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特集 積みプラを作ろう

ベルX-1マッハバスター
(タミヤ)(ホビースポットU 1/72)

by 出戻 十三浪  Demodori Tomio




 今月は「積みプラ」特集とのことですので、製作中のキットの中からタミヤ(ホビースポットU) ベルX-1マッハバスターについて投稿します。  まあ、積みプラと言っても90年代初めに買ったものなので、まだ四半世紀。蜜柑山ではまだ嘴の黄色いカデー(Cadet:初陣に臨む士官学校を出たばかりの青年将校)で大したことはないのですが。

タミヤ箱絵



 このキットのオリジナルは池袋にあった「ホビースポット U」という模型屋が1989年、バブル全盛期に開発・販売したものです。模型屋オリジナルのインジェクションキットは、国内では極めて珍しかった。 (80年代前半?にグリフォンの1/72 Su-22はあったが「モデルバウ・マキシム」を名乗らなかったし、簡易インジェクションらしく、透明部品はハセガワのMig-23のモノを同梱)

ホビースポット U箱絵



 X-1のキットのリリースはプラモ創世期の50年代のストロンベッカー(X-1B。とっくに絶版だがグレンコが再販)以来だそうです。超有名機だし、ライトスタッフの本も映画(X-1他を飛ばしたイェーガーら、人類未踏の領域に挑むテストパイロットを描く)も見ていたのでぜひ欲しかったのですが30年前、月給が額面でも20万なかった小生は2600円に腰が引けていました(今でも腰が引ける)。
 「ホビースポット U」は、更にXF5Uフライングパンケーキを1/72で出しましたがバブル崩壊の影響か、後に店を閉めて通販専門になりました。
 お店は立教大学の手前にあって中はオシャレな感じでしたが、客対応の感じは良くはなかったです。「偵察」だけでも心を込めて「ありがとうございました!!」と元気に挨拶してくれる今は亡き(涙)ナカマ模型とは対照的でした(家賃値上げと体調のため、先年惜しまれつつ閉店)。
 その後、ベルX-1はタミヤから、XF5Uフライングパンケーキはハセガワから再発されました。

 X-1のタミヤ版は、今回取り上げた上田信画伯の箱絵版(1200円)と後に出たウォーバードコレクションNo33の写真箱版(900円)があります。箱のサイズも後者の方が大きかった気がしますが、中身は同じの筈。こちらもレオナルド移動店舗辺りで買った気がするのですが、埋もれてしまって見つけられません。
 今回作ったキットは箱絵版で、たぶん90年代頭に隣の駅の模型屋(ここももうない。私の住む町では知る限り模型屋は全て滅んだ。某模型ライターの出身地なのに)で購入。


 オリジナルの「ホビースポット U」版とタミヤ版には、若干の違いがあります。
(1)「ホビースポット U」版はデカールが充実
 空軍発足前の星章の袖に赤線が入っていない陸軍航空隊仕様にもできる(実機は1945年12月に完成、
飛行テストを繰り返して47年の空軍発足直後に音速突破)。また、母機のB-29用のデカールもおまけに入っていて泣かせる。 




(2)「ホビースポット U」版は、機首と両翼端のピトー管・センサー、機首内部の窒素タンクの取り付けがイモ付けになっている。 タミヤ版では金型改修してピンと取付穴を設けている。





製作について

注意点
 モールドはシャープだが、(1)合わせはそれほど良くない(2)接合部の周辺のスジボリはパテ埋めサンペ掛けに備えて彫増しておくべし。(3)ピンと取付穴の長さ・深さが詰め切れていない。えてして長過ぎる。概して仮組し辛い設計なので失敗を繰り返すことになる

 キットは内部構造が再現できるのがウリですが、2個発掘したのでこちらは臓物なしで作ることにしました。
 最初は面倒なことをしないという方針でしたが、ダラダラ作っていると欲が出てきてしまいますね。

 箱絵などをいくつか見ると極楽鳥が多いし、これが一番似合ってカッコいい。キットにはスタンドが入っているので飛行姿勢で作りたくなります。
 
しか~~し、キットにはフィギュアはついていないし、酸素マスクを付けた40年代後半のパイロットフィギュアなんて1/72のどのプラモについているのか?。アオシマのTa152も掘り出したけど、ダメでした。(こういうのが欲しかったのだ 参照写真1) 
改造には腰が引けたので、普通に地上姿勢で作ることにします。

