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誌上個展

   <スター・ウォーズの世界 Vol.5>

by Windy Wing 2013

 今回は帝国軍の地上歩行兵器AT-ATとその関連装備をご紹介いたします。


<エフトイズ 1/144 AT-AT>




 このエフトイズが1/144と公称するフィギュアは全長約135mm(実寸19.44m)で、バンダイの同スケールモデル156mm(22.46m)に比して15%ほど小さい。このように、本機のサイズについては、全高でも14m~25mと報告に大きな差があり、反乱軍の拙劣な情報収集能力を示す一例としてしばしば引用されるが、これは必ずしも当を得ていない。すなわち、輸送・攻撃汎用兵器として、本機はその運用される惑星の地表面での重力に応じて、既存の発動機で稼働可能な最大のサイズで設計されるため、各惑星における偵察隊ごとにその測量値が異なるのは当然となる。
 このAT-ATという比較的単純な構造の兵器の基本設計はオリジナルとしては一種類しか存在せず、ここから相似的に拡大縮小してその基本骨格を組み上げているために、例えば、惑星ホスで使用された車輌を基準として比較した場合、理論上は惑星直径の小さなエンドアでは重量比にしておよそ1.4倍、逆に稀金属を構成主体とする平均比重の大きなスカリフでは0.75倍のサイズとなることがわかる(このため、スカリフに配備されたAT-ACTは武装を減らし、装甲を薄くすることにより、その積載容量を確保している)。 詳細に観察すれば、発動機は大気組成適合触媒系を除いてほぼ同一のものを使用しているので、本体との相対的なサイズの差を視認することも可能なはずではあるが、実戦闘下における本機との近接遭遇状態でその識別を求めるのはいかにも酷というものであろう。




 このようにAT-ATは廉価大量生産を前提として開発されているために、そこにはいくつかの本質的な欠陥が内在する。
まず何より、本機は左右に曲がることができない。
これは膝関節以下の構造とは関係なく、本機の股関節の胴体部への接続形式のみにより決定されるものであって、足裏にキャタピラー等の横方向への移動装置が付属しない限り、本機は前方もしくは後方へのみしか移動できないことになる。そして、実際にそのような動輪類が装備されていないことは、惑星ホスにおけるレベル・ベース攻防戦の記録映像やレイのシェルター画像において確認された事実である。
さらに、本機は攻撃兵器としては異例なまでにその移動速度が遅い。

本機の最高速度は時速60km程度とされており、一見、陸上兵器としては充分な速度を担保しているかに思われるが、その巨体から算出されるスケール・スピードとしては、砲撃に際してほとんど固定目標と見なしうるほどに鈍重であると言わざるをえない。その原因は、これも前述の記録映像の分析から明らかであるが、本機は四足のうち、2本以上を同時に動かすことができない。すなわち、前進の際にはいずれか1本の足が前方向に移動する間、他の3本は完全停止した状態で上部貨物室を支える構造となっている。これはストップ・モーションの異常なまでの煩雑さが最大の要因ではあるものの、同時に、発動機出力に対して過大すぎる重量がもたらす低いウエイト・レシオもまたその一因となっているものと想像される。




 以上から、これら一連のAT-ATの特性をもって、本機を一種の特攻兵器である、とする解説があるが、この評価については異論も多い。帝国軍の戦術は、敵制空権下および射程圏の外に本機を配置し、その頑丈無比な装甲と強勢な火力をもって相手の攻撃能力を排除しつつ、最終的に前線突破・敵陣壊滅を図るものであり、 彼我の圧倒的な兵力差が存在する状況下では、文字通り「ゾウがアリを踏み潰す」のに転進や高速移動を想定する必要がない。事実、ホス攻防において、本機の2機損耗のみで反乱軍を基地全面放棄のやむなきに至らしめた戦果はその戦術の正当性を証明しえたものと言えるであろう。


<タイ・AT-ATキャリアー・ノア>




 このように、自ら方向転換できないAT-ATの作戦開始時の配備、あるいは任務完了・擱座車輌の回収の任に当たるのが<タイ・AT-ATキャリアー・ノア>である。 基本となるAT系搬送機はタイ・アドバンストx1をベースに、重量軽減のために武装類を取り外し、懸架するATごとに専用キャリー・モジュールを選択する方式を採用している。




 一般的な惑星の重力圏内では、いずれのモジュールを装着した場合でも、ソーラー・パネルは2対4連で充分な運用が可能であるが、 さらに大重量装備空輸の際には、最大3対6連まで増設して、イオン・エンジンの負荷に対応させている。




 なお、「ノア」は「スカウト・ウォーカー」や「チキン・ウォーカー」などと同様、各前線における俗称であって、公的な作戦指令書などに表れることはない。惑星ホスで雪原を進軍した「スノー・ウォーカー」と同型の車輌がスカリフでは「ウォーカー・アショア」と呼ばれたように、 本機もキャリー・モジュールを交換してそのシルエットが変わるたびに、例えば、複数のAT-STを懸架した「ランドリー」やAT-TEを搬送する「アクーパラ」など、部隊兵士がそれぞれに親しみを込めた愛称を付けているようである。




 ローグ・ワン小隊の侵攻直前に撮影されたと思われるスカリフ・ビーチでのショット。
来るべき激戦を知るよしもないラグーンの穏やかな夕景が美しい。



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