接着すると、上反角がバッチリとつく。写真や図面と比べてみると、ピッタリそのとおり!飛行機を知った木型師の心意気が感じられる。別稿の「D-588-1 スカイロケット」とは大違いだ。
前述のように細かいパーツ類の出来はいまひとつ。脚周り、アンテナ柱、排気管など、ちょっと実感に欠ける。まあ、いいだろう。出来てしまえば大差ない。目立ちやすいプロペラは、だいぶ頑張っているのが幸い。風防は金型の傷みが激しいし、材質の透明度も低い。丁寧に整形すればちゃんと使えるので、現時点で許容範囲。
塗装は、まず、陸軍戦闘機の基本である全面銀で機首の黒い防幻塗装をし、赤線や滑り止め、汚し塗装などを全て済ませ、デカールも貼る。それから緑をクタクタと塗った。驚いたのはデカールで、塗装図のマークは入っていなかった。日の丸は上面暗緑色用の白フチ付きのみ。それに、なんだか胴体のが大きいみたい・・・。まあ、いいや。




 そもそも何で作り始めたかといえば、模型店「ワールドホビーショップはせがわ」さんの店頭に、タミヤとハセガワの飛燕の完成品が並んでいたこと。実はそれ以前に店主から「タミヤの飛燕、作ります?」と声をかけられていたのだがその気はなく、二式大艇の旧版を買って帰ってしまっていた。 その後に店主がタミヤの新製品を作ってくれたようで、「2機並んでいるならば」とアリイを作って応えようと思ったのが始まり。要するに、完成すれば良いのである。所要日数、サボリ4日を含めて一週間。




 この飛燕は、5月のゴールデンウィークに埼玉県の所沢航空発祥記念館で開催のSLB展示会で、タミヤ、ハセガワと共に展示予定。 3つを並べて見比べたいとは誰でも思うけれども、それを全部新造でやってしまうのがSLB。皆様、驚くほど違う飛燕3機が並びます。ぜひ、ご来場を。


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