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朝鮮上空航空戦

Mig-15bis(ドラゴン 1/72)

by 出戻 十三浪  Demodori Tomio




 今はエデュアルドの決定版があるのでもう作る人もいないと思いますが、Mig-15bis(ドラゴン 1/72)について投稿します。「朝鮮戦争」特集ということでケースから出して紹介します。  作ったのは十何年か前で、ポストホビーが定期的にやっていたバーゲンででも買ったんだと思います(淋しいことに、今や代々木にもパXコ各店にもPSはない模様)。


 Mig-15は有名機ながらキットに恵まれず、1/72と言えば当時は、正確だけど作るのが非常に面倒なKPぐらいしかありませんでした。1/48ではモノグラムがあったのですが同時発売でライバルのセイバーにサイズを近づけたのか、随分と大きいのです。実機が空軍博物館にあるのにどうしたのでしょうね(ここ数年でもオーバースケールは起きていて、英老舗の新版Mig-15や日本の某社のF-15Eが一回り大きくて話題になりましたね)。

ですから、ドラゴンの新キットは非常に歓迎されました。
 しかし、変な日本語の表記で有名だったかつてのドラゴンですし発売は確か香港返還前でしたから、出来はそれなりでした。

1992年発売のDo335の説明書より



それでもパーツはシャープで凹モールドなので、KPよりは気楽に取り組めるとは思います。

 主な難点は
(1)主翼端の形がMig-17ぽくて変。これは写真や図面を見ながら削るだけでそれらしくなるし、特に難しくありません。
(2)パネルライン・リベットラインがかなり怪しい。気付いて気にした時には遅かったので、ほぼ修正は諦めた。表面の梨地や接合部の修正で埋まったリベットやスジボリをわざわざ掘り起こしただけに結構ショックだった。




 製作について
 昔のMAに中国義勇軍のエース王海機のモノグラム1/48製作記事があり非常に参考になった。
(1)キャノピー後部表面に余分な縦枠モールドがあるので、削り落として磨く。実際にはキャノピー内側に縦枠があるので後でプラバン細切りを付けて表現。
(2)キャノピーの基部パーツに6個ほど軽め孔があるので再現。またキャノピーと基部を繋ぐ細い支柱が放射状に3本あるので再現。




(3)境界層板をプラバンで作り直した。主翼上下を接着したらモールドされた境界層板を削り落とし、その跡にカミソリノコで切れ目を入れておく。後縁を研いだり梨地を削ったりしたら、先の切れ目に0.3㎜プラバンを差し込んで接着する。実機写真を見ながらニッパー、カッター、棒ヤスリで攻めて整形する。片翼ずつやると安心。
(4)着陸灯の再現。インテーク内の縦の分離板?に着陸灯があって目立つので、その部分を削り落とし、アルミ箔を貼ってから透明プラを接着、整形した。サンペの番手を上げて磨き、コンパウンドで透明度を回復した。アルミ箔はキラキラ効果はあったが接着が甘くなって整形中に度々外れたので後悔した。




(5)インテーク前縁部品の後はすぐコクピットが見えるデザインで体裁が悪いし吹き付け塗装にも不便なので、隔壁を自作、取り付けた。内部断面をどうやって出したものかと悩みつつ、とりあえずデバイダーを当て直径を出して円くプラバンを切り抜いてみたら胴体内側になんとピッタリであった。
(6)胴体下面に幾つか小バルジがあるので、手元の余剰パーツ(フジミかハセガワの1/72ファントム辺りか)を刻んで貼り付け整形した。薬莢排出孔のバルジはこの初期型の機体にはなかったぽいのでやり過ぎではあった。
(7)機関砲砲身を金属パイプに換えた。
(8)脚出し棒の追加。極細の金属線で作った。
(9)出来の良い射出座席に板鉛でベルトを追加。
(10)胴体上部に金属線でディテールを追加
(11)アンテナ柱部品を削ってシャープにし、アンテナ線を張った。胴体への引き込み線がポイント。結構堅いプラなので金属で作り直す必要はなく助かった。




 塗装について
 自衛隊のセイバーと一緒に漫然と銀を塗ったのでナチュラルメタルの筈がアルミナイズドになってしまった。一部はトーンの違う銀で塗り分けてみた。
 マーキングは当然の”赤の2049”中国義勇軍のエース王海機。ホントは各部に赤で漢字のそこそこ目立つ注意書きが入るのだが、流石に1/72で手書きは無理(印刷なら読めるくらいの大きさなのだが)。
 デカールはマメに縁を切って貼った。赤などの発色がいまいちだがデカール軟化剤がよく効いて非常に気持ちいい。
 また実機写真を眺めつつ、各部の注意書きをフジミのソ連機コーションデカールセットから再現した。これも非常に気持ち良く貼れ、黄ばみも起こさない。




 しかし、それから幾星霜、直射日光の当たらぬ元テレビ台のケースの奥に収めて置いたのに、デカールは黄ばみかつ激しく色褪せてしまった。で、この機会にデカールを貼り直すことにした。
 まず、デカールを入れたファイルから使えそうなものを探したら、このキットの付属デカールの余りが出てきた(このキットももう1つあるはずだが掘り出せなかった)。下地の白がないタイプだが朝鮮空軍のインシグニアが残っていた。また、ドイツ民主共和国用デカールセットを発見、これで赤ステンシルの大きい数字が使える。
もっとも、チェコ辺りの印刷で使用には不安がある。(これまた今はなき、モケイラッキーのバーゲンで2枚入り100円で買った気がする)
 画像検索や資料から候補となるマーキングを探した。下地の白がない朝鮮空軍のインシグニアを使っている塗装図や実機も結構見つかる。
 で、さんざん悩んだ挙句、王海のもう一つの乗機”赤の079”にする。撃墜マークの赤星は適当なものがなく悩んだが、結局ハセガワ1/48のF4U-5のボーデロン機のデカールからギってきた。
2つ持っている上に黄ばんで特徴である水色のデカいレターが緑がかってしまいあまり使いたくない代物なのである。
 まず、古いデカールを剥がさなければならぬ。水で濡らしたがびっちりと着いているのでびくともしない。爪で擦ってもダメ。で、セロハンテープを使ってみたら少しづつ剥がれてきた。濡らすのと新しいテープにどんどん変えることで何とか剥がし終えた。とはいえ、右側の”2049”は影になっていて色褪せていなかったので敢えて剥がさずに残しておいた。
 ドラゴンのデカールはえらくノリが強くて水に10分浸けても剥がれない。指で挟んで前後にスライドさせたらようやく台紙から剥がれたので、台紙ごと機体に乗せて慎重に貼ってやった。朝鮮空軍の赤星の頂点は機軸に平行ではなく、後退翼前縁に対して頂点が向くのが特徴なので注意。ドイツ民主共和国用の数字デカールは案に相違してフィルムも丈夫だし、ノリが強すぎることもなく気持ち良く貼れた。またシルバリングも起こさず、某国内最大手メーカーのデカールとはエライ違いである。








 最後におまけとして朝鮮戦争に投入された機種を並べてみました。Mig-15bisとF9F-2パンサー、セイバーMk6(史上最高352機撃墜のハルトマン乗機)、A-1Hスカイレーダー(ベトナム戦争のミグキラー仕様)です。
いずれも同時期の設計ですが、サイズやフォルムの違い、目的・条件と設計の関係を味わうと楽しいですね。






 この記事で懐かしんでもらえたり、何かの参考になったり、楽しんでいただけたら幸いです。


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