 後でわかったが、足回りの組み立てがかなり面倒なので、改造してでもパイロットを乗せて飛行姿勢にした方がよいです。酸素ホースを咥えさせてパテでマスクを作るだけ。
(参照写真2)、(参照写真3)
マスクは現用パイロットフィギュアから削り取って取り付けてもいいでしょう。

 画像検索などで資料を集めると、機首のハッチから見えるコクピットが肝のようです。
コクピットの様子は(参照写真4)、(参照写真5)、(参照写真6)等が参考になります。


(1)計器盤の裏の配管を再現
  計器盤の裏を平らに削って、伸ばしプラパイプを刻んだものを接着。次にペダルを計器盤の裏に接着する。
基部にした伸ばしプラパイプに、極細鉛線を配管として接着し線の末端は下に逃がしました。また、コクピット側面にも配管が見えるので貼り付けました。

(2)シートベルトの再現
 ファインモールドのプラ製シートベルトを奢りました。(ナカマ模型の閉店セールで半額で入手。定価はかなり高いと思う。カラーエッチングの方が楽か?)。レベル1/32の表現に引きずられて、逆V字型にモールドされている肩からのベルトを切ってF1のシートベルトのように貼り付けましたが、そのままで良かった模様(参考写真7)、(参考写真8)。
ベルト自体は塗分け後、墨入れしてモールドを強調しました。素直に接着したが、世傑のXプレーンズp36の下から2段目の写真だとベルトがハッチから機外に垂れ下がっておりリアルでよろしい。

(3)ハッチのラッチと作動レバー、ラッチの防護カバーの自作
 コクピット写真を見ると、右側に赤い湾曲したレバーが見える(落馬で肋骨を折ったイェーガーがモップの柄で動かしたのがこのレバーだろう。倒すとラッチが掛かるようだ)。平べったいのでどう作ったものか悩みましたが、鉛の細線を適当に曲げたのち、100均?で買ったテーブルバイスで挟んで潰してみました。割と上手く行きました。 ラッチと防護カバーは(参考写真9)を見るとよくわかります。世傑のXプレーンズp36の写真もわかりやすいです。プラクズなどを入れた缶から真鍮エッチングパーツの枠を拾い、焼き鈍して刻んでカバーとラッチを自作。カバーにはラッチの尾端を逃がす穴を空けてやるとイカす。
 老眼なので本人にはよく見えませんが、写真で拡大すると悶絶モノの粗さ(号泣)。
 なお、実験機らしくカバーは途中で付けられたようで、存在しない写真もあります。



(4)コクピットの内部色
 説明書にはミディアムグレイが示されているが、写真を見ると緑がかっておりジンクロに見えるし、ネットの製作記事でもジンクロ派が多いです。
褪色と写真のライティングの反映かもしれないが、イメージでクレオスの特色セットのジンクロを暗めに調色して使いました。

(5)ペダル・計器盤・機体への取り付け
 計器盤に接着したペダルがコクピット床にぶつかってしまうので、床の先端を切り詰めて逃がします。計器盤は、先に取り付けて置いたたペダルの横バーを機体側のホゾ穴に接着します。
しかし、左右胴体を合わせてみると合わない。ピンになっている横バーが長いのです。バーを切り詰めて合わせます。

(6)酸素ホースの自作
 0.5㎜前後の金属線に極細の金属線をコイルのように巻いてやると酸素ホースができる。 計器盤の左側の大きめの突起が酸素のレギュレーターらしい。この辺りに取り付けます(参考写真

(7)ハッチについて
 真面目に作る場合、キットのハッチは実物に比して厚みが全然足りません(参考写真)。プラバンを貼って1~2㎜厚みを稼ぎ、ディテールを付け加えてやると鯔背でしょう。 もちろん、私はそこまでのズクはもうないです(気づくのが塗装後だったし、ハシゴ状のディテールやら何やら作るのはもう面倒である)。

