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飛行機プラモデルの製作

  プラモ進化論:零戦21型可動モデル 
(エルエス~エフトイズ 1/72)

  by 松戸のタカ



 こんにちは松戸のタカです
 今回、エフトイズの「可動を楽しめる」零戦21型が発売された事もあり「可動モデル」について進化論?を述べて見たいと思います

とにかく細かいことよりも「可動」させることが主目的です
 まずはエフトイズの零戦21型。先月号に既に詳細な紹介記事がありますので、今さら新たに書く事もありません。ぱちぱちと組み上げて行けば素晴らしいモデルができ上がります。


それにしても建前上、このガムに付属したオマケ扱いと言うのは非常に変な感じですね


 注意すべきは、やはり脚カバーなどの細かいパーツを組むときは素手ではかなり困難でピンセットなどを使わないとむつかしいところがあります。また細かいパーツは紛失しやすいので注意が必要です。以上を心がければ、あとはあっさり組み上がります

何故か私の購入したキットは片方だけフラップや脚収納部が塗装されていなかったりしました。まあ自分で塗れば良いのですが、意外なところで抜けているなあ


右翼のフラップ、脚収納部の塗装が忘れられていました


 せっかくなので座席に軽め穴を開けてシートベルトを装着してみたりしちゃいました。 こんなことをやっているから時間がかかってしまうんですよね


シートの軽め穴にシートベルト。こんなことやっているから時間がかかるんですよね


 最初からかなりの部分に塗装がなされています。胴体の赤い帯まで塗装されています。逆に言うと赤い帯(空母赤城搭載機)以外の選択はできないということなのです。デカールは日の丸と部隊マークを貼るくらいで作業終了です

 機体の色は黄緑が強い「灰緑色」です。このカラーが最近のトレンドなのでしょうか?タミヤの「灰緑色」とは随分と色調が異なります。まあ私からすればどちらも面白い解釈と捉えています。
 完成すると、まさしく零戦21型。全体のプロフィールも機首から胴体にかけての微妙なカーブも見事に再現されており素晴らしい出来でございます。しかも動くところはキチンと動く。いやあ参ったなあ!現在の技術はすごいなあとひたすら感心するばかりです。
 敢えて欠点?を指摘すると説明書の文字が小さすぎて老眼にはとても辛いものがありました。こんなことで苦労するなんて若い頃には考えたこともなかったのになあ


特に可動式のキャノピーがスムーズに動くことに感動しました


 さて、可動モデルの代表?はやはりエルエス製でしょう。この時代のプラモはおおむね可動する部分が多かったですが、翼端まで動くのはエルエスくらいだったような気がします。また一番購入しやすかった気がします。小学生の頃に何機か作った記憶があります

 私が今回作成したのはエルエス晩期のもので脚可動はすでに廃止されたものです。古いためかヒケなどがけっこうありますが表面はけっこう繊細な凹モールドであり、よくみると燃料注入口や編隊灯なども再現されています。でも翼端灯は省略されていたりして当時の製作者の意図がよくわからなかったりもします。

 組み立ててみると意外とガタはないです。でもそのままだと翼の上反角は足りなかったりするのでそこは手を加えました。
 注目の可動部分ですが翼端、補助翼、フラップ、方向舵がまず動きますが、そのためのヒンジが大きく目立ちます。でもこれは「確実に動かすため」には必要で、特に「子供たちの乱暴な扱い」に耐えるためにはこのくらいにしないとダメだからなのでしょう。作成するのにピンセットなどは必要ありません。指でちょいちょいとセットして出来ます。

 一番の問題点は固定式になってしまった脚部分です。ある意味今では一番価値のある?部分でもあるのです。これはどうにかせねばなりませぬ。幸いに翼には「可動モデル」だったころと変わらず、そのままの状態を保っていました。
 そこで脚本体に「可動のための部品?」を付ければ「可動モデル」にすることができるのです。


当時の脚可動のための「でっぱりなど」は残されていました


ここで活躍したのが初版モデルに付いていた説明書。何とも親切かつ丁寧に解説されています。ついでながら右横のコマでは翼の接着に「洗たくばさみではさんで接着剤がかわくまでおくこと」といった感動モノの解説がなされています(でも図で示されている部分は接着と関係ないんだけどな)


 脚本体ですが、まず脚に0.5mmの穴を開け真鍮線を通し、さらにそれに伸ばしランナーにも穴を開けてつなげてみました。 けっこういい加減にやりましたがうまく行きました。


脚パーツに真鍮線を通します


その上に伸ばしランナーをかぶせて取りあえずやってみました


こんな感じです。けっこういい加減にやっていますが大丈夫でした。同時に翼端、補助翼、フラップを組み込みますが無論ピンセットなど使わなくてもカンタンに出来るのがスバラシイ!


