Home > メッサーシュミットBf-109F4(ファインモールド1/72) &飛燕二型改(ファインモールド1/72)< 飛行機プラモデルの製作<2018年6月号

特集 メッサーVS飛燕

 メッサーシュミットBf-109F4(ファインモールド1/72)
川崎キ61 三式戦闘機 飛燕二型改(ファインモールド1/72)

by 寿



 メッサーVS飛燕と言うことで二機用意してみました。ホントはエアフィックス謹製のメッサーで一本書いたろうと思ったんですけどそれだけじゃあまりにもあんまり(理由は後ほど)なんで、以前に作ったキットのお出ましと相成った訳であります。
実は作るのがめんどくさかったとか、ホビーショウ明けでヘバってたとかそんなんじゃないんです。・・・・ホントだよ?



 メッサーのF4と飛燕の二型改ってエンジンのスペックがほぼ一緒。だから後は純粋に機体性能の差と言って良い訳なんですが、航続距離と全備重量以外はほぼトントンのヒコーキになってます。  まぁ、あくまでカタログスペック上での比較ではありますが。ただどっちのヒコーキもパイロットからは「すっげー良いヒコーキ」って言われていたみたい。出現時期は全く違ってますけどねw



 戦況やそれぞれのお国の事情はありますけれど、残した結果は雲泥の差。片や敵相手にブイブイ言わせエースを多数輩出した名戦闘機。片や戦争末期で青息吐息、乗り手にも事欠く低稼働率の戦闘機。比較する方が酷なのかもしれません。
 ちなみに南方作戦時、飛燕一型に遭遇した敵パイロットは「オスカー(隼)が相手ならば墜とされる覚悟もしなければならないが、トニー(飛燕)が相手なら少なくとも負けることはない」と安堵したそうです。



 飛燕に限らずイギリスにしろドイツにしろ、液冷機の熱帯での稼働率低下(明記はされてないけど多分性能も)は共通だったようで、後は整備と補給が差を付けると言った所でしょうか。やっぱデリケートなのね、液冷エンジンって。

 ちなみにアメリカの場合は、液冷だろうが空冷だろうが所定整備時間を過ぎた機体はバンバンオーバーホールしていたそうなので、此の手の話はあんまり聞きません。エンジンなんて単体でアッセンブリー用にかなり多めに持ち込んでいたようだし。いやはや、金持ちは強ぇなぁ。



 しかしこうして比較してみると、飛燕とメッサーとでは大きさがまるっと一回り違ってます。これを同じエンジンで稼働させていた訳ですからカタログスペックはさておき、実際の性能差は推して知るべしといったところでしょうか。
 欧州のヒコーキって敵味方問わず日本機より一回り小振りの機体が多い(ってーか日本機は全般的に翼面積や垂直尾翼がデカい)もんで、この辺りは文化の差と言った方が良いのかも。
しかもメッサーの末期の機体は緊急ブーストで二千馬力弱出せるエンジン乗せてるんで、比較するのもバカバカしくなってきますしね。凄ぇな、メッサー。この小振りな機体になんて無茶をって気もするけど。

 そんな訳でって話でもないですけれど、「そのエンジンを飛燕に乗せてたらどんな性能になったのか」ってのはちょっとソソる妄想だとは思いませんか?


製作の詳細

(写真1)毎回毎回、静岡のホビーショウで誕生日を迎える(今回は日にちがちょびっとズレちゃったけどねw)わたくし寿の為に、わざわざバースディプレゼントを用意してくれたIくん。
 ありがとう!この歳になって誕生日に贈り物をもらえるなんて思ってもいなかったよ。サンクス!感謝感激!年に一回、ホビーショウでしか会えないのにねぇ。これからきみの行く道は果てしなくイイことが転がっているぞ、間違いない。
 で、もらったのがコレ、エアフィックスのメッサーシュミット109。型式が書いてない所がミソ。



(写真2) 箱を開けてみると色とりどりのパーツが入った袋とインスト、そしてシールが一枚。デカールぢゃなくてシールが一枚。大切なことなんで二回言いました。
「レ○?」って思わず目が点になっちゃう。でもこれは歴としたエアフィックス、○ゴな筈がないと自分に言い聞かせる。でも部品の端にロゴがあったらどうしよう。しかし安心したまえ大丈夫。大人には「見なかった事にする」という高度な処世術があるのだ。



