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  ファルマン(SNCAC)NC223・4 (アズール1/72)

  by Nobunaga

 見たかフランス魂を!ナチスドイツの首都ベルリンを爆撃する




 フランスでは1936年に航空機産業の国営化を進めてファルマン社とアンリオ社を合併させてSNCAC(中央国営航空機製造所)となりました。
合併前ファルマン社は1936年(昭和11年)F220四発重爆撃機を初飛行させました。四発と言ってもエンジンを串型に並べて支柱だらけの醜い爆撃機でした。エンジンを換装して主車輪を引き込み式にしたF222、さらに機首の段差をなくしたF222・2と進化してナチスドイツの西方電撃戦の際にはドイツの工場を爆撃するなどそれなりの活躍をしています。武装を強化したF223・3の後にエールフランスから発注のあった高速長距離郵便機のF223・4が3機作られました。F223・4は主翼やエンジンなどが改良され機首もさらにスマートになり洗練されたスタイルになりました。この3機にはカミール・フラマリオン、ジュールヴェルヌ、ル・ヴェリエールと言う名前がついています。
 フランス海軍では長距離偵察爆撃機として使用して1号機のカミール・フラマリオン号はドイツ海軍のポケット戦艦グラーフ・シュペー掃討戦に用いられるなど活躍しました。
 ドイツ空軍が1940年6月3日にパリを襲い多くの死傷者を出した報復に4日後の6月7日F223・4のジュール・ヴェルヌ号でベルリンを爆撃しました。冒険小説家の名を冠した爆撃機はボルドーのメリニヤック基地を飛び立ちドーバー海峡を通りドイツに占領されていたデンマークを横切りベルリンに向かいます。8個の75kg爆弾と80の焼夷弾を投下してドイツ上空を通過してフランスに帰還しました。往復5000km、13時間40分の文字通りの大冒険でした。
その後もイタリアのベニスを爆撃したりリーフレットの投下をしたりと停戦までに17の任務を行いました。
 フランスがドイツと停戦したのは6月22日のことでした。3機のF223・4はビシー政府の元でエールフランスに返還され輸送機として使用されました。




 このキットはアズールと雑誌「エアマガジン」のコラボで売り出され、最近再販されました。
 細かい部品は少なく組み立てるのは容易です。が、そこはアズールの製品なので完成させるのにお楽しみが一杯です。私の場合、製作労力の80%は主翼の整形に、エンジンの取付け調整に20%かかりました。
 主翼は変形して反り返っているのでしごいたりドライヤーで熱風を吹きかけたりと楽しい時間を過ごしました。さらに主翼付け根のふくらみが足りなくて胴体側のフエアリングと1ミリの段差があり、プラバンを貼付け、パテを盛ってガリガリと削ってだんだんと形になって行くのが嬉しかったですよ。
胴体背中もへこみ過ぎなのでプラバンとパテを盛って整形しました。エンジンの組み立てはなんてことはありません。取り付け調整を何回かすればできます。
 ネットで捜しても資料がなく細部のディテールが分からないので細かなことは省略です。そして値段の分楽しませてくれるキットですね。
 製作にあたっては2005年発行の「マスターモデラーズ」VOL28号「フランスの洒脱」間寛人氏、篠田ゆかり氏、大野周作氏3氏の競作?製作記事が大変参考になりました。

製作


インストに従って機首の窓と明かり取りの窓を開けます。材質は柔らかく肉厚でも簡単に開けられます。



 コックピットや偵察員席をミスターカラーの72番ミディアムブルーを塗りインテリアは出来ました。胴体を貼り合わせます。キャノピーや偵察員席のクリアパーツは僅かなパテで段差は解消です。窓は低粘着フィルムを貼って切り抜きマスクします。背中のこぶは何でしょうか。インストに取付けた図があったので付けましたが外しました。ここはえぐられたように陥没してます。主翼接着部分はイモ付けなので1ミリの真鍮線で桁を作ります。



 主翼を取付けます。右主翼は胴体側のフェアリングと1ミリの段差があるのでWAVEのプラバンを貼付け形に沿って削りペーパー掛けとパテ盛りで形を整えます。胴体背中の陥没しているところもプラバンとパテ盛りで平らにします。
主翼は真っ直ぐにしたつもりでも充分でなく反り返っていたので主翼の上面を切断して隙間にプラバンを噛ませて整形です。これで反りは解消しました。



 左右のエンジンナセルです。エンジンを二つ繋げているのですが冷却は問題なかったのでしょうか。ラジエーターカバーとカウルフラップ(黄色のパーツ)は薄いレジンで出来ていてピッタリ収まります。問題は胴体とナセルを繋ぐ支柱のパーツ番号がインストの指示と違います。形をよく見て自分で判断してください。指示間違いは他にも複数あります。
胴体側面のこぶに取付けますが形状に合わせて削ってパテで整形しました。左右縦横水平になるよう調整しながら接着します。



 エンジンを取り付ける前に機体の塗装を済ませます。デカールは上質なものですが下の色が透けるので白を吹いて発色を良くします。



上面の迷彩塗装が終わりクリアを吹いたところです。赤蛇の目がきれいですね。



 下面の調色した黒、(つや消し黒にグレーと赤を少し)を吹いた後にエンジンを取付けました。このへん各自の方法で良いかと思います。



補助翼かフラップかにヒンジを取付けました。形状が分からないので適当です。前の段階で取り付ければ良かったかも。








目指すはベルリン(出典 ネットで見つけたCG合成写真)


出発直前のジュールヴェルヌ号 ジューヌヴェルヌは「海底2万哩」や「80日間世界一周」を書いた作家です。そしてベルリン爆撃行にふさわしい名前ですね。



参考資料:2005年発行の「マスターモデラーズ」VOL28号、「第二次大戦フランス/イタリア軍用機」ガリレオ出版、「WWⅡフランス軍用機入門」飯山幸伸著 光人社NF文庫、その他インターネットに依る実機写真、作例等   


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