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特集 工作ガイド

フォッケウルフFw190A-8/R2戦闘機 (タミヤ1/48)

  by Windy Wing 2013




 タミヤ1/48傑作機シリーズの第95弾となる本キットは、円熟したモールドと適切なパーツ割りによって外形の正確さと組み立ての容易さを両立させ、ビギナーでも手軽に本機の勇壮な姿を机上にすることができる名品である。しかし一方で、エンジンや機銃、そしてコックピットなどの内部構造はほとんど再現されず、動翼類もすべて一体成形されるなど、部品点数の省力化を図ったために、細部に凝った最近の外国製品と比べるといささか物足りなく感じられるところがあるかも知れない。  また、同社のA-3やF-8型とパーツを一部共通化しているにもかかわらず、解説書にパーツ図がないために使用しない部品の判別が難しかったり、塗装について自社系の塗料による配合しか記載がないので、クレオス・ナンバーに慣れたユーザーにはカラーリングのイメージを描きにくい、など、タミヤ独特の様式にとまどう場面も少なくない。そこで今回はこれら製作上の説明を補いながら、誰にでも楽しめる大戦ドイツ機のモデリング入門を試みる(本文中の【数字】はクレオスMr.カラーの番号を示す)。



①今どきの国産品では部品不足などの初期不良はまずないが、念のために組み立て前のパーツ点検を行う。タミヤ製品の場合、ここで「パーツ図」の代わりにランナーごとの写真を撮っておくと、後々の混乱を避けることができる。なお、離型剤(部品表面に付着している油成分)の残存は少ないので、必要に応じてパーツをメラミン・フォームで磨く程度でよい。


②同様に解説書、塗装図、デカール、さらに本キットにはキャノピー・マスキングシールとモールディング・ステッカーが入っているので、これらをチェックのうえ、まず(A)~(E)5種類のバリエーションの中から、自分が作るタイプを決める(今回は「塗装例(A):マキシモヴィッツ伍長乗機」の製作を中心に解説を進める)。さらに、後で迷彩塗装に使うために塗装図を2枚、厚手の紙にコピーをとっておく。ただし、塗装例(A)の平面図は正確に1/48なのでそのままコピーすればよいが、側面図はややアンダースケールである点に注意。



③本キットではバリエーションに応じて、いくつかの部品取り付け穴を自分で開口しなければならない。解説書にはその穴のサイズを「1.5mm」「2mm」などと詳しく指定してあるが、実際には千枚通しを差し込んで大体の大きさに開ける程度でよい。各部品は前後左右を間違えないように差込口の大きさを変えた親切な設計になっているので、これでも充分に安心して取り付けることができる。
④本キットにはキャノピー・マスキングシールが付属しているが、その切り出しは自分で行わなければならない。この際、写真のようにプリントよりもやや大きめに切って、さらにいくつかに細分したうえで、窓の隅に合わせるように貼ってゆくと簡単にできる。また同時に、キャノピー内側のマスキングもシールの余った部分で行っておく。



⑤計器板や操縦桿、操縦席の細部、そしてパイロットなどをデカールを併用しながら塗り分けていく。1/48にしては寂しいモールドのコックピットではあるが、あまりRLM23~26に赤【3】や青【5】などの原色を多用すると玩具っぽくなってしまうので、全体のトーンを統一するように心がける。


⑥主翼と胴体の接着の順番については、本キットのように精度が高く、主翼部品にホゾがない場合、左右を接着した胴体に主翼下面を取り付け、そこへ主翼上面を接着する方がより正確に取り付けられる。ただし、機首と主翼前方との間にガイドがないので、ランナーなどで補強してやるとよい。また、胴体エンジン取付部とカウリング内部をジャーマングレー【40】で塗装しておく。



⑦全体塗装の前に操縦席脇に強化装甲のモールディング・ステッカーを貼るが、このプリントはサイズがあまり正確ではないので、3つに分けて切り出し、少し小さめに現物合わせしないといけない。なお、このシートに対するラッカー系塗料の食いつきは一般プラスチック素材と同程度と考えてよい。
⑧今回のように暗い色調の機体では、必ずしも下地にサーフェーサー処理を行わなくても、薄目の下側面色RLM76ライトブルー【117】を機体全体に軽く吹きつけ、目立つ傷を#1000くらいの水ペーパーで補修すればその代わりになる。



⑨下側面色【117】の塗装が終わった機体にRLM75グレーバイオレット【37】とRLM74グレーグリーン【36】を重ねていくが、この際、それぞれにつや消し白【62】とつや消し黒【33】を少量ずつ混ぜて、極端な明度の差が出ないように調整する。またドイツ空軍標準迷彩は、大戦後期になると前期ほどには2色の境目が明確ではなくなるので、コピーしておいた塗装図を2枚、図面どおりに切り取って、これらをわずかにずらして貼ることによって、そのボケ具合を調節する。
⑩モットリング塗装は、インクスポットをまん丸にしない、上から下へ、前から後へ小さくしてゆく、上面の2色とその混色の計3~4色を取り混ぜて使う、などの工夫により、その単調さを防ぐことができる。なお、機首上面のMG131/13mm機銃バルジはやや演出過剰と感じられたので、多少削ってボリュームを減らしてある。



⑪カウリングはつや消し黒【33】につや消し白【62】を10%程度混ぜた黒灰色で塗装すると重量感が表現できる。エンジンは3個の部品のみで構成され、完成後も大きな冷却ファンによりほとんど見えなくなるので、本体の塗装は黒鉄色【28】一色でも差し支えない。それよりも、軸心のポリキャップを入れ忘れないようにしよう。
⑫付属するデカールは厚みも糊も良好なものであるが、わずかにオーバースケールな印象を受ける。また、マーク・ソフターなどに対してはやや過敏に反応する傾向があるので、あまり強力なタイプは使わない方がよい。




 Fw190A-8/R2の完成品。本製品はギミックや内部描写のない、純然たるデスクトップ・モデルと割り切って製作すべきキットではあるが、今回はせめてものこととして、エッチング・パーツを使ってフラップを下げ位置に改造した。




 塗装は第3戦闘航空団第4飛行隊所属ヴィリィ・マキシモヴィッツ伍長機のもの。大戦後期(1944年6月)にしては鮮明な前戦写真が有名な機体であるが、撮影時はETC501架に何も搭載せずに離陸している。本土防衛の迎撃に発つところだろうか。



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