(写真3) 入っていたフルカラーのインスト。見てるだけで楽しくなるけど文字が一個も書いてない。あるのは手順を追った数字と矢印だけ。なんてシンプル、なんて分かり易い。部品番号すら無しです。うんだばー。

(写真4) 迷彩事にパーツが分割されて、しかもバンダイ風味に言えばイロプラってヤツで形成されております。お陰で塗装なんてめんどくさい手順がオミット!パーティングラインがどうの、モールドラインがよたってるだの、型式細部の考証がどうのなど些末なコトにうだうだ言うことがバカバカしくなるほどの潔い製品構成。デカールもなくてシール貼ってそれでオシマイ。誰にも文句は言わせねぇ、ですよ。うーん、すばらしい。
 インストの表紙にも「全部集めよう」って書いてある。個人的にはユーロファイターとラプターがすっげー気になるんだけど・・・・




(写真5) で、出来上がったのがコレ。此の角度からだとE型っぽく見える。機首も黄色だし主翼の形状もそれっぽい。それがよりアカ抜ぬけて見えるのは、多分水平尾翼と垂直尾翼のせい。

(写真6) Iくんには「風防の枠は塗った方がイイですヨ」と言われたが、特にそんな必要も感じなかったのでそのまま。このエルラっぽいような角形風防っぽいような、そんなどっち付かずの妖しさがこのキットにはお似合いだと思いませんか。決して塗るのが面倒だとか、そんな理由ではないのです。決して・・・・
 そう!これはメッサーシュミットというアイコンの持つ魔力をよりプリミティブかつ、カリスマ性を全面に押し出して単一形式に囚われない(以下略)



(写真7) 脚を出すことは端から考えてない、尾輪は存在することすら忘れ去られてる生粋の極楽鳥キットであります。それでもしっかりとタイヤのパーツが入っているのはエアフィックスの理性でありましょうかね。主翼の20mm砲のバルジは在れど砲身砲口がありません。その一方、ドロップタンクが用意されているのはどんな女神の祝福でありましょうか?「分かり易い部分だけ作りました」って言うのが多分正解。ちとマニアックな気がしないでもないですけど、それがエアフィックスのエアフィックスたる所以です。


(写真8) シールでもバルカンクロイツが付いているとカッコよく見えるというこの不思議。何処をどー見てもメッサー以外には見えません。何型?って訊かれると困るけどw
 敢えて言うならばE型以上F型未満って返答すれば順当ですかね?
 スケール的には1/38くらい?ヨンパチにしてはデカいし、サンニイにしてはちっちゃいし。まぁこのキットの前ではヲタク的な物言いは野暮ってもんです。完成品は正義、模型は楽しければそれで良し、ってコトで。



(写真9) このほっそりした面構えがステキな飛燕。細長い主翼にもよく似合っております。


(写真10) 一方のメッサーは細い胴体にブッといスピナーがイイ感じ。「モーターカノン持ってるゼ、どうだ~」みたいな?



(写真11) 飛燕もメッサーも同じファインモールド製だけど設計年次が全然違っていて、表面処理も随分変わってます。個人的には飛燕の外板ペコペコ感の方が好き。「胴体の凸凹したのがキライ」って削っちゃうモデラーも居ますけど、もったいないなぁ~。このヨレた感じがイイのに。最近無いよ、こんなキット。


(写真12) 「まるで空飛ぶ男性のシンボル」的なシルエットのメッサー。卑猥ですんまそん。でもこの単純な力強さが魅力なのであります。F型の繊細なカウリングラインは各スケール、現在をしてもファインモールドのナナニイがピカイチだと思うのですがどうでしょうかね?





(写真13) 一方の飛燕は女性的なライン。二型になってスピナーが大型化したお陰でつるんとした造形が魅力です。うーん、この機体がもっと活躍して欲しかった。とは言え、エンジン供給が追いつかぬ上に稼働率が一型よりも低いとあっては五式戦改造に供されても致し方なし。
 本来のエンジン、ハ140を装備したコイツは果たしてシアワセだったのかどうか。即答に困る話ではあります。



 Home >メッサーシュミットBf-109F4(ファインモールド1/72) &飛燕二型改(ファインモールド1/72)< 飛行機プラモデルの製作<2018年6月号
Vol.118 2018 June.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
         editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作特集1

TOTAL PAGE