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飛行機プラモデルの製作

 ニキーチン/シェフチェンコ IS-1
(Aモデル 1/72)

  by 加藤 寛之




 上側面が濃緑色でカウリング前部は黄色く、その黄色が胴体側面に伸びる。そういう塗装指定なので作らずにいた。私は塗装が嫌いだからだ。でも“いつもイイカゲンに塗るんだから、黄色はやめればイイや”と考え直して、今回の製作となった。  岡部ださく『世界の駄っ作機』(大日本絵画、1999年)を参照して、この飛行機を紹介させていただく。実機は試作機で、IS-1の「IS」は、イストレビテル・スクラードノイ(折りたたみ翼戦闘機)なのだそうだ。つまり離着陸時は複葉でゆったりし、飛行中は単葉でビューンと高速、という柔軟な発想を実現したもの。作例は、その地上形態だ。試作機の折りたたみ機構はうまく動いたそうだが、一方で単翼機が進化してしたことで無意味となり量産されなかったという。詳しいことは、同書をご購入いただき哀れんでいただきたい。




 キットは、初期Aモデルの製品。そう聞いただけで怯える人がいても、不思議ではない。超オソマツな成形で、パーツのいたるところでランナーとの間にしっかりとしたバリ板がある。パーツ本体も“ナンだかなぁ・・・”みたいな出来。
「プラモデルとよべるのは○○○だけ」という古典的コピーがあるが、これでもプラモデルだろうか・・・。


 作り始める。だれも覗かないから、コクピットの細かいパーツは使用しない。胴体は垂直尾翼を別パーツにして、水平尾翼を挟み込んで、それに載せる構造になっている。普通に横から水平尾翼を横から差し込む構造でも問題ないのに、意図不明。しかも垂直尾翼の前縁は猛烈に厚いので、ここは見られる程度に垂直尾翼前部を薄くする。挟み込んだ水平尾翼の周りはガタガタだから、ある程度は整形する。  上翼パーツの外周はダルく、表面もクタクタに歪んでいる。それなりに整形する。これを組んだ胴体に載せてみると、前部は形がグズグズで、実機がどういう形なのか想像もできない。ここは、削ったりプラ板を貼ったりパテを使ったりして、なんとかする。気流が乱れそうな造形部分は、“まあ、実機はこんな感じだろう”のように削っておく。上翼前縁の機銃はナンだかわからない突出物なので削り落とし、別パーツに置き換える。
 下翼も似たようなもの。ここも、なんとかする。




 カウリングは、前部と後部左右分割の計3パーツ。排気管は、カウリング外周にある穴へ裏から一つひとつ差し込む構造・・・になっている。カウリングの3パーツが合うはずがなく、排気管の穴は開いているはずがない。 排気管やプッシュロッドも別パーツで再現した星型エンジンもあるにはあるが、上述の排気管パーツの台座が邪魔になってカウリングに収まらない。だからエンジンはをポイッと捨てて、使わない。




 そんなこんなで、形にする。
 IS-1ってこんな形なの?? コクピットの穴が小さくてヒトが乗れないのでは?・・・ということは後部胴体が細すぎる? 翼のガル部分の胴体とのつながり部分は翼断面形から考えると、こういう形はヘンでしょう? 下翼って折り畳むのにヒンジがないけど?・・・ああ、Aモデルだからねぇ・・・まあそんなモンだと全面的に受け入れて、塗装にかかる。
 とはいえ、塗装で特に説明することはない。そのあたりにあった緑と水色を塗ってオシマイ。もちろん冒頭で書いたように架空塗装。私にはこれでソ連機らしく見えるので、OK。

 珍機中の珍機なのだが、張り線を省略した複葉機のプラモデルにしか見えない。「・・にしか見えない」ようにするために相当に丁寧に組んだけれども、なんてことない結果だ。




<蛇足> 
 IS-1は翼を上下にたたんだことで珍機扱いだけれども、それじゃあ、前後に動く可変後退角翼機は「珍」じゃないのか?前後なら正常なのか?量産したらOKなのか?プロペラの向きが変わるオスプレイは「珍」じゃないのか。プロペラが前に向いていると離着陸さえ出来ない飛行機だぞ。Tu-144やトムキャット、ミラージュの一部に小さな前翼が出入りしていたことも、覚えているぞ。そうそう、Su-27シリーズは途中でリッパな前翼が付いて翼枚数がカンペキに増えたけど、スホーイならOKなのか?  下翼が動いたくらいで、量産しなかったからといって、それで「珍」だとか「駄」だとかいうのは、ちょっとかわいそうなIS-1だな。



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