胴体の組み立て

 コクピットはさほど苦労なく収まったと思います。
 (1)後部にノズルを付けますが、その基部としてロケットエンジンを取り付けてやる。で、漫然と組み立てると機体後部からノズルを見るとノズルが偏って付いていることがわかる。これは、エンジンと接合するノズル側の取り付けピンがズレてるためのようだ。胴体にエンジンを挟み込むとき、ノズル部は接着せずに後で取り付けるのが正解。
こうすると、塗装時の持ち手を付けるのも楽だ。
わたしは、百均で買ったピンバイス?(精密ドライバーの軸にドリル刃が植えてある。0.5~2㎜くらいまであった)を差し込んで持ち手にした(無闇に深い前脚庫に棒を突っ込んでも持ち手に出来るようだ)。全体塗装後に、ピンを削り取ったノズルを取り付けてやるとグー。ノズル部には燃料などを投棄するためのダンプパイプがあるので径1㎜弱のパイプで付けてやる(参考写真

(2)胴体左右の合わせには段差が出るので、瞬着やサフを盛って削り合わせる。ちょっと、大変だった。
胴体左右には接合ピンとホゾ孔はないので純粋に合わない。ま、見ての通り解決できる。


(3)キャノピー基部の接着
 キャノピーには三角形の切れ込みがありここに嵌るのがキャノピー基部パーツだが、(あ)素直に胴体に接着する(い)先にキャノピーに接着しておいてキャノピーと一緒に接着する、のどちらが良いのかわからない。
仮組しにくい構造だし。結局”(あ)素直に胴体に接着する”にしたが、合いがイマイチでサフ盛サンペ掛けを繰り返した。キャノピーとの合いはまあまあだったがここにやや隙間が出る感じだった(基部と機体の間にプラペーパーでも挟めば良かったか)。

(4)機首と両翼端にはピトー管があるので、自作してシャープにしたい。



 手持ちの真鍮パイプから径0.5㎜を選び、先端部には志賀昆虫針No.1(径0.3mm)を使うことにした。切断にはPカッターを用いた。かまぼこ板の上にパイプや焼き鈍した針を乗せ、カッターの刃でゴロゴロ気長に転がしているとそのうち切れる。切断できたら、ピンバイスに挟んで棒ヤスリや板に貼ったペーパーでバリなどを削って仕上げる。パイプは孔が潰れがちなので、ピンバイス刃を通して直す。
 取り付け部が太すぎたり細すぎる場合、問題はどうやって取り付けるか?である。そこで、手持ちの建築模型用のプラ材セット(在庫があれば大手模型屋、ユザワヤなどで買える)から細いパイプを取り出して伸ばしランナー式に伸ばしプラパイプを作った。
 機首の場合は取り付け部が太すぎて自作ピトー管と段差がダサいので、機首先端を切り落として伸ばしパイプを瓶入りのセメント(樹脂入り)で接着、サフを盛って乾燥後整形した。ピンバイスで自作ピトー管が入るように揉んで径を合わせる。なお、パイプ後端にピンを植えれば取付孔はもう少し小さくてもいいわけだ。
 


(5)ハッチの前にある小さな長方形のモールド
 ハッチを外すラッチのレバーを表現しているらしい。実際には面一だし、形も違うので削り取ってしまおう。形や大きさは塗装図の赤く塗れという指示に示されている。 余り赤デカールを「!」の上の形に刻んで貼れば手軽だ。小生はデカールを貼っている時に気付いたので、削るのは諦めて赤ストライプテープを刻んで貼ったのみ。



主翼について

 両翼端にピトー管・横滑り検出用のセンサーがあるので、シャープに作り変えて悦に入りたい。
 機首同様に伸ばしプラパイプを埋め込んで基部を作る。周りにスジボリが多いので彫増してから、エッチング鋸やカッターで溝を切り、マスキングゾル(ハンブロールのマスコルが剥がしやすくて良い)でスジボリを養生した後にパイプを埋め込む。接着に瞬着を漫然と使うとパイプの孔が埋まってしまうからご用心。サフを盛って隙間を埋めサンペ掛けして仕上げる。
 ピトー管は、機首のそれと同様に0.5㎜径真鍮パイプと先端部は昆虫針No.1(径0.3mm)を使った。プラパーツを見るとわかる通り棘の付いたタイプなので、プラペーパーを刻んで作った棘を瞬着で付けてやった。本当はステンレスの針ではなく真鍮針(ワイシャツや靴下を買うとこれで止めてあることがある)を使い、100均の園芸用銅箔を刻んで半田付けをすると強度が出る。が、ハンダごてセットが埋もれて見つからず、楽に奔ってしまった。ま、ちょっと引っ掛ければ良くてひん曲がり悪ければ基部ごと壊れてしまうだろうから、それほど強度は気にしなかった。



