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飛行機プラモデルの製作

 スピットファイアMk.Ⅸ (ST(?) 1/72)

  by 加藤 寛之




 先日、「ワールドホビーショップはせがわ」で購入した特価品。店主によれば、水上機タイプもあったとのこと。そう大したキットでないことは、一見してわかる。そもそもロシア製のイギリスの有名機プラモという時点で怪しさが漂う。でも切断翼タイプ機体で箱絵がカッコいいし、デカールの発色もよく、誰が見てもスピットファイアが完成しそうなので購入した。
 家で箱を開ける。全面キリル文字で、さっぱり分らない。社名も不明。“これが社名かなぁ”で「ST」とする。
ラダーが2種入っていて、デカールを見ても選択できることは明らか。でも翼を切るための図がない。そこで塗装図を見る。“あれ?切断翼は?”・・・このキットは標準翼タイプだけなのだ。ついでに垂直尾翼も通常タイプで描いてある。“え?ラダーは?”と、今度は箱の横のカラー側面図を見る。こっちは尖頭タイプで描いてある。“どうなっているんだ!箱絵はウソか!”とは思ったが、全然、気にならない。ロシア製のイギリスの有名機プラモという時点で覚悟している。しかも「特価品」なので充分に許容範囲だし。




 パーツをバラす。主翼下面の冷却器は下面パーツと一体成型で、肉が猛烈に厚い。これは削ればよい。上面パーツと合わせると、全体に厚くて翼断面形もテキトウで、薄翼のスピットファイアの感じがしない。まあ、これは翼端と後縁だけを削って誤魔化せばよい。実機では逆ガル形になっているフラップと胴体の接合部分は、平らになっている。つまり、主翼の取付角が不正確でフィレット後端あたりの形もムリしているということ。まあいい、「特価品」だから。当然ながら、楕円翼と胴体を組み合わせた微妙な主翼前縁の平面形になっていない。まあ、これは多くのキットがそうだから仕方がない。水平尾翼の断面形は問題外で、しかも左右で厚さもだいぶ違う。後ろの方なのでだれも気付かないから、OKとする。 胴体はというと、どうも機首下面周辺の形が怪しい。言わなければ気付かれないので許容範囲。背中も斜め方向から見ると膨らんで見える。胴体断面形がテキトウなのだ。まあいい、削っておけばよい。それにしても。プロペラ先端でランナーと太く付いていてイヤな感じ。丁寧に切り離すしかない。主輪ホイールはグズグズに崩れているが、まあOK。ふっと脚柱をみると、可動を目指した痕跡があって、これでは接着困難。ここは主翼パーツ側に脚柱の取り付け部分を作っておけばよいから、問題ではない。コックピットは超簡単で椅子しかない。それも成型不良で変形していたが、ぶ厚い透明パーツの向こうが見えるはずはなく、そのまま使う。




 個々のパーツを整形したあとは、それを「なるべく隙間がないように」「隙間ができたら埋めて」飛行機の形にすればよい。組んでみたら上反角がやや弱く見える。一因は主翼の機銃辺りが一番厚くてムリに翼端へまとめるので、正面からみた主翼上面のラインの先端下がりが強いこともあるが、 主因は胴体の強度が負けて主翼が下がってしまったことにあるようだ。胴体の幅を固定する工作をするべきだったが、正直にいえば主翼と胴体が合うがどうかで格闘していて、それどころではないキットだ。




 塗装で特に書くことはない。それらしい色を塗りました、というだけ。主翼前縁の黄色は筆で直に塗ったので、ややふらついているが気にしない。「マッチにマッチ」で練習した効果が出て、いつもの半分の色数で出来上がったことはイイことだ。

 デカールは上質かと思ったが、硬い&糊が弱い。強力なデカール軟化剤でなんとか押さえ込んだ。小さめなデカールは、オーバーサイズ気味。硬くて浮いてしまうだろうとも思って、注意書きの類は貼らなかった。最後に、半光沢のスプレーをデカールが剥れないように大量に吹いて完成とした。

 完成品を眺める。
 どうみてもスピットファイア、合格だ。現時点で模型店に残っているとも思えないキットだけれども、“ロシア製キットを蒐集したい方以外は、探すほどではありません”とくらいは書いてオシマイにしたい。



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