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特集 日本海軍機

連載 旧タミヤ1/72 日本戦闘機シリーズNo.1
零戦32型 (タミヤ 1/72 旧版)

by 田口博通 Hiromichi Taguchi




 タミヤ72ウォーバードコレクションの零戦シリーズは今のところ52型、21型、32型、22 型が発売されています。どれも素晴らしい内容らしいのですが、今回作ったのは、1964年6月にリリースされた72日本戦闘機シリーズの旧版 零戦32型です。
 タミヤから1960年代に発売されていたこの72日本戦闘機シリーズは零戦32型、鍾馗、雷電、疾風,震電と5機ラインアップされていました。

 少年時代に作ったのは、疾風と震電のみで、残りは作った記憶がありません。それで、どんなキットだったのかずっと気にはなっていたのですが、そのうちにシリーズごと絶版となってしまいました。
 永く入手をあきらめていたのですが、昨年、5機セットでお安く入手できる機会に恵まれました。
 昨夏から作り始め、遂にコンプリートでき、少年時代の夢をやっと果たせました。
零戦32型、雷電、鍾馗、疾風の製品No順で今月から連載させていただきます。




  タミヤの旧版32型は航空情報プラモガイド1968年版17ページでは「なかなかよいキットでAクラスに入る。主翼、胴体、カウリングなどは非常に良く、翼の後縁はシャープに出来ている。欠点は車輪が貧弱なこと、プロペラに形が悪く、軸も多少ガタがある。」と評されていました。  箱絵は台南空V-187のマーキングとなっています。これも魅力的なのですが、昔からあこがれていたラバウルの応急斑点迷彩機としたく、明灰色の上に、応急的にモップで緑の塗料を塗った雰囲気の再現を狙ってみました。上から見ると、ジャングルに溶け込んだことでしょう。




 下はパーツ一式で全31点の部品です。今回入手できたのは、再販版No.60602で、600円となった時代のものですので、モーターライズは廃止されると同時に、主脚は引き込み式から固定式に変更され、薄かった主輪は厚くなって改善されています。フラップは可動式のままです。
 表面ディテールは凹パネルラインと凸リベットが混在した詳細なモールドで、実機の実感をなんとか表現したかったタミヤ設計者の意図がうかがえます。
 また、プロペラが厚くて形が悪いのにお気づきと思います。エンジンの軸穴は薄く塞がれていますが、バリではなく、穴が大きすぎたので、塞いだものと思われます。自分で調整してくださいとのことでしょう。
 今回は、プロペラ軸をシンチュウ線に替え、エンジンの軸穴には小径のハトメを埋め込みました。

主翼と尾翼パーツ


胴体、小部品、キャノピー、デカール

製作

 胴体左右を接着し、主翼上下を接着。1960年代初出のキットなので翼と胴体のすりあわせは今ひとつです。キットでは上反角が足らないので、主翼中央内側にカッターナイフでスジを数本入れて曲げ、強引に上反角をつけました。胴体とすり合わせ、瞬間接着剤で固めれば、基本形は完成です。
 機首の機銃カバーが大きいような気がしますが、貴重な旧版32型キットですから、外形をいじってしまうと「もったいない」ので、極力、外形が変わらないように、接着部を整形します。
 せっかくの凸リベットラインなど表面ディテールを極力残したいので、接着部のペーパーがけの際は、一手間かけて、マスキングテープやアルミテープで保護しながら作業を進めました。それでも消えてしまう個所は慎重に針先などで再現します。

主翼中央内側にはカッターナイフでスジを数本入れ、曲げて上反角をつける



 上面フィレットと下面翼後部の隙間はパテで埋めました。 また、胴体下面にスタンドベース用の穴がありますので、プラ棒で埋めます。
 

塗装

 コクピットは筆をつっこんでNo.126コクピット色で塗っておきます。
まず、上下全面をMrカラーNo35明灰色で面相筆で塗ります。
 乾いたら、No.58黄橙色で主翼前縁識別帯を塗り、乾いたら帯をマスキング。
また、胴体と主翼の日の丸の位置にも、マスキングテープを丸く切って、マスキングしておきます。

明灰色で全面を塗装



 その後で、No15濃緑色につやけし剤を足して、つやけしを強めた塗料を薄め、古くなった面相筆の筆先で、あたかもモップで適当に塗ったように塗って行きます。
その際、日の丸のマスキングテープの周りは避けるようにします。

塗装が終わったら、日の丸のデカールを貼ります。
キャノピーもマスキングして、面相筆で迷彩塗装をします。




 カウリングとエンジンを塗装して取り付けます。パイロットを塗装して搭乗させますが、首元の白いマフラーは海軍機パイロットの誇りですね。  ウエザリングはMrウエザリングカラーのグランドブラウンを薄め、極軽くかけました。
ラバウルの32型はアンテナ柱は切ってあったという説とし、キャノピーの外側のアンテナ柱は切り取りました。


完成

 プロペラは少し薄く削り、ブレードの形を整えました。
完成すると、さすがタミヤで 零戦32型らしさにあふれ、しっかりしたスタイルです。

また、応急斑点迷彩塗装をエアブラシするとこういう感じにはならないので、筆塗りならでは の仕上がりだと思います。
ストレート作りですが、完成機を眺めると 率直に嬉しいです。
 少年時代にシリーズコンプリートをしたいというあこがれに近い夢を持っていましたが、それが50年後に果たせ、感慨深いものがあります。この完成の喜びがやはりプラモデル作りの楽しみでしょうか。
 






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