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朝鮮上空航空戦

F9F-2パンサー (ハセガワ1/72)

by 出戻 十三浪  Demodori Tomio




 小生、十数年ぶりにプラモ製作欲が疼き数機を作成中です。
最後に完成させたのはハセガワ1/72のF-86Dでした。その後はスカイレイやサンダージェット、ムスタングなどお手付きを数機出したもののしくじりや面倒を乗り越える気力を出せないまま馬齢を重ねてしまいました。
 製作中のキットから、今月の特集に合わせて先にパンサーを完成させました。
 未完成病の間にも知識と資材、工具などを集めていましたのでそれを生かして製作を楽しむことが出来ました。
その間に老眼が進み眼自体も悪くなったので、老眼鏡だけでなくヘッドルーペを愛用しています(太川陽介が「路線バスの旅」で地図を見るのに使っていたアレ)。それでも、模型やデカールが歪んでいることが多いのはご愛敬です(乱視補正がないためか)。



 パンサーは米海軍の実用ジェット第一世代でしたが朝鮮側に後退翼のMig-15が登場すると力負けしてしまい、空軍のF-84のように地上攻撃に回りました。その様子は、映画「トコリの橋」で有名ですね。それでも、ミグキラーは誕生し今回作ったのはそのうちの一つ、VF-51のレナード・ブログ大尉機です。
 当初は旧版箱絵のVF-123で作るつもりだったのですが、朝鮮戦争に参加していないことがわかり、あちこちのデカールの切り張りでこの機体に仕上げました。そうしたら、白の発色がマチマチでガックリしました。ハセガワのデカールは、発色や使い心地、黄ばみで評判が悪いですが、旧版が一番白が出ていて驚きました。なお、デカールはクリアー部が黄ばんでいましたが、ビニール袋に入れて窓の内側に貼り直射日光に2,3日晒して置いたら本当に改善しました。




 ハセガワのパンサーは1978年に発達型のF9F-8クーガーと同時期に発売されました。箱を見ると「500円」とあり当時としても値頃だったと思います。2つのキットは別のチームが設計したそうで、確かにフォルムや細部の設計が別物。クーガーの方がディテールやフォルムが良いです。ただし、胴体下面と主翼下面、インテーク周りに「どうすんべ?」というような大きな段差が出るので、ヒッジョーにキビチー。 
かつて、パンサーとクーガーを2個1してF9F-5に改造する記事がよく雑誌に載っていました。2つのキットに同時に手を出してみて”ライターは、クーガーの出来の良い細部パーツと機首や尾部をパンサーに使い、合わないクーガーの胴体と主翼を捨てたかったんじゃないの?”と思いました。


 このキットの美点は、
(1)当時のハセガワとしては珍しく?凹モールド
(2)アイテム選択が良い 当時1/72のパンサーのキットって他にあったっけ?
(3)内容が良いのに、「岩倉さん」1枚で買える値頃感
(4)パーツの合いがまあ良い

 難点は
(1)実機は千代の富士のように固太りなのに、キットはちょっとスマート。これで遠心式のぶっといエンジンが入るのか?もっとも、実機のフォルムのイメージがなくこのキットのフォルムが刷り込まれているので違和感は感じないけど(逆にクーガーはエラク太って見える)。
(2)デカールが地味。刷り色を増やさずともミグキラー機や出撃マークだらけの機体、機首などに色味のある機体も選べたはず。もっとも、現行版ではVF-758のミグキラー・ミドルトン中尉機の箱絵になった。
(3)ディテールの省略が激しい。せめてクーガー並みには出来たはずなのに。ま、そこがモデラーの楽しみには違いないが。