 横滑りセンサーの方は、ベーンというか風見鶏が付いていて厄介である。
 本体は、0.5㎜径真鍮パイプで、ベーンの取り付け基部は1mmアルミパイプ(今は亡きモケイラッキーでバーゲンのついでに購入。模型屋であまり見かけないが新宿ヨドバシでも扱ってる模様)を使った。ピンバイスで孔を拡げて真鍮パイプが差し込めるようにした。
アルミは軟らかいのでベーン取付用の孔もピンバイスで簡単に空けられて気分が良い。実機の基部の先端に穴はないから伸ばしランナーを差し込んで埋め少し長めに残して切り落とし瞬着で止めて整形した。ベーンは、100均で買った0.28㎜真鍮線を瞬着でT字型に接着、刻んだプラペーパーで羽を付けた。瞬着で結構汚してしまったのでイマイチシャープに出来ず残念。 



主翼・尾翼の胴体への取り付け

 このキットは胴体の取付穴が深めのスジボリクラス、翼側の差し込みタブもそれに応じて極端に浅くて仮組も出来ない。クリアー胴体との関係でもなさそうなので理由はわからない(金型屋とのコミュニケーション不足?)。それはそれとしてタミヤにはココこそ金型改修して欲しかった。接着整形中に主翼も尾翼も剥がれ基部が壊れたりしてエライ目に遭った。各位におかれてはピン打ちなど工夫されたい。合いもイマイチで、サフや瞬着を盛っては削り、またやり直し、スジボリし直しで何日もからかう羽目に。
 また、主翼後縁表は若干金型のズレがあるようなのでサフを塗ってシャープに削った。そうしたらタブのモールドが消えかけて掘り直した。
 水平尾翼は塗装のことを考えると、胴体に吹付で塗りにくい影ができるので後付けの方が良いが、合いがサッパリしないので先に付けざるを得ないと思う。

全体塗装について

 隠蔽力の弱いラッカーで、白、黄色、赤、オレンジと言った明るい綺麗な色を白以外のプラ地に艶有で塗るのは難しくてメンドクサイと相場が決まっている。

 教科書的には
(1)サフ
(2)白(顔料の多い艶消し白、白サフ、ベースホワイト、ファンデーションホワイト、クリアー分を捨てて顔料の割合を増やした艶有白など)
(3)白を混ぜて黄色ならクリーム、赤ならピンク色を塗る
(4)目的の色を塗る
ということになる。また、ムラになりやすいこと、ユズ肌になりやすいことも注意が必要だ。


 今回は、
(1)傷が見え易いように、クレオスのベースホワイト1000に若干サーフェーサー1000を混ぜてベトナム迷彩の下面白くらいにしたもの
(2)(”のれん”は残ったものの、今は亡きオサレ模型屋)モデラーズのスーパーホワイト(積みスプレー!)の中身
(3)サファリオレンジに白を混ぜたもの
(4)サファリオレンジをエアブラシで吹き付けた(もう少し赤っぽいのかと悩んだが、実機写真やメーカー・モデラーの解釈を見ると、どうやらこんなもののようだ)。
(1)の段階で見つけた傷はベースホワイト1000を盛ってヤスリ掛けした。表面がきれいになったところで、もう一度(1)を繰り返して下地を白くした。(2)では薬の空き瓶にスプレーを吹き込み、さらに缶に釘で孔を開けて中身を移した。これを濃度調整して吹き付けた。(1)(2)では吹付用のレベリングシンナーで塗料を薄めたが、(3)(4)では、プロ推奨のクレオスのリターダーマイルド(シンナー)で薄めて吹いてみた。リターダーは塗料の乾燥を遅らせるのでザラザラブツブツのユズ肌になり難くなる(エアブラシを飛び出した塗料の霧が乾きかけでプラモ表面に付くのでユズ肌になるようだ)。
 効果覿面で(1)(2)の段階では3/4艶消しだったのが見ての通りのツヤツヤピカピカである!エラくツヤツヤしているので、次の日になっても「まだ乾いていないの?」思ったほど(昔の水性塗料艶有やエナメル並みに乾かないのかと心配した。もちろんリターダーを加えたところで、所詮は乾きが速いラッカーだからそんなわきゃないやね)。



