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誌上個展

<日本航空史>ツェッペリンNT

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム




 ツェッペリン飛行船は、重航空機(つまり普通の飛行機)が安全に長距離飛行をできなかった時代に、悠々と大洋を超えて長距離を飛んで都市間を結ぶことができた。だが、たちまちのうちに重航空機にとってかわられ、飛行船は輸送手段に使われなくなった。
 それでも戦後の日本の空に、何隻(“船”だものね)か飛んだ。通称キドカラー号、岡本太郎の大胆色彩の飛行船、そしてツェッペリンNT(Zeppelin NT "Neue Technologie")も、その一つ。製造は戦前に世界一周飛行で飛来したツェッペリン飛行船と同じ会社だという。まだ生きていたのね。ツェッペリンNTは日本飛行船という会社が購入したようで、営業運航は2005年、2007年から遊覧クルーズ開始、だが2010年に倒産、船体は分解されたというから、今はない。




 この飛行船には、乗ったことがある。世界一周飛行で飛来したツェッペリン飛行船と比べれば超小型だとはいえ、地上にあればその船体は巨大だった。白く大きな船体は異様な大きさに見えた。

 ツェッペリンNTの離陸は、離陸をまったく感じさせない。「離陸します」のアナウンスがあり、いつ飛ぶのかと外を見たら、もう浮いていた。前を持ち上げてはいるが、上昇している感覚も何もない。ブーンというファンの音がするだけで浮いている。ふわ~~~ふわ~~~と向きを変える。記憶では着陸の方が大変なようで、ファンがガンバッて回っていたような気がする。



 このとき、船体には大きく有名アニメの広告が描かれていた。版権上の問題がありそうなので、掲載写真はそこをガサガサッと消してある。前下方からの写真は、ファンの向きが面白い。軽航空機ならではのファンの向きだと思う。空からの写真は、赤坂離宮迎賓館と東京タワー。戦前のツェッペリンは高度600mくらいで帝都上空を飛んだそうだから、高さはこんな感じだったのだろう。
世界一周飛行で飛来したツェッペリン飛行船は歓呼を持って迎えられ、日本の航空界にたしかな足跡を残した。ツェッペリンNTは、航空界に何ももたらさなかったという記録を残して消えた。
飛行船のプラモデルは、もともと種類が少ない。作る人も少ないようで、プラモデルを50年以上やっている私でも完成品を1回見たのは確かだが、2回なのかどうかくらい少ない。




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