 手を入れるには
(参考プログ記事1)
 が非常に勉強になる。
 殆どの写真でテイルスキッドが下りているので彼の作例のように自作するとよいと思う。小生は割と面倒そうなのに負けてしまって後悔している。
 なお、素晴らしい作例だが、ロケット弾を吊るパイロンの解釈は不適当。キットのパイロンは小型爆弾用なので、ロケット弾架に直してやりたい。博物館の実機でこの爆弾用パイロンにロケットを吊ったものがあるので惑わされたのか?
  実機写真は (参考写真1)
 キットのパイロンを前後で概ね半分に詰め前部を拾って整形。更に主翼と接する基部を前に向かって削ぎ上げる。この削ぎ上げを見落としてしまったのが残念。
 また、この実機写真の左側にピトー管が写っている。キットのピトー管はパイプを単純にL字型に曲げた形をしている(こういうタイプもあるかもしれない)。ここは手元の自作ストックを流用、取り付けた。




 右側インテークの左にフレッシュエアの取入れ口、その下からロケット弾頭に向けて伸びているのは電波高度計の基部である。もっぱら地上攻撃に使ったから電波高度計は必須だろう。
 写真は (参考写真2)、(参考写真3) 
 を見て欲しい。これも作って取り付けてみた。




 この辺りのディテールは(参考写真4) も勉強になる。
 また、サボってしまったが垂直尾翼後端の尾灯も再現するとよいだろう。写真は (参考写真5
にもある。0.1mm程度のプラバンかプラペーパーを基部の形に切って両側に貼り付け、切り口にサーフェーサーでも塗ってペーパーで撫でて整形すれば基部が出来る だろう。尾灯はウェーブの透明リベットかレンズセットの極小が合うはず。ここはハセガワに今からでもモールドして欲しいものだ。
 コクピットは上記ブログを参考に手を入れた。射出座席やコクピット内部の色は、博物館の実機や各モデラーの塗装もジンクロ、シーブルー、黒、やや明るめのグレイとマチマチ。当時のカラー写真を見るとシートはジンクロか。




 実機写真をいくつか挙げると (参考写真6)、(参考写真7)、(参考写真8)、(参考写真9)、(参考写真10)
 あと、このキットには照準器のモールドもパーツもない。自作を試みたがシックリしなかったので、クーガーからギってきた。こちらの出来は大変よろしい。タイプはMk8というジャイロ式照準器で上面にレティクルを投影するレンズが2つあるのがカッコいい。クーガーの方は、マイクロデカールを使って標的機仕様にするので無くてもよかろう。

 このキットには5インチロケット弾が付属しているが、何となく短く感じたのと手元にCMKのF-84用の爆弾とロケット弾のレジンパーツがあったので奢ってみた。型割りに難があり、極薄のフィンごと尾部からレジンを流し込んでモールドしてある。嫌な予感通り、エッチング鋸で余分なレジンを切り取ったら8発中6発のフィンが痛んでしまい作り直す羽目になった。また、ロケット弾には弾架と繋ぐベルトが巻いてあるのだが、2本の内1本だけモールドしてある。少し悩んで、メタルックの細切りで再現してみたが、ノリがやたらに弱く剥がれてきて参った。蒸着版でないアルミテープの使用を推奨したい。噴射孔に点火コードを突っ込む予定だったが息切れしてしまった。
写真は (参考写真11)、(参考写真12

 ロケットの黄色の注意書きはハセガワのウェポンセットのデカールより流用。
 接続のためにピンを打つことに自信がなく、合成ゴム系のGクリアボンドのラッカーシンナー割りで接着してみた。すぐにくっつくし微調整も効いてよいがいつまでもグラグラするのが難点。瞬着を点着けして固めた。

 組み立て自体については
(1)接着面にヤスリを掛けて整形したが、かえって隙間を増やした気がしないでもない。仮組で調子を見て欲しい。
(2)モールドが非常に繊細なのでペーパーを掛けると、すぐに消えてしまう。多少はパテ埋めサンペ掛けをするので接合部付近のスジボリを彫増すべし。