 またタイヤを覆う胴体側のカバーも本来プラパーツで可動できるように固定するようになっているので、プラパールを自作し再現してみました。 このあたりは初期モデルの説明書に非常に分かりやすく、かつ丁寧に説明されているので非常に役立ちました(現代の物には見られない優れもの?です)。

ナンバー24のパーツを作れば良いという事ですね./そこで余りの塩ビ板からつくってみました(その辺にあったパッケージの塩ビ板からはさみで切り抜いたいい加減なものです。それでも動きます)


 組み上げてみるとけっこううまく出来ました。もともとのモデルがユルイ構造なのでこちらのテキトーな工作でもどうにかなったのでしょう。
 後はどんどん組み上げるだけです。キャノピーは無理やり可動式にしたのでカタチも変だし、ピッタリはまりません。でも今回はそんなことは気にしないで組み上げます。太すぎる風防枠も「かえって筆塗りがやりやすい」くらいに考えました。とにかく細かい事は気にしない。
 さてできあがりました。付属のデカールは意外と細かい物までそろっておりビックリしました。私は少年時代に組んだものは日の丸と部隊マークしかなかったはずです。これはエルエスの意地なのでしょうか?でも日の丸や帯が大きすぎたりするようですし、貼付部位も実際と異なるような、、、。でもまあいいのです。とにかく「可動モデル」を完成させる事が目的だったのですから


意外と?豪華なエルエスのデカール。エルエス最後の意地をみた?


 完成したモデルを眺めると、やはり無理に可動式にしたキャノピーの形状、そしてキャノピーからカウリングにかけての微妙なラインは、あたかもカンナをかけたような平面に なってしまっている事、小さめなカウルなどなど枚挙にいとまがありません。それでも全体の雰囲気は悪くありません


40数年ぶりに作った全可動エルエス零戦!うれしい!!


ブ〜ン、飛べ!ゼロ戦! 少年時代の心に思わず戻ってしまいます


 エフトイズとエルエスの二つのゼロ戦を並べてみると、それまで余り気にしないようにしていたエルエスの欠点が目に付いてしまい、エフトイズの完成度の高さにあらためて感心してしまいます。エルエス製は当時、「かなり出来の良いモデル」と言われた気がしますがエフトイズを見ると本当に隔世の感です。 さすが「50年」とういう年月は伊達ではないのですね。でも今回はそんなことは正直どうでも良いのです。とにかく「動く!」ことが大事なのです










 エルエスの可動モデルを楽しんだ世代はすでに60歳前後となり、既に少数派と思われます。プラモとしては販売も終了しているし今となってはエフトイズを購入するのが当然で、あえてエルエス(アリイ)モデルを購入する事はないと思います。  それでもエルエスにこだわるのは、あくまでもモデルの背景に「その時代を見ている」のであります。エルエスモデルを通し自分自身の子供の頃の生活、世の中を思い出しているからではないでしょうか?


ぶ〜ん、これから着艦します!というシーンを想像しましたが何か物足りない


そうだ!フラップが降りていないと物足りないのです!やはりこうでなくては!エルエス偉い!?


「可動」といった観点から見るとエルエス零戦はエフトイズと比べて何や劣るところはなく、むしろ「楽しむ」ツボを心得ているような気がしてなりません。なんやかんや言っても私のストックにはエルエス零戦がいくつもあるのです。 やはりエルエス製は時代を超えて引きつけるものがあるのでないでしょうか?それとも何なるノスタルジーなのでしょうか?


 エフトイズはだれが作っても良く出来るモデルです。少々「つくらされている感」が無きにしもあらずですが素晴らしいものでした。レパートリーが増えたら、また購入するかな?

 エフトイズに注文をつけるとしたら、出来ればフラップも可動式にして欲しいなあ。次に出して欲しいといったら、やはり翼が大きく畳める艦上機かなぁ(グラマンなどもいいなあ)等々勝手な事を思ってしまいます。
 エフトイズの機首付近のパーツをエルエスに移植してカウルをいじったりしたらオモシロイモデルが出来るかな?などと訳のわからぬ事を考えたりしてしまいました。単に出来の良いモデルを作るのであれば、そんなことをしないでエフトイズを組み立てれば良いのにエルエスにこだわる私は何なのでしょうね?
今回は進化論というより、エルエスへの思い入れが強く出てしまった回でした


エルエス零戦の脚カバーには出っ張りがありますが、これはここに爪を引っかけて閉じた脚を容易に開くためのものです。脚が固定式になってもこの「出っ張り」は残されたままでした。こうした部分を見るとエルエスの「遊び心」を感じてしまいます



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