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飛行機プラモデルの製作

 <個人特集 「マッチにマッチ」 その5>
九州飛行機 震電(タミヤ 1/72)

  by 加藤 寛之

 


 マッチのフォッケが、あまりにも「普通」に出来たので迷いが生じ、タミヤの震電の地色を使って作ってみることにした。当然だが「普通に出来るな」と分ってのこと。素材の色をいかすという作りかたは、1960年代のプラモ記事には普通に書いてある常識だった。
よく考えてみると、模型化する対象物を思わせる色で成型するという考え方が特殊なのは飛行機くらいであって、今でも日本製プラモの自動車や船、アニメ系では似た色成型が一般的だといえる。今回のタミヤの震電は、通常に市販されていた当時のもので、素材は黒緑色とでもいう色。だから、主に1色だけを塗るといっても下面色を塗ればよい。それだけのことだ。




 さてキットだが、ほぼ50年前に登場した製品。特別な可動部分はないが、金型を作る初期段階ではエルロンと脚を可動で進めていたような感じがする。表面には細かいリベットが打ってあって、当時のキット評の考え方では素晴らしいもの。
時代感があっていい雰囲気だ。パーツの組み合わせは当時の水準では上等だけれども、今日の水準ではガタガタに近い。これを、表面を可能な範囲で痛めずに、隙間や段差がなく、塗装しなくても「普通」に見えるように、組み上げればよい。




 コックピットはお人形さんが乗るだけで、椅子も床板もない。私はお人形さんを乗せないので、カラッポ。接着面を均して、左右を接着する。その接着とは、瓶入り接着剤を両面にたっぷり塗ってパーツを合わせ、接合部分に流し込みタイプをススッと塗り、出来れば内側も同様に塗り、接合面から溶けたものが滲みだすまでギュ~~~と押し付け、マスキングテープでグルグルと2周巻く。必要があれば内側の接合部分にプラ板を貼って固める。まあ、これはこのキットに限ったことではない。

胴体左右が固まったら、後部のエンジンカウリングを接着する。かみ合わせ構造が邪魔になって合わないので、これを切断。あらためて擦り合わせ、接着する。
主翼は左右一体の上下分割。接着面を均しても、左右翼の微妙な違いが原因でうまく合わないので、上面側を中央で切り離して左右別々で接着した。別パーツだが動かないエルロンはガタついているので、両脇の隙間をランナー片で埋めてごまかした。
 主翼と胴体は、ただ接着。下面側はガタガタだけれども見えない場所だから、ガリガリと削って軽くキズを落せばほぼOK。前翼も胴体との接着を丁寧に行えば大丈夫。




 さて、胴体左右の接着面は跡が目立たないように綺麗にしたい。まず左右の段差を均す。カッターの刃でカンナのように削ったり、板に貼ったサンドペーパーで整形したり、その後に600番、1500番のサンドペーパーで均したりする。最後に楊枝で擦って面を滑らかにして完了。消えてしまった細かいリベットの再現は面倒なので、カッターの刃で軽くスジを付けて代替する。まあ、これでOK。

 塗装は簡単に済ませる。下面を銀、主翼前縁は橙色に赤で雰囲気を出す。脚柱とタイヤはタイヤブラック。翼端灯の赤は流用、右は明るい緑。
脚柱の銀も流用。風防枠は素材の黒緑色に似たような色で塗る以外にない。
「色数を節約できないのならば全体を塗ればイイじゃないか」となるが、まさにその通り。マッチ風の2色塗りでも、この色の使い方では上面色を省略できないのだ。「そういえば、ハセガワが塗装済みの風防が入ったキットを売っていたことがあったな」と思い出す。あらためて、あの製品の価値を認識した。
キット付属のデカールは使えず、手元にあった余りデカールを貼って完成とした。




 今回の震電のような方法でキットの地色をいかすことは、塗るよりも手間がかかる。それなのに出来上がりは、あまりにも「普通」。まあ、いい。 マッチにマッチのテーマのなかで、キット地色をいかすバリエーションで作っただけだし、大いに楽しめた。これも1日で完成、その間に半日かけて友人と隼の再現機を見学に行っている。



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