(3)胴体と主翼の接着は下面で合わせて、上面はプラバンを挟んで隙間を消すべし。けして、テープで翼端を吊り上げて上面合わせをすることのないように。上合わせをして下に段差を作りえっらい目に遭いました。裏側の写真がないのはそういうことです。MA93年1月号の記事を読み返したらチャンと上の注意が書いてありました。ちなみに、パンサーは主尾翼ともほとんど上反角はないようです。
(4)脚、脚扉、エアブレーキ、武装の接着の順番は重要。
 1.エアブレーキ ブレーキ自体には胴体と繋ぐ仕掛けがなく、コの字形の作  動棹で繋ぐ仕様。しかも、作動棹と胴体を繋ぐピンと穴がユルユルで全く決  まらない。説明書にも角度とか示されていない。ここはGクリアボンドでも  使って3つのパーツの辻褄と角度決めをじっくりやるしかない。




2.首脚扉 これはイモ付けなので先にやった方が手が入る。
3.首脚 ピンよりも取付穴がデカいのでグラグラする。
4.主脚と作動棹 場所が狭く部品も小さい。主脚を立てる穴は大き目でグラ  つく。先に、主脚と作動棹を仮止めしてから脚庫に取り付けた方が上手く行  きそうだ。逆にやったので、正しく取り付けられなかった。
5.主脚扉 イモ付けなので注意を要する。
6.ロケット弾架とロケット弾
  弾架と主翼の合わせは良いので、主翼前縁の銀の塗り分けもあるし塗装後に  付ける方が良さそうだ。ロケット弾架とロケット弾を予め接着して置くか、  弾架を主翼に取り付けてからにするかは趣味だろう。 
 翼端灯の透明化は目立って嬉しい。パンサーのような涙滴型のものはCMKのレジンの翼端灯セットを使っている。パンサーの場合、翼端タンクに付いている翼端灯は先端のほんの一部だけがライトなのだが、ここでは模型的ハッタリで全部透明にしてある。ただし、サイズはもう一つ小さいものを使えばよかったか。背中には透明な衝突防止灯があるようなので奢ってみた(この機にあったかは自信がない)。


 隙間埋めについて
 パテやサーフェーサーは乾燥に時間がかかるしサンペ掛けして塗装すると、塗料で再び溶けて再乾燥後表面が引けるので、あまり使いたくない(下塗りに銀を塗るといいという噂があるが本当だろうか?)。瞬着は硬化すると堅いのでヤスリ掛けが大変でモールドを傷つけやすいから使いたくない。
 そこで、瞬着とパテ、あるいはサフ、あるいはプラ用接着剤を混ぜて手早く盛るのを得意にしていた。硬化・乾燥が早く削りやすく塗装後も引けないからである。しかし、最近の瞬着は成分が変わったのか、混ぜた途端に固まるのでこの手が使えなくなってしまった(古くなって風邪を引けばよいのかもしれないが)。黒瞬着とか瞬間接着パテとか使えばよいのだが、高いし使い切る前にダメにしてしまう。
 今回は諦めて、瞬着とサフ、プラバンを使っている。
 削りについて
 粗削りには棒ヤスリを使っている。お気に入りは半丸。また、タミヤの棒ヤスリは非常によく削れて形を変えるような荒仕事には調子が良い(下の工具やケミカルを並べた写真中の青い取っ手のヤスリ)。


 塗装について
 「シーブルー1色だし、スジボリが繊細過ぎるからな」とサフ掛けを省いて翼前縁の銀を吹いたら接着部の荒れが見つかり、傷消し→再塗装と相成り大反省。暗色塗装でも少なくとも接着部にはサフを吹いて確かめるべきですね。
 マスキングですが、幅1mmのマスキングテープとマスキングゾルを使っています。

 幅1mmのマスキングテープは、多少は曲げられるので便利です。大学時代の実習用の高級ピンセットと非常に先が利き切れ味鋭いタミヤのデカール用ハサミで扱っています。難点は(1)埃が付き易い(エタノールで吹けば落ちる・適当なケースに入れておく)(2)薄くて細いのでテープの端が非常にわかりにくい(ヘッドルーペと触感でひたすら探す)です。