 墨入れは、自分の(ミニカー的)イメージと違うので入れなかった。「動翼くらいは」と思ってタミヤの墨入れ塗料を流して見たが、やっぱりイメージとズレてしまったのでエナメルシンナーで拭き取った。
 なお、マスキングだが、脚庫はマスキングゾル、ハッチの穴は両面テープを貼ったハッチで塞ぎ、コクピットはマスキングテープで覆った。
 今思えば、不透明プラでモールドされたキャノピーを使ってコクピットをマスキングしても良かった。 
マスクを剥がした後はまあまあ綺麗だったが、1㎜四方くらいで下地まで剥げた部分が3か所あり、極細筆とヘッドルーペでもう一度(1)~(4)を繰り返して消した。ハッチ周りはもう少し攻めるつもりだったが、完成に向けて気持ちが焦って先に進んでしまった。まあ、老眼で見えないから気にしないぞ!
 でも、ハッチを受ける一段下がった縁の部分にはタイヤブラックで塗ってゴムを表現したかったな。全体塗装の前に塗って置けば良かった。

キャノピーの塗装と取付

(1)まず、胴体との合いを確認
 説明書には”不透明プラでモールドされたキャノピーが余るからこれで合いを確認しろ”とあった。試してみると、ピッタリとは嵌らない。 前端がよろしくない感じだが、胴体側を削るのはもう不都合そうなので主に透明プラのキャノピー前側をヤスリで削って合わせた。

(2)塗装
参照写真) 
 ”バードケージ(鳥籠)とはこのこと”という枠だらけのキャノピーである。
上手い人なら、筆で塗ったり、メタルックを貼って医療用メスで枠を切り抜くのだそうだが技も勇気もない(貼ってみたがすぐ諦めた)ので、ここは縦枠と横枠を分けてマスキングして塗装することにした。
 とりあえず、コーティングポリマーとモデリングワックスで裏面を艶ピカに。
 1㎜幅のマスキングテープでまずは縦枠に沿ってマスク。サイドの縁枠もマスクする。次に細筆で水で薄めたマスコルを流してテープで覆っていない部分をマスクしてやる。マスコルはテープに隙間があると滲み込んで塗料の流れ込みを防いでくれるので、テープに接するように塗ってやる。
裏側もマスキングゾルを塗ってやる。乾燥したところで両面テープで棒にでも貼り付けて艶消し黒を吹き付けた。塗料が乾いたらマスクを剥がす。多少塗料が持って行かれた部分もあったが行けそう。
 今度は横枠を同様にマスクして艶消し黒を吹き付けた。塗料が乾いたらマスクを剥がす。やはり、多少塗料が持って行かれた部分もあったので、その部分をもう一度マスクし直して吹いた。今度はマアマアの出来。少しだけはみ出したところがあったが楊枝で擦って落とした。
 で、コーティングポリマーとモデリングワックスを使って表裏を艶ピカにした。で、コーティングポリマーとモデリングワックスを使って表裏を艶ピカにした。

(3)胴体への接着
 塗装した胴体のコクピット縁は僅かに塗料が吹き込んでいたので軽くカンナ掛けをしてから、極細筆で無理しない範囲で艶消し黒を塗った。 キャノピーの接着面にも黒を塗った。仮組したらピッタリ嵌ったので樹脂入り接着剤を極細筆でコクピット縁に塗って接着した。



音速突破時の1号機についての考証

 X-1は、実験機で3機ありしかも数年間使われたため、塗装もディテールもそこそこ変化している。
画像検索でもエアロファクスやオスプレイ社のモノグラフでも、音速突破時の1号機の塗装と機首と両翼のピトー管・センサーについてさえハッキリとはわからない。



(1)国籍マークの袖に赤線があるのかないのか?
 箱絵で見ると、タミヤとエデュアルドはある派、レベルはない派、Uは答えない派(翼で隠している)
1号機はスミソニアン博物館に展示されていて赤線があるが、再塗装を繰り返しているし細部は変化しているだろう。


(2)機首ピトー管にオレンジの帯は巻かれているか?
 
