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特集 積みプラを作ろう

Sports Plane Cessna 180 製作記(Monogram 1/48)

by Kiyoshi Iwama(ひやめし会)


Cessna 180 (1/48) Monogram Box Art より

 キットの箱にはスポーツプレーンと書かれているが、セスナ180の水陸両用型である。もう40年以上も前に手に入れたモノグラムのキット。水上スキーをするお嬢さんの水着を見ても時代が想像できる。キットに付属するデカールはNナンバーと“CESSNA 180“の文字だけで、インストに箱絵と同じ塗装の解説がしてある。買った当時はその通りに作らないと、と思ったのかもしれない。 その考えに縛られ、40年以上も段ボール箱の中で眠っていたのだろう。でもよくよく考えると、プライベートプレーンに塗装の縛りはない。好きなように塗ればいいのだという意識が、キットを完成に導いてくれたようだ。機内にはシートが、また機首にはエンジンも入っており、おまけに2体のフィギュアまで付いている。モノグラムらしさの現れた楽しいキットだった。





 セスナ社の創業は古く1927年に遡る。自家用機やビジネス機の分野で、ビーチクラフト社やパイパー社とともに世界三大メーカに登りつめたが、現在はビーチクラフト社とともにテキストロン・アビエーションの傘下にある。またテキストロン・アビエーションは、ベル・ヘリコプター・テキストロンとともにテキストロン社の航空機部門を構成している。セスナ180は、尾輪式の軽飛行機で“スカイワゴン”という名でデビューし、1953年から量産機のデリバーが開始された。180は大ヒットし3,000機が生産された。 その後も変更を加えながら180Aから180Kまでの派生型が生産され、1981年の生産終了までに総計6,193機が生産されている。キットの水陸両用型機については特に型名は付与されていないようだが、これと同型機と思われる機体が日本にもあった。1956年の第一次南極観測隊に参加した朝日新聞社の「さち風」号である。

製作

 製作に着手する前に考えたのが、塗装である。どんな色に仕上げればいいのか、自分なりにいくつかデザインしてみることにした。あまり複雑なデザインにすると塗装が大変である。ついでに機体のインテリアについても考えてみる。この創造のステップは意外と面白かったが時間を食った。結論として白とブルーを基調にしたものとなった。
 さて製作であるが、古いキットなので、太いパネルラインもごつごつしたリベットもできるだけ手を加えずに、そのまま残すことにした。胴体の貼り合わせ部分などはどうしても段差を無くしたいところで、そんな個所はリベットも消えてしまった。しかしそれはそのまま進めることにした。


1.キャビン
キャビンは、床と一体成型された座席に、座席の背もたれを接着すると完成という単純な構成である。但し、機内に納まるため、先に塗装しておかなければならない。この作品では機内色をライトグレーとし、床のマットは黒、座席は薄いブルーと機内色のツートンとした。ブルーを選んだのは機体の塗装にもブルーを使用したからである。(写真1) 計器盤にはメータが彫刻され、そこに操縦輪を二つ取り付ける。計器盤は黒の艶消しにメータの彫刻を白鉛筆でなぞった。操縦輪はセミグロスブラックにしたが、写真ではあまり区別できない。(写真2)
キャビンの要素としては、左右胴体内側と左右の扉の内側がある。扉の内側も写真の様に塗り分けた。(写真3)
機内については胴体の項で紹介する。

(写真1) 機内座席
(写真2) 計器盤


(写真3) 左右扉


2.胴体と主翼
 まず胴体であるが、胴体は左右のパーツを接合して組み立てる。機首にはカウリング部が付くが、このカウリング部はエンジンが見えるように着脱式となっている。プロペラがカウリング部に取り付くため、エンジンにはプロペラシャフトがない。
(写真4)がコンチネンタル社製 O-470-A水平対向エンジンである。
機体の隔壁、エンジン本体、マウント、排気管、マフラーから構成されている。

(写真4) コンチネンタルO-470-A エンジン


また(写真5),(写真6)でも分かるようにキャビンの後部座席部には窓があり、内側からクリア・パーツを接着する構造となっている。最初は接着後にマスキングして塗装する考えであったが、途中で方針変更することになった。
(写真5)が右胴体を内側から見た写真である。キットには隔壁がなく後ろが丸見えになるので、プラ板で隔壁を設け、そして内側をライトグレーで塗装した。
(写真6)が機体を外側から見た写真で、リベットが目立つ。
 胴体の左右の接着準備が整えば、まずキャビン内に座席や計器盤を取り付ける。