 塗分けは基本的に、残したい部分を先に塗ってマスクする主義です。この方が塗料の段差が小さくなるような気がしますので。幅1mmのマスキングテープを貼った後、水で薄めたハンブロールのマスコルを筆でテープに染みるように塗ります。プロはテープが密着するような操作をせずに薄めたマスコルを流すとか。こうするとテープに隙間があってもマスコルが滲み込んで埋めてくれるそうです。このマスコルは30年以上経つ年代物(”古くなった”とのことで安売りしてたから買った時点でも年代物)で、瓶の中でゴム分が固まりまくって濃度が下がっていますので今では瓶生で使えます(笑)で、さすがにメインのマスクには薄すぎるのでクレオスのゴム系マスキングゾルを重ね塗りしたり、普通のマスキングテープで覆っています。ただ、クレオスのゴム系マスキングゾルは剥がし心地が悪く不安なので、高いけど新しくマスコルを買うつもり。
 翼端灯もマスキングゾルを筆塗した。
 マスキングゾルは筆の毛先にへばりつくので、使用後は「ブラシエイド」という濃厚な洗剤のビンに入れて洗う。これは、塗料をシンナーで洗った後の筆の洗浄にも使う。洗った後は水ですすぐ。また、離型剤落としにも使っている。
 


 キャノピーの塗り分けは嫌な予感がしたので、キャノピーマスキングを検索して通販で購入。切り出し済みでチャンと風防枠に合うし、これは4組入で送料込み300円弱。

 キャノピーと言えば透明度が命だが、上の写真に上げたハセガワのコーティングポリマーとクレオスのMr.ワックスを使っている。どちらも布などに1滴つけて磨き、空拭きをするだけで表面の傷が埋まり、楽チンに透明度を上げキラキラさせることが出来る。


 デカールについて
 パンサー、ク-ガー、イタレリのコルセア7型、スケールマスターのアルファベットセットなどから切り貼り。クーガーとコルセアのデカールの白の発色の悪さにびっくり。悔しいのでマイクロデカールのクーガーから青抜き☆マークを持ってきたがこれも発色が悪くガッカリ。また、艶有塗装面だしとデカールの縁切をテキトウにしたらシルバリングしてガッカリ。「6」の中まで切り抜くべきであった。
マークソフター・セッター・ノリの効きも悪く改善できなかった(超強力なモデラーズ製まで投入したのに)。あと、古いデカールにはマイクロのリキッドデカールフィルムを塗って粉々になるのを防いでいる。
 調子が良かったのは、古えのヨーデルデカール・ガンダム用とマクロスデカールのコーション集。前者は1/72、後者は1/144用らしいがサイズや色・内容が各種あり、貼り心地もよくフィルムも目立たない。


 ジオラマについて
 パンサーはジオラマ映えする機体で、参考に上げたサイトでも情景を楽しんでいる。キットが出たころ、MAでおおくらとしおさんが空母に着艦するジオラマを作っていて最高にカッコ良く真似したかった。今は飛行甲板もエデュアルド他から手に入るだろうから大分やり易いだろう。フラップ他を切り抜いてダウンさせたり脚を延ばしたりとちょっと大変だけど。この頃の米海軍ジェット機はプロペラ時代を引きずっていて離着艦時には飛行中でもキャノピーを開けていて脱出に備えていて素敵。
ただし、この場合にはキットのコクピット後方の盛り上がり部分は、セイバーなどのように実際にはキャノピーの基部で一緒に後ろに下がるから、参考サイトを見て加工したい。着艦よりもカタパルト射出の方がなんぼか楽か。ブライドルワイヤーでシャトルと繋ぎ、前脚を伸ばして機首がぐっと上がったところなんてイカしてる。

 残念ながら機体だけですが








 以下はオマケで、Mig-15bisや機種としては朝鮮戦争で使われたセイバーF.Mk.4(英)、A-1Hスカイレーダー(ベトナム戦争仕様)と並べて見ました。









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