見つけたカラー写真は2号機なんだよね。オスプレイ社のモノグラフの表紙では表現されているが。

(3)両翼のピトー管・センサー
 どのキットも棘アリ・ベーンは下側なのだが、音速突破時の1号機のズバリの写真は載っていない。そもそも、音速突破時の記録写真なんざ、段ボールに幾箱もありそうなものなのに、なぜ本に載せたりネットに放流してくれないのか!(英文キャプションを子細に読むとわかるのかのしれないが)
博物館に展示されている1号機はベーンが上に付いているが、音速突破時がそれで分かる訳ではない。音速突破時ではたぶんない記録写真では上・下いずれも見ることができる。タミヤ、エデュアルド、レベル、Uのどこも下派なので素直に従うこととする(下の方がぶつかり難く壊し難いから都合も良い)。

(4)各所の注意書きについて
 これもよくわからないが、ハッタリ込みで各記録写真を見ながらそれらしく注意書きのデカールを貼って見た。
スミソニアンの1号機にはほとんど注意書きはない。


(5)なお、2,3号機は、キット指定以上に1号機とディテールが結構違う。主なものは
(あ)胴体後部側面にインテーク(参考写真

(い)3号機だと思うがコクピットハッチと開口が横長から縦長に変化。また、両翼のピトー管とセンサーが廃され、機首のピトー管の縦横にベーンが移設されている。


デカール貼り
  タミヤもUのデカールもまあ良さそうだったが、前回のパンサーで懲りたので国籍マークは別売りのエクスパートチョイスデカールの星章セットを使ってみた(印刷はマイクロデカール社ぽい)。当然貼り心地は最高である。もっとも、20年前後は経っていそうな「積みデカール」(いつどこでいくらで買ったのか思い出せない。珍しく定価の1000円で買ったぽい)なので、割れ防止にマイクロのリキッドデカールフィルム(値札を見ると定価1200円で今は亡きウェーブBeJで買ってる)を塗った。にもかかわらず、「縁が小さくて楽でいいなあ」と縁切りせずに水に浸け持ち上げたら、デカールの周りに餃子の羽のようにベロベロとフィルムがはみ出していて悶絶。しかも、主翼裏から貼ろうと思っていたのに上面に貼ってしまった。幸い乾いたら目立たなくなったが。
 残りの細部デカールはタミヤのものを使った。貼り心地は良いが「グラマラスグレニス」はもっと白縁が大きいだろうに(U版では縁が青になっている。当時のカラー写真・印刷の発色に騙されたらしい)。「グラマラスグレニス」の下のたぶんラッチについての注意書きだが、肉眼では「?」ぐらいだけどクローズアップ写真で見ると潰れた大き目の黒点でショボいね。他の注意書きと一緒にマイクロのF‐100D用の余りか、マクロスデカール辺りから刻んで貼り付けてやればよかった。位置も若干ズレてしまったが、もう貼り直すズクはない。

 

脚周りの組み立て



 脚庫も脚周りもミディアムグレイの指定だが、脚庫と脚扉の内側はコクピットと同様のジンクロで塗っている。
 モールドはシャープだが、せせこましい場所に、面倒な構造の幾つものパーツを貼り付けるので易しくはない。

(1)首脚
 長い脚を奥深くの取付穴に仮組してみるとうまく胴体に付かない。脚柱の後ろ側にもピンがあり脚庫後壁の受けに付くのだがこれが長過ぎてつかえるらしい。 当然切り詰めて合わせる。苦労の割に、表に見えるのはフォークとタイヤだけなのは”秘すれば花”って奴ですな。




