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飛行機プラモデルの製作

DFS 230 C-1 強襲グライダー(RS & ブロンコ 1/72)

解説と製作:R.P.K.

 夜陰に乗じて無音で強行着陸する強襲グライダーDFS 230は、ベルサイユ条約によって軍用機を制限されたドイツがグライダー競技会や訓練を重ねて秘かに研究開発した大型軍用グライダーです。第二次大戦が始まりドイツ軍の西部侵攻に先駆けて1940年5月10日午前4時半、ベルギー軍エバン・エマニエル要塞や橋梁を41機の強襲グライダーが奇襲攻撃してドイツ軍地上部隊の侵攻を容易にし、パラシュート降下より確実に兵力を集中できるグライダー強襲の威力を証明しました。パイロットと9名の兵員に272㎏の荷物を搭載し、投下式補助輪を装備して輸送機などに牽引されて離陸、目標に接近して輸送機から切り離されてスプリング付スキッドで強行着陸します。全幅22.28mの長大な主翼には起倒式制動板が装備され、コクピット後部の7.92㎜MG34機関銃で着陸前に地上を掃射、着陸後に胴体左右3か所のドアを外して兵員が急速展開できます。 しかし1941年5月20日のクレタ島攻略において空挺部隊は大損害を受けてしまい、その後は大規模な空挺強襲作戦は実施されていないが、1943年9月12日に8機のDFS 230がグラン・サッソを強襲して幽閉されていたムッソリーニ救出に成功しました。その後はSS降下猟兵大隊が1944年5月25日にユーゴスラビアのチトー・パルチザン司令部があるドルバーを強襲し、7月21日には南フランスのヴァシュー・アン・ヴェルコールへの空挺強襲、東部戦線などで小規模な作戦が行われたが大きな戦果もなく、降下猟兵は地上戦に投入されて消耗していきました。短距離着陸のため胴体後部に制動用パラシュートを装備したり、機首に逆噴射固形ロケットを装備して実戦に使用、さらに兵員15名の大型試作機も初飛行したが強襲グライダーの需要もなく生産されずに終わりました。

 バキュームフォームや簡易インジェクションなどのキットはありましたが、チェコのRSモデルから内部シートがパーツ化された1/72キットがデカール替えで2種発売され、中国のブロンコからも内部が詳細に再現されて脱出ドアとキャノピーを開けて強行着陸シーンを再現できる1/72キットが発売されたので作り比べてみましょう。RSキットは付属のエッチングが薄いので変形しやすく使えないパーツも多く機首牽引連結部をスクラッチして、クリアーパーツの合いが悪くキャノピーと胴体をパテで修正したが白濁してしまいました。 ブロンコのキットは内部の構造材までパーツになり、動翼が別パーツになっているのでポーズが付けられ、付属エッチングも厚みがあって加工しやすいので、RSの銃手用肩ベルトとグラン・サッソ強襲の空軍コマンド部隊デカールを流用、キャノピーとドアを開けてあります。両キットとも動翼操作ロッドや主翼端のスキッド、翼端灯と尾灯を追加して水平安定板の胴体結合材や尾ソリに手を入れて、補強ロッドや足掛けなどのプラパーツをシンチュウ線に替えて機銃に照星を追加しました。


① 1943年9月12日、イタリアがグラン・サッソ山中のホテルに幽閉したムッソリーニ首相を救出するために、ドイツ空軍モルス少佐率いる降下猟兵を乗せた8機のDFS 230が強襲着陸して制圧、身柄を確保されたムッソリーニは武装親衛隊のスコルツェーニとともにFi 156シュトルヒに同乗して脱出、降下猟兵はグライダーを焼却後にロープウエイで下山してドイツ軍支配地域へ引き揚げた。ブロンコのキットを着陸時の状態として、プライザーの1/72降下猟兵フィギュアは空挺スモックと熱帯服の着地展開シーンとした。



② 左が南フランス強襲の第1強襲航空団・第2中隊機としたRS製DFS 230C、右がグラン・サッソ着陸時としたブロンコ製DFS 230Cだが撮影したカメラレンズのせいで同寸の主翼が異なって見える。



③ RSの同じDFS 230Cの1/72キットだが、左はグラン・サッソ、東部戦線、ブダペスト作戦のマーキングで、右はドルバー、南フランス、北アフリカのマーキングが選べる。主翼の羽布張り表現が薄く機首牽引部などのモールドが物足りず、クリアーパーツの合いが悪くエッチングが薄くて変形しやすい。 



④ 左がブロンコの1/72キットだがエッチングは厚くモールドも良く、ドイツ空軍3種とルーマニア空軍2種のマーキングでドアとキャノピーが開閉選べて動翼が全て別パーツ。右のフーマ・キットは内部シートもないが主翼上に単発機を搭載したミステルのパーツとマーキング3種も付いている。 



⑤ RSはブロンコのデカールを使い2/LLG1として細部を追加したが、キャノピーと胴体が合わずにパテを盛って修正したら白濁してしまった。 



⑥ 機首の牽引装置や動翼操作ロッド、尾ソリなどに手を加え、水平安定板に胴体結合材を追加した。 



⑦ 兵員シートの背もたれは前部5席が前向き、後部4席が後ろ向きに取り付け、機首左の固定機関銃は装備せずピトー管をシンチュウパイプと伸ばしランナーで作り直した。 



⑧ ブロンコのキットは胴体3か所のドアを開けて裏側の構造材を足して、主翼ラダーと方向舵を右旋回の位置に固定、昇降舵は着陸後に自重で下がった状態としている。 



⑨ 左舷前のドアを切り取り内部にある胴体の構造材をシンチュウ線で作り直し、操縦席のシートベルトと機関銃の照星は手持ちのエッチングを使用した。 



⑩ 機首下面のガードや動翼の操作部、主翼スキッドをプラ材で、翼端灯と尾灯を伸ばしクリアーランナーで追加した。



⑪ キャノピーは3分割されて開閉どちらか選べ、胴体内部の構造材までパーツになっているが、MG34機関銃は他のキット・ストックから転用した。



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