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特集 アオシマ

懐かしのB級キット(第16回) 
Fw189A-1(アオシマ 1/72)

by 田口博通 Hiromichi Taguchi

  玩具から始まったプラモデルが ギミック路線か、それとも 全く動かないけれども精密なモデルの方向に行くか メーカーによって多様性に溢れていたのが 1960年台でした。
 当時から、精密というには?がつくけれども ギミックが面白いプラモデルを日本メーカーが多く発売していました。エルロン、方向舵可動は当たり前、というか それが当たり前のトレンドの時代だったともいえます。
 学校前の文具店でプラモデルが売られていることも多く、箱絵が魅力的でショーウインドーに釘付けになり、学校帰りに店の前の道路で座り込んで、プラモを作った経験のある読者も多いはず。小学生の遊びの一部として当たり前にプラモデルがあり、今からは想像も出来ないプラモ黄金時代だったと思います。

 
 金型精度が追いつかず、可動部がガタガタで、細かいディテールは?が二つくらいつくが、デッサンはなんとなく実機の雰囲気を再現しているという今でも捨てがたいキットが多くありました。既に絶版になっているものが多いのですが、幸い、その中には今でも生き残って現役のプラモキットもあります。

 このシリーズは そんな 懐かしいB級キットを取り上げて行こうという連載です。形状とか デイテールを求めるならば、後発の決定版を購入すればいいわけで、ディテールの修正などをせず、オリジナルの雰囲気を壊さず、完成を目指したいと思います。

 
 今回の「懐かしのB級キット」で、取り上げるのは 青島のFW189A-1です。




 2014年7月号のアオシマ彩雲まで、散発的に連載していた「懐かしのB級キットシリーズ」ですが、久しぶりの再開です。今回はアオシマ特集に合わせ、Fw-189A-1を作りました。
 ヤフオクで入手したキットはおそらく1990年代にアオシマから再販されたものだと思います。1200円の定価がついており、『この製品は当時の金型を使用し、復刻、再生産したものです。』の但し書きが箱横に印刷されており、オリジナルのビビッドな色彩の梶田画伯による箱絵は健在です。この箱絵が欲しくて「思わずポチッと」買ったようなものでした。
 1960年代初出のアオシマの1/72シリーズは 懐かしのB級キットシリーズの中で紹介した瑞雲晴嵐などと同様、どれも特徴的なスタイルをそれ以外には見えない程度に表現しており、中には主翼折り畳みの独自ギミックを加えた「彩雲」のような珍キットもありました。
 初出は1960年代後半のことですので、この程度が当時のアオシマには限界だったのでしょうか。 
とはいえ、今月取り上げる1/72 Fw-189のプラモデルは古いエアフィックスと、後年 イタレリから発売されたのみで、国産キットとしては アオシマキットが今に至るも「唯一もの」だったのです。

箱絵


 21世紀のアオシマは1/72 紫電、紫電改、飛燕、五式戦やUS-2など優秀な飛行機プラモデルを発売するようになり大変身しました。現在のアオシマさんとしては、1960年代発売の古い絶版キットのことは おそらく 遠い昔のこととして葬り去りたいに違いありません。   今時、このキットをマジに作ろうというプラモデラーは、世の中にはそうは居られないと思いますので、今回は 追体験として 古いアオシマの雰囲気に思いを馳せ、お楽しみください。

キットは

 部品は36点と少なく、部品は拍子抜けするほど すっきりとしています。コクピットは中央胴体に一体となったシートに見えなくもない?モールドがあるのみです。
 一方、エルロンとフラップは当時のお約束、もちろんの可動で別部品となっています。複雑な主脚は5部品を費やして、なんとか再現しようとした努力の跡がうかがえます。主脚カバーは左右胴体と一体成型されています。風防は分厚く、形もワクのモールドもいいかげんです。
 しかし、Fw-189という機種選定が1960年代当時の国産他メーカー(零戦大和卵焼き)には無いマニアックな路線で、出来は別として、それなりのポジションを獲得して生き残ったと推測できます。90年代に再販を果たしたわけですから。
このアオシマFw-189は真正B級キットとしての資格は充分といえるでしょう。

左右胴体
胴体、プロペラなどの部品

主翼部品
風防透明部品とデカール

製作

 1960年代の中学生の時と違い、現代は速乾性流し込み接着剤(MrセメントSなど)なるものがありますので、長物の接着も簡単になり、圧倒的なスピードアップが可能です。 主翼上下を接着し、その主翼の上に中央胴体を載せます。主翼下面に左右胴体を接着し、水平尾翼を取り付けます。コクピットに相当する箇所をブラックグレーに塗り、透明風防を接着すれば完了です。透明風防はよく擦り合わせをして合わせます。エルロンとフラップは可動をあきらめ、接着しました。
1時間ほど放置してから、各部の接着箇所を目立たぬ程度に整形しておきます。

 スタイルの修正などよこしまなことは考えずに、遠くから眺めれば なんとなくFw189に見えるはず・・・。
「今となっては、ただそこにある形を楽しむ」 それがB級キットの正しい(?)楽しみ方ではないでしょうか。


塗装

 ドイツ空軍色はMrカラーの定番、No17ダークグリーン、No18ブラックグリーン、No20ライトブルーを塗装しました。特色を使うようになった昨今では 懐かしい色合いです。
枠が多い風防のマスキングも思った程には大したことはありませんでした。デカールは再販キットだったので、そのまま使えました。デカール保護を兼ねてつやけしクリアを吹いて塗装は完了です。



主脚など


 主脚は部品点数が多い上に接着箇所があいまいですが、それなりに形になれば良しとゴールを決めれば、なんとかなります。
エンジンカウリング下面にあるはずの排気管がありません。無駄な抵抗とは思いましたが、目立つ箇所なのでプラパイプで追加することにしました。正面吸気口は黒で塗り潰しました。
箱絵では風防下面に赤白で塗られたアンテナ?がありますので、これはぜひ再現したいもの。真鍮線で追加しました。




機首下のアンテナはシンチュウ線で追加します。

完成

 これで 見事完成です。スタイルは想像していたよりも 見られます。きちっと塗装すると、Fw-189以外には見えません。
ということで、記念として 今月号の表紙に使わせていただきました。
アオシマの旧1/72シリーズが模型誌の表紙を飾ることは、この50年無かったことと思います。




  B級キットにはそれなりの楽しみ方があるようです。 作らなければ、タンスのコヤシ のキットを皆様もたくさん?お持ちなのではないでしょうか。

 修正にトライした悩める子羊版よりも オリジナルに素直に作った方がプラモデルを楽しめることもあります。
 逆にスケールモデルを目指して修正しようとすると 楽しみが苦しみに変わり、未完成病が深くなるなんてこともあるかもしれませんね。
 また B級コレクションに一機加わりました。
 おつきあいいただき ありがとうございました。





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