(2)主脚
(あ)説明書では最初に脚扉の開閉棹を接着するが、後回しの方が邪魔にならなくてよいかも。ただこれもやや「知恵の輪」的取回しではある。もっとも取り付け易いように、三角の基部を多少切り詰めても問題はない(見えない)。 なお、実物はこんなに仰々しい仕掛けではないっぽい。ちなみに、展示されている1号機は極楽鳥なので脚周りはわからない。また、スミソニアン以外はレプリカ(ドンガラ)である。

(い)次にタイヤをA字型脚柱に取り付けるがピンとタイヤの穴がしっくりしない。これもピンが長いので詰める。で、まだイマイチしっくりしないのはタイヤ側のブレーキ機構のモールドと脚柱のピンの縁が干渉するから。小生はなぜか片足だけ削り合わせをしてしまい、脚の高さが変わって後で大ごとになってしまった。
 が、そもそもここはそのままで良かったぽい。説明書を見るとタイヤがハの字に付くので傾いて正解らしい。ま、人生なんてこういうもんである。
 なまじ資料があるし、ブレーキ機構のモールドもあるので鉛線でブレーキパイプを付けて見た。脚柱の前側にパイプが走っているので簡単である。が、これも一方を後ろ側に付けてしまい、ガビ~~ン。泣きながらやり直す。


(う)次にA字型脚柱を支えるY字型のステーを仮組する。この辺りはダブルウィッシュボーンとでもいうのだろうか、嫌な構造である。樹脂入り接着剤で止めて脚柱とゴニョゴニョすることとする。今度は脚柱を仮組するがシックリしないのでピンバイスで孔の通りを確かめた。大丈夫そうなのでやり直す。 今度はどうにか組めそうなので、樹脂入り接着剤を付けて取り付けゴニョゴニョするがしっくりしない。Y字型ステーに瞬着を楊枝で付けて固め、脚柱を支えてしまうこととする。で、左右を見ると当然ながらおかしいので削り合わせが裏目に出た方をエイヤした。「これでまあヨカロ」と乾燥に入った。

(え)そこからウン時間経って脚扉を取り付けたくなった。「接着はどうしよう」と悩み、Gクリアボンドと樹脂入り接着剤のカクテルをラッカーシンナーで割ったもので行くこととした。サイドの大きい脚扉はこれでうまく貼れたが受けとステーを合わせるのは面倒そうなので適当に妥協。 底に付く小さい扉は脚柱と脚庫の隙間に先端が入るらしいのだが、エイヤと曲げた方は隙間が小さくなって上手く行かない。また合わせがイマイチぽいので角を少し切り詰めて接着した。
 首脚の脚扉を仮組するとしっくりしない。扉の後ヒンジが脚と干渉しているのだ。で後ヒンジを切り詰めて接着した。

(お)しかし、何か嫌な予感がしたので表に返して機体を置いたらエラク傾いていた。しょうがないので、下がっている方の扉を剥がし、もう一度エイヤと曲げ、瞬着に極細ノズルを装着して基部に流し込んで固めた。で、扉を接着し直した。
 朝になってもう一度表に返してテーブルに置いたら今度は逆に傾いていましたとさ(とほほ。まあ、マシにはなったけどね)。正面からの写真を避けているのはそういうこと。
 もう1機分、塗装済みの脚部があったので、まずはソッチから持ってくれば良かった。馬鹿である。ま、ショックで投げてしまう未完成病よりは完成に向けて焦り突き進むくらいの方がマシと慰める。

 
 例のピトー管とセンサー計3本を取り付けた。接着するつもりだったが辛うじて機体に止まるので、接着剤で汚すことにビビり(しまうのにも便利だろ)と差し込むだけに。  「完成すれば、みな美しい」(by河野嘉之様)

 8月からパンサー他数機と共にダラダラ作って来たが、ようやく完成できてよかった。




 もう1機、ホビースポットUオリジナル版を内部構造シースルーバージョンで作っているので、その内にお披露目出来るでしょう。

 例によって、おまけで「グロリアスウイング」「超音速の夜明け」で並べて見ました。楽しんでいただけたら幸いです。
(後列左から F-86Dセイバードッグ セイバーF.MK.4 F9F-2パンサー 
中列 F-100Dスーパーセイバー A-1Jスカイレーダー 
前列 Mig-15bis X-1)









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Vol.111 2017 November.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
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