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誌上個展

<日本航空史>赤い星は帝国陸軍機

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 赤い星印は、なにもソ連とかロシアだけではない。日本機でも、一時期、赤い星をマークにしていたことがある。
 それはだいぶ古い話で、大正期にフランスから到着した機体には、丸い下地に寸法いっぱいの赤星を描いたマークが付いていたと、モデルアート社『日本航空機辞典 上巻』p.29にある。野沢正『日本飛行機100選』(秋田書店、1972年)によれば、ニューポール機は国産化された「はじめの頃は、主翼と垂直尾翼に、赤い星のマークを着けていた」ともある。
もちろんソ連のパクリや欺瞞などではなく、帝国陸軍のマーク。映画で陸軍の軍人に扮した人の帽子についている星印、あれだ。
昭和15年に出版された『日本軍用機史』(『海と空』臨時号、海と空社)には、星印を付けた甲式3型駆逐機(ニューポール式24C1型、スパッドS7型戦闘機が載っているので、戦前の飛行機マニアならば当然知っていることだったのだろう。




 「丸い下地」の色だが、『日本航空機辞典 上巻』では白い丸、『丸』昭和38年7月号では黄色い丸と解説している。私が持っている絵葉書はどれも白なので白だろうと考えているが、黄色いのがあったのかもしれない。 私はこの時代のプラモデルはほとんど作らないので、この件を追求したことがなく、赤い星が採用された経緯や廃止された理由なども、まったく知らない。だから、今回の記事は「こんなのも、あったのよ」くらいの紹介だと思ってほしい。




 蛇の目マークを描いた機体もあった。絵葉書を1枚、参考に載せておく。このマークの理由も、私は知らない。

 この記事を読んだ方々は、理由を知らなくても「ニッポンだから日の丸に決まっているじゃないか!」などと、今後は言わないようにすればよいのだ。まあ偉そうなことを書いているが、私だって最初は友人に聞いて知ったことだ。




 ネットオークションには、ときどきこの星印を付けた機体や蛇の目マークの機体の絵葉書が出品されるが、入札はほとんどない。 星印だとソ連機、蛇の目は欧州機、と思ってしまうのだろう。この記事が出た後は購入者が増え、値段が上がりそうで心配だ。


  追記
 ニューポール機の2枚の写真を比べてほしい。モノクロ写真を見て、彩色絵葉書の色を想像できるだろうか。「人工的な着色じゃないか」と批判もできるが「本物と違っている」との明確な反証は難しい。

さらに言えば、モノクロ写真時代の飛行機で、モデラーが「この色だ」と資料本で信じている色も、ホントは違う色なのかもしれない。じゃあ、どうする? それをプラモが作れない理由にしなければよい。「私はこう思うゾ」と作っちゃえばいいのだ。


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