(写真7)は座席や計器盤を取り付け終わった状態で、この後左右胴体を接着する。

(写真5) 右胴体内側
(写真6) 右胴体外側


(写真7) 座席等を組み込んだキャビン



 次に主翼であるが、主翼の写真はない。主翼は上下パーツを接着し、胴体の上部にある溝から差し込んで後方にひくと、胴体にピッタリと取り付く。まるで組み立て式のおもちゃの様だ。しかし、左右胴体の接合部同様、胴体の天井と主翼上面との間には段差が生じる。主翼を接着してから修正してもいいが、塗装のことを考えると胴体と主翼は別々に塗装し、後で合体する方が楽そうだ。 いろいろ考えた結果、胴体の左右接着・整形後に主翼との段差の調整を行った。
(写真8)のように、薄いプラ板を段差の付く胴体上面に貼り、さらにプラ板のエッジ部に白いパテを塗りこみ、乾燥後整形していった。ほぼ段差のなくなったことが写真でも分かる。主翼は最後に支柱で支えることにより、取り付け角もぴたりと決まった。

(写真8) 胴体天井と主翼上面との段差の修正



3.フロート
 セスナ180の水陸両用型機は機体の下に2つのフロートを持つ双フロート式である。キットでは左右のフロートとフロート間やフロートと機体を接合する支柱とから構成される。
(写真9)に示すように、フロートには引っ込み式の前輪と主輪とが付いており、キットでは前脚、主脚とも可動にできるが、作例では地上姿勢で固定している。
また機体全体の重心が後方にあるため、地上姿勢では後方に転倒するため、キットのフロートには後方に支持棒が付いていた。作例ではこれを削り落とし、フロートの前方内部に鉛球を詰め込み、地上姿勢での転倒防止を図った。

(写真9) 組み上げたフ左右のフロート(主輪は未装着)



4.塗装
 この作品は塗装が勝負と言っても過言ではない。キャビン内は塗装済みのためしっかりとマスキングし、胴体と主翼、尾翼、2本のフロート、そしてプロペラや支柱類に分けて塗装する。最初にプロペラ以外の構成品をMr.カラーの8番で銀塗装し、その後必要個所をマスキングし、フィニッシャーズのファウンデーション・ホワイトを吹き付けていった。この塗料は下地用だが、延びがよく白の輝きがいいのでこのように上塗りに使用することもある。
 白を塗り終えるとブルーを塗装する。ブルーには後部胴体に塗ったMr.カラーの34番、スカイブルーと胴体とフロートのライン、及び主尾翼端に塗ったMr.カラーの80番、コバルトブルーとを使用した。このマスキング作業が一作業となった。本当はもう少し細いラインにしたかったが、ごつごつ出っ張ったリベットのある表面をマスキングするのが容易でなく、諦めた。
塗り終えた胴体とフロートが(写真10)と(写真11)である。


(写真10) 塗装の終わった胴体

(写真11) 塗装の終わったフロート


 最後に、マスキングからはみ出した部分をタッチアップで修正し、プロペラ、車輪を塗り終えれば塗装完了となる。書き忘れたが、ウィンドシールドはセンターピラーの部分を塗装する必要があり、クリア部分をマスキングし、まず黒で塗装した上に胴体と同じ白を吹き付けた。胴体との間に少し隙間のできる部分が生じたが、少しだけ修正するにとどめた。  その後40年以上経ったデカールを貼った。少し黄ばんではいたが無事貼り終えることができたのは驚異である。



5.組立・完成
 まず、フロート部分を組上げ、その後主翼と尾翼を取り付けた機体と合体した。主翼を胴体に取り付ける前に扉と胴体の窓、そしてウィンドシールドを取り付ける。胴体の窓を内側から取り付けなくてはならないので、少し手間がかかった。 (写真12)は、2つのフロートを支柱でつなぎとめた状態である。実機には補強のワイヤーが取り付けられているので、それらしく0.3㎜のステンレス線で加工してみた。

(写真12) 組立の終わったフロート



この上に機体を載せれば完成である。(写真13~写真17)
半世紀近く眠っていたキットがやっと形になった。
昔のキットに戻るのもいいものだ。また、いつもくすぶった色の軍用機を作り慣れた私を、少しばかり和ませてくれたような気もする。

(写真13) 完成したセスナ180


(写真14) 完成したセスナ180


(写真15) 完成したセスナ180


(写真16) 完成したセスナ180


(写真17) 完成